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2025年最新|事業承継・M&A補助金【11次公募要領暫定版公開】
更新日:2025年4月1日
監修者:伏江 亜矢(株式会社コーポレート・アドバイザーズM&A 企業提携第三部 部長)
M&A仲介・アドバイザリー業務支援経験12年超・主担当として50件以上の支援実績あり

事業承継・M&A補助金(旧:事業承継・引継ぎ補助金) とは、中小企業の生産性向上や持続的な賃上げを目的に、事業承継に伴う設備投資やM&A、PMI(経営統合)の専門家活用費用などを支援する補助金です。2025年3月31日に事業承継・M&A補助金(11次)の公募要領の暫定版が公開されました。2025 年4月中を目途に公募要領の確定版が公表される予定です。なお、11次公募は「専門家活用枠」のみでの公募となります。また申請期間は準備でき次第の公開となります。公募要領の暫定版には、提出資料、相見積の条件、加点ポイントの記載がありますので、申請予定の方は公募要領の暫定版のご確認をおすすめいたします。

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事業承継・M&A補助金【専門家活用枠】の概要※11次公募の対象

事業承継・M&A補助金の【専門家活用枠】では、M&Aによる経営資源の引継ぎを支援するため、M&Aによる専門家等の活用費用を補助します。概要としては以下の通りです。

補助率:3分の2又は2分の1
補助上限:800万円以内
補助対象経費:M&A支援業者に支払う手数料(※)、セカンドオピニオン、デュー・ディリジェンス費用等
※M&A支援機関登録制度に登録されたファイナンシャルアドバイザー(FA)またはM&A仲介業者によるFAまたはM&A仲介費用に限る。

詳細については3月31日に公開された、公募要領(暫定版)をご確認ください。

事業承継・M&A補助金(令和6年度補正予算)とは

引用:事業承継・M&A補助金のリーフレットより抜粋(中小企業庁の公式サイトより)

事業承継・M&A補助金(旧:事業承継・引継ぎ補助金)とは、中小企業の生産性向上、持続的な賃上げに向けて、事業承継に際しての設備投資や、M&AやPMIの専門家活用費用等を支援する補助金です。

事業承継・M&A補助金(令和6年度補正予算)の概要

引用:事業承継・M&A補助金のリーフレットより抜粋(中小企業庁の公式サイトより)

令和6年度補正予算に計上された「事業承継・M&A補助金」では、以下の4つの支援枠が設けられる予定です。

事業承継促進枠
専門家活用枠
PMI推進枠
廃業・再チャレンジ枠

以下、それぞれの支援枠について詳しく説明します。


①事業承継促進枠

この支援枠は、5年以内に親族内承継または従業員承継を予定している事業者を対象としています。
対象となる事業者は、事業承継を円滑に進めるための設備投資や関連費用について補助を受けられます。

  • 補助上限: 800万円~1000万円
  •  ※一定の賃上げを実施する場合、上限は1000万円に引き上げ
  • 補助率:
  •  中小企業: 1/2
  •  小規模事業者: 2/3
  • 対象経費:
  •  設備費、産業財産権等関連経費、謝金、旅費、外注費、委託費 など

②専門家活用枠

M&Aの専門家を活用する際の費用を補助する支援枠です。
経営資源を譲り渡すまたは譲り受ける事業者が対象となります。

  • 補助対象費用:
  •  フィナンシャル・アドバイザー(FA)や仲介業者の費用、表明保証保険料など
  •  ※FA・仲介費用は「M&A支援機関登録制度」に登録された業者のみ対象
  • 補助上限:
  •  買い手支援: 最大2000万円(条件により変動)
  •  売り手支援: 最大800万円
  • 補助率:
  •  買い手支援: 2/3(条件により1/2~1/3)
  •  売り手支援: 1/2(条件により2/3)
  • 対象経費:
  •  謝金、旅費、外注費、委託費、システム利用料、保険料 など

関連記事:​​M&A仲介手数料の相場と成功報酬の抑え方【買い手・売り手別の比較表付き】


③PMI推進枠

M&A後の経営統合(PMI)を進めるための費用を補助する支援枠です。

  • 補助上限:
  •  PMI専門家活用類型: 150万円
  •  事業統合投資類型: 最大1000万円(一部条件で増額)
  • 補助率:
  •  中小企業: 1/2
  •  小規模事業者: 2/3
  • 対象経費:
  •  設備費、外注費、委託費 など

関連記事:PMI(M&A後の統合プロセス)とは?全体像と成功のポイントを解説


④廃業・再チャレンジ枠

事業承継やM&Aを検討する中で廃業を行う事業者を対象とした支援枠です。
他の支援枠と併用可能で、廃業に伴うコストを補助します。

  • 補助上限: 150万円(他枠併用時は加算)
  • 補助率: 1/2 または 2/3(併用時は他枠に準拠)
  • 対象経費:
  •  廃業支援費、在庫廃棄費、解体費、原状回復費、リース解約費、移転費用(併用時のみ)

関連記事:廃業かM&Aか?メリット・デメリット、手続き、税金を比較解説


注意点: 収益納付の可能性

「事業承継・M&A事業」では、事業承継・引継ぎ補助金においても補助対象者に義務付けられていた事業化状況報告のほか、「収益納付」などが求められる可能性があります。公募要領が公表された後は、内容を十分に確認し、申請を進める際には注意が必要です。

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事業承継・M&A補助金の公募スケジュール(いつから開始?)

