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EBITDAとは?意味やM&Aの価値算定で使われるEV/EBITDA倍率も解説
監修者:伏江 亜矢(株式会社コーポレート・アドバイザーズM&A 企業提携第三部 部長)

M&AにおいてEV/EBITDA倍率とは、事業を引き継いだ場合何年で投資回収できるかを表す指標です。本記事では、EBITDAやEV/EBITDA倍率の意味、価値算定にEBITDAが使われる理由、算定手法例について、実務に精通するM&A専門家が解説します。

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EBITDAの意味と読み方

「EBITDA」とは、Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortizationの略で、税引前利益に支払利息、減価償却費を加えて算出される利益を指します。

・Earnings Before Interest Taxes:利払前・税引前利益、金利・税金

・Depreciation:有形固定資産(土地建物など)の減価償却費

・Amortization:無形固定資産(のれんやソフトウェアなど)の減価償却費

簡易的に計算する場合には、営業利益に減価償却費を加算して計算します。「イービッター」や「イービットディーエー」と読み、企業の業績を図る指標のことで、企業間の収益力を比較・分析する際に用いられます。

「EBITDA」には、以下のように複数のパターンの計算方法が存在します。そのため、どのような利益を基準に計算されているかを確認したうえで使用する必要があります。


 ・EBITDA=利払い前・税引き前利益+減価償却費

 ・EBITDA=当期純利益+支払利息+税金+減価償却費

 ・EBITDA=営業利益+減価償却費
 

EBITDAが企業間の比較・分析で使われる理由

日本企業においてなじみがあるのは、営業利益、経常利益、純利益などの指標ですが、国によって金利水準、税率、減価償却方法などが違うため、グローバル企業の業績を比較・分析する際には、これらの指標では、企業の収益力の比較をするには困難です。

また、借入金が多く支払い利息が多い企業や、設備投資が多く減価償却負担の高い企業などの収益力を比較・分析には、営業利益だけでは不十分です。

そのため、減価償却費や金利、税金が利益に加算されたEBITDAを用いることで、企業の営業キャッシュフローの獲得能力を比較・分析する使用として利用されています。

▼以下の記事では、M&Aの価格の決め方について解説しています。

EBITDAの使用例:EV/EBITDA倍率

EV(Enterprise Value:事業価値)をEBITDAで割った算出したEV/EBITDA倍率(いーぶいいーびっだーばいりつ)は、EV(事業価値)がEBITDAの何倍とされているかを表わす指標です。

もう少しかみ砕いて説明すると、EV/EBITDA倍率とは事業価値を1年間の本業における現金収入で割ることで計算することができます。

EV(事業価値)をEBITDAの何年分で賄えるかを表すものであり、簡易買収倍率とも呼ばれています。事業を引き継いだ場合、何年で投資回収ができるのかをEV/EBITDA倍率から知ることができるのです。

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価値算定手法の例:EBITDAマルチプル

EBITDAマルチプルは、マーケットアプローチと呼ばれる、類似会社の市場価格や指標を参考に計算する方法です。

「マルチプル」というのは、企業を評価する倍率のことを表しており、特定の指標と企業価値との関係性により評価する方法をマルチプル法と呼んでいます。EBITDAマルチプルでは、事業価値(EV)をEBITDAで割った指標「EV/EBITDA倍率」を使用します。

EBITDAマルチプルの具体的な計算方法としては、対象会社の「予想EBITDA」に類似会社のEV/EBITDA倍率の平均値として算出した「市場倍率」をかけて事業価値(EV)を算出し、「非事業用資産(余剰資産)」を足し、借入金やリース債務などの「有利子負債」を差し引いて株主価値を算出します。

なお、「非流動性ディスカウント」とは、非上場会社の株式が上場会社の株式に比べて流動性が低く、非上場会社の株式を換金しようとするときには追加的なコストがかかるために、上場会社の株式に比べて低く評価されることをいいます。算定された株主価値から20%~30%程度をディスカウントすることがあります。

しかし、最近の大手監査法人系のFAS会社などでは、過半数を取得すればいつでも売却できるため、非流動性ディスカウントを考慮しない実務が浸透しているようです。

日本の中堅・中小企業における会社売却・M&AのEV/EBITDA倍率は業種・地域・規模等より変わりますが、2~10倍程度が適正値といわれています。

EBITDAマルチプルは類似する上場企業を基準として、客観的に企業分析ができ、DCF法に比べて計算が簡単で、簡便的に評価できるのもメリットです。

一方、デメリットは、設備投資計画が織り込めないことと、会社によって細かい事情が異なり、EBITDAマルチプルだけでは正しく評価できない場合があることです。また、業界や規模によっては、最適な類似会社がないケースもあります。

▼以下の記事では、会社売却・M&Aの価格相場について解説しています。

M&Aの相場と自社の価値がわかる「企業価値算定シミュレーション」とは

M&Aにおける価値評価は、様々な要素を踏まえて総合的に判断されるため、自社がどの程度の価値で評価されるのか、というのは大変分かりづらいものです。よって、自社がどの程度の価格で売れそうか、という点を推測するためには、M&A専門会社に相談して相場感を確認することが一番の近道です。

弊社コーポレート・アドバイザーズM&Aでは、会社売却・M&Aを検討中の企業経営者向けに「企業価値算定シミュレーション(無料)」をご用意しております。

ステップとしては、まず、直近3期分の決算書(申告書、勘定科目明細を含みます)等をお預かりし、ヒアリングをおこないます。2週間後を目安に、算定結果を報告させていただきます。「買い手から高く評価される要素」を考慮した相場感についてもご報告いたします。

会社売却・M&Aは検討を開始し、情報収集を始めてから、実際に相手探しを行うまで、数年かかることも多くあります。

まずは、弊社の「企業価値算定シミュレーション(無料)」をご利用いただき、自社が客観的にみて、いくらぐらいで評価されそうなのか、買い手はどの程度あるのかなどについて、ご報告できればと考えております。

そのうえで、会社売却・M&Aの実施スケジュール・目標価格などを設定し、その目標に向けて、会社の価値を高めていくことが重要かと思います。

実際には、会社売却・M&Aは、お相手ありきものですので、良い相手が現れたときに自身の希望に合ったかたちで交渉ができるように、早めに準備を開始することが会社売却・M&A成功のポイントとなるでしょう。

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無料で企業価値シミュレーションができます

納得感のある価格・条件で事業承継・M&Aを実施するためには、客観的な企業価値の把握が第一歩です。決算書等をご提出いただければ、20年で2000件以上のM&A支援実績を持つコーポレート・アドバイザーズが無料で企業価値シミュレーションを実施いたします。

伏江亜矢
監修者:伏江亜矢
株式会社コーポレート・アドバイザーズM&A 企業提携第三部 部長
金融機関で法人営業を担当後、2012年にコーポレート・アドバイザーズ入社。M&Aの事前準備から、候補先のソーシング、企業価値評価、条件交渉、クロージングまで一気通貫した支援を行っている。 ヘルスケア・ライフサイエンス(医療・介護・メーカー・卸商社)、IT・ソフトウエア(Webサービス、システム開発)、人材サービス(派遣、警備、ビルメンテナンス)などのM&A支援経験が豊富。 M&A成功のために必要な情報をわかりやすく解説するコラムサイト「よくわかるM&A」の運営責任者。
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合計 7,981件

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