監修者:伏江 亜矢(株式会社コーポレート・アドバイザーズM&A 企業提携第三部 部長) |
「事業承継・引継ぎ補助金」とは、事業承継やM&Aを契機として経営革新等を行う中小企業者およびM&Aによる経営資源の引継ぎを行う中小企業者に対して、その取り組みにかかる経費の一部を補助する補助金です。
事業承継・引継ぎ補助金【10次公募】令和5年度補正予算は、2024年7月初頭に公募要領開示・交付申請開示予定です。本記事では補助金の概要と最新スケジュール・過去の採択率について解説します。
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最新!事業承継・引継ぎ補助金【10次公募】(専門家活用のみ)
申請受付期間 | 2024年7月1日(月)~ 2024年7月31日(水)17:00まで |
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交付決定日 | 8月末~9月初頭(予定) |
事業実施期間 | 交付決定日~2024年11月22日(金) |
実績報告期間 | 2024年8月29日(木)~2024年11月25日(月)※原則 |
補助金交付手続き | 2024年12月中旬以降(予定) |
本補助金の最新スケジュールは、事業承継・引継ぎ補助金WEBサイトにて掲載されます。
事業承継・引継ぎ補助金(M&A補助金)とは
画像引用:事業承継・引継ぎ補助金WEBサイト
「事業承継・引継ぎ補助金」とは、事業承継やM&Aを契機として経営革新等を行う中小企業者およびM&Aによる経営資源の引継ぎを行う中小企業者に対して、その取り組みにかかる経費の一部を補助する補助金です。
本補助金の対象経費は、経営革新等にかかる費用(設備投資費用、店舗・事務所の改築工事費用等)、引継ぎ時の専門家等活用に係る費用(M&A支援業者に支払う手数料、デューデリジェンスにかかる専門家費用等)や、経営革新・経営資源の引継ぎ・再チャレンジに伴う廃業費用です。
各補助金の概要
本補助金は「経営革新事業」、「専門家活用事業」、「廃業・再チャレンジ事業」に分かれています。
経営革新
経営革新に取り組む中小企業・小規模事業者を「創業支援型」「経営者交代型」「M&A型」の3つの類型に応じて支援します。
・「創業支援型」…廃業を予定している者等から経営資源を引き継いでの創業を支援
・「経営者交代型」…事業承継を契機として、経営革新等に取り組む者を支援
・「M&A型」…事業再編・事業統合を契機として、経営革新等に取り組む者を支援
専門家活用
支援類型について 本補助事業は、地域の需要及び雇用の維持や、地域の新たな需要の創造及び雇用の創出を図り、我が国経済を活性化させる事業再編・事業統合を促進するという観点から、以下の2類型を対象としています。
・「買い手支援型」…事業再編・事業統合等に伴う経営資源の引継ぎを行う予定の中小企業・小規模事業者を支援します。
・「売り手支援型」…事業再編・事業統合等に伴い自社が有する経営資源の引継ぎが行われる予定の中小企業・小規模事業者を支援します。
廃業・再チャレンジ
中小企業・小規模事業者が再チャレンジを目的として既存事業を廃業する際の費用の一部を補助します。
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▼以下の記事では、M&Aの目的・手法・流れ・成功のポイントをわかりやすく解説しています。
事業承継・引継ぎ補助金の対象者は?
本補助金の補助対象者は、以下の①~⑩の要件と「経営資源引継ぎの要件」を満たし、最終契約書の契約当事者となる中小企業者等となります。ただし、売り手支援型(Ⅱ型)の株式譲渡に関しては、同じ要件を満たす対象会社と、対象会社と共同申請した対象会社の支配株主または株主代表が対象となります。
なお、支配株主は1者で対象会社の議決権の過半数を有する者を、株主代表は対象会社の議決権の過半数を有する株主の代表者(1者)を指します。
①補助対象者は、日本国内に拠点もしくは居住地を置き、日本国内で事業を営む者であること。 ②補助対象者又はその法人の役員が、暴力団等の反社会的勢力でないこと。反社会的勢力との関係を有しないこと。また、反社会的勢力から出資等の資金提供を受けている場合も対象外とする。 ③補助対象者は、法令順守上の問題を抱えていないこと。 ④補助対象者は、事務局から質問及び追加資料等の依頼があった場合は適切に対応すること。 ⑤補助対象者は、事務局が必要と認めるときは、事務局が補助金の交付申請ほか各種事務局による承認及び結果通知に係る事項につき修正を加えて再度通知することに同意すること。 ⑥補助対象者は、補助金の返還等の事由が発生した際、申請その他本補助金の交付にあたり負担した各種費用について、いかなる事由においても事務局が負担しないことをについて同意すること。 ⑦補助対象者は、経済産業省及び独立行政法人中小企業基盤整備機構から補助金指定停止措置又は指名停止措置が講じられていないこと。 ⑧補助対象事業に係る全ての情報について、事務局から国及び独立行政法人中小企業基盤整備機構に報告された後、統計的な処理等をされて匿名性を確保しつつ公表される場合があることについて同意すること。 ⑨事務局が求める補助対象事業に係る調査やアンケート等に協力できること。 ⑩ファイナンシャルアドバイザリー(以下、「FAという」)・M&A仲介費用を補助対象経費とする場合は、補助対象事業者の内容について、「M&A 支援機関登録制度」に登録された登録FA・M&A仲介業者により、M&A 支援機関登録制度事務局に対し実績報告がなされることに同意すること。 |
対象となる中小企業者等
中小企業者等は、中小企業基本法第2条に準じて、以下のとおりに定義されています。
業種分類 | 資本金の額又は出資の総額 | 常勤従業員数 |
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製造業その他( ※1) | 3億円以下 | 300人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
小売業 | 5千万円以下 | 50人以下 |
サービス業( ※2) | 5千万円以下 | 100人以下 |
( ※1)ゴム製品製造業(一部を除く)は資本金3億円以下又は従業員900人以下
( ※2)ソフトウエア業・情報処理サービス業は資本金3億円以下又は従業員300人以下、旅館業は資本金5千万円以下又は従業員200人以下
個人事業主は申請可能
個人事業主である個人開業医・個人クリニック・個人病院は事業承継・引継ぎ補助金の申請対象となります。歯科医院、美容クリニック、整骨院なども個人開業であれば申請対象となります。
医療法人・社会福祉法人・一般社団法人・学校法人等は事業承継・引継ぎ補助金の対象外
一方で、医療法人・社会福祉法人・一般(公益)社団法人・一般(公益)財団法人・学校法人は申請対象外です。以下では、法人形態別に対象・対象外の区別を一覧にまとめております。対象となるには条件がございますので、対象の法人形態でも対象外になることもあります。詳しくは、公募要領をご確認ください。
□対象の法人形態 株式会社、有限会社、合資会社、合同会社、合名会社、個人事業主 □対象外の法人形態 医療法人、社会福祉法人、一般社団法人、一般財団法人、公益社団法人・公益財団法人、学校法人、農事組合法人、特定非営利活動法人(NPO法人) |
事業承継・引継ぎ補助金の採択率(難易度)
「事業承継・引継ぎ補助金」(令和5年度補正予算)における採択率は以下の通りです。
- 経営革新事業:申請313件→採択190件(採択率60.7%)
- 専門家活用事業:申請498件→採択299件(採択率60.0%)
- 廃業・再チャレンジ事業:申請28件(単独2件、併用26件)→採択10件(採択率35.7%)
「経営革新事業」については、採択者一覧が公開されています。
「専門家活用事業」や「廃業・再チャレンジ事業」については、補助事業の特性に鑑み、採択者は非公表とされています。
審査ポイント|加点事由の例(専門家活用事業の場合)
専門家活用事業の公募要領では、以下のような加点事由がある場合には、その内容が確認できる資料の提出を求めています。採択率が半数程度ということを加味すると、加点事由に該当する場合には、こまめに資料を準備して提出することが採択の可能性を上げるためのポイントとなります。
【買い手支援型(Ⅰ型)・売り手支援型(Ⅱ型)共通】
(1) 「中小企業の会計に関する基本要領」又は「中小企業の会計に関する指針」の適用を受けていること。
(2) 交付申請時に有効な期間における「経営力向上計画」の認定、「経営革新計画」の承認又は「先端設備等導入計画」の認定書を受けていること。
(3) 交付申請時点で「地域未来牽引企業」であること。
(4) 交付申請時点で中小企業基本法等の小規模企業者であること。
(5) 交付申請時点で「(連携)事業継続力強化計画」の認定を受けていること。
【買い手支援型(Ⅰ型)のみ】
(6) 交付申請時点で「健康経営優良法人」であること。
(7) 交付申請時点で「サイバーセキュリティお助け隊サービス」を利用する中小企業等であること。
(8) 以下①②のいずれかを達成する賃上げを実施すること。
① 補助事業期間終了時に、事業場内最低賃金が地域別最低賃金+30円以上の賃上げ
② ①を既に達成している事業者は、補助事業期間終了時に、事業場内最低賃金+30円以上の賃上げ
- 参考
- ・「中小企業の会計に関する基本要領」「中小企業の会計に関する指針」
- ・「経営力向上計画」
- ・「経営革新計画」
- ・「先端設備等導入計画」
- ・「地域未来牽引企業」
- ・「健康経営優良法人」
- ・「サイバーセキュリティお助け隊サービス」
- ・「(連携)事業継続力強化計画」
まとめ
事業承継・引継ぎ補助金については、採択率は50%程度の補助金です。採択の成否は、「地域の需要及び雇用の維持や、地域の新たな需要の創造及び雇用の創出を図り、我が国経済を活性化させる事業再編・事業統合を促進する」という視点に合致した取り組みかどうか、加点事由への該当事項があるかどうか、という点に左右されるものと推測されます。
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公認会計士(試験合格者含む)15名
特定社会保険労務士2名
社会保険労務士(試験合格者含む)12名
弁護士 2名
相続診断士41名
中小企業診断士1名
行政書士4名
■関与先
法人 3,240社(うち上場企業85社)
社会福祉法人 133件
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個人 4,015名
合計 7,981件
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