引用:事業承継・M&A補助金のリーフレットより抜粋(中小企業庁の公式サイトより)

事業承継・M&A補助金は2025年に実施予定ですが、2025年1月現在、公募開始時期は未定です。

2025年2月10日に公表された「事業承継・M&A事業」に係る事務局の公募要領によると、2025年3月3日を締切として、令和6年度補正予算「事業承継・M&A事業」に係る事務局の公募が実施されています。

また、公募要領には、公募期間終了後、選出された事務局は中小機構と協議を進め、できるだけ早期の公募開始を目指し、具体的な公募時期、採択時期および回数、各採択における採択規模、補助事業期間などを決定すると記載されています。

さらに、公募要領には「令和8年度末(2037年3月末)までに、補助対象事業者の公募を3回程度行い、全体で約1,800者の中小企業・小規模事業者等に対して補助金を交付する」と明記されています。

これらのスケジュールを踏まえると、第1回の公募開始時期は、最短でも2025年春先となると考えられます。

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事業承継・引継ぎ補助金の対象者は?※旧補助金の場合

本補助金の補助対象者は、以下の①~⑩の要件と「経営資源引継ぎの要件」を満たし、最終契約書の契約当事者となる中小企業者等となります。ただし、売り手支援型(Ⅱ型)の株式譲渡に関しては、同じ要件を満たす対象会社と、対象会社と共同申請した対象会社の支配株主または株主代表が対象となります。
なお、支配株主は1者で対象会社の議決権の過半数を有する者を、株主代表は対象会社の議決権の過半数を有する株主の代表者(1者)を指します。

① 補助対象者は、日本国内に拠点もしくは居住地を置き、日本国内で事業を営む者であること。
② 補助対象者又はその法人の役員が、暴力団等の反社会的勢力でないこと。反社会的勢力との関係を有しないこと。また、反社会的勢力から出資等の資金提供を受けている場合も対象外とする。
③ 補助対象者は、法令順守上の問題を抱えていないこと。
④ 補助対象者は、事務局から質問及び追加資料等の依頼があった場合は適切に対応すること。
⑤ 補助対象者は、事務局が必要と認めるときは、事務局が補助金の交付申請ほか各種事務局による承認及び結果通知に係る事項につき修正を加えて再度通知することに同意すること。
⑥ 補助対象者は、補助金の返還等の事由が発生した際、申請その他本補助金の交付にあたり負担した各種費用について、いかなる事由においても事務局が負担しないことをについて同意すること。
⑦ 補助対象者は、経済産業省及び独立行政法人中小企業基盤整備機構から補助金指定停止措置又は指名停止措置が講じられていないこと。
⑧ 補助対象事業に係る全ての情報について、事務局から国及び独立行政法人中小企業基盤整備機構に報告された後、統計的な処理等をされて匿名性を確保しつつ公表される場合があることについて同意すること。
⑨ 事務局が求める補助対象事業に係る調査やアンケート等に協力できること。
⑩ ファイナンシャルアドバイザリー(以下、「FAという」)・M&A仲介費用を補助対象経費とする場合は、補助対象事業者の内容について、「M&A 支援機関登録制度」に登録された登録FA・M&A仲介業者により、M&A 支援機関登録制度事務局に対し実績報告がなされることに同意すること。

対象となる中小企業者等

中小企業者等は、中小企業基本法第2条に準じて、以下のとおりに定義されています。

業種分類資本金の額又は出資の総額常勤従業員数
製造業その他( ※1)3億円以下300人以下
卸売業1億円以下100人以下
小売業5千万円以下50人以下
サービス業( ※2)5千万円以下100人以下

( ※1)ゴム製品製造業(一部を除く)は資本金3億円以下又は従業員900人以下

( ※2)ソフトウエア業・情報処理サービス業は資本金3億円以下又は従業員300人以下、旅館業は資本金5千万円以下又は従業員200人以下

個人事業主は申請可能

個人事業主である個人開業医・個人クリニック・個人病院は事業承継・引継ぎ補助金の申請対象となります。歯科医院、美容クリニック、整骨院なども個人開業であれば申請対象となります。

医療法人・社会福祉法人・一般社団法人・学校法人等は事業承継・引継ぎ補助金の対象外

一方で、医療法人・社会福祉法人・一般(公益)社団法人・一般(公益)財団法人・学校法人は申請対象外です。以下では、法人形態別に対象・対象外の区別を一覧にまとめております。対象となるには条件がございますので、対象の法人形態でも対象外になることもあります。詳しくは、公募要領をご確認ください。

□対象の法人形態
 株式会社、有限会社、合資会社、合同会社、合名会社、個人事業主

□対象外の法人形態
 医療法人、社会福祉法人、一般社団法人、一般財団法人、公益社団法人・公益財団法人、学校法人、農事組合法人、特定非営利活動法人(NPO法人)

事業承継・引継ぎ補助金の採択率(難易度)※旧補助金の場合

「事業承継・引継ぎ補助金」(令和5年度補正予算)における採択率は以下の通りです。

  • 経営革新事業:申請313件→採択190件(採択率60.7%)
  • 専門家活用事業:申請498件→採択299件(採択率60.0%)
  • 廃業・再チャレンジ事業:申請28件(単独2件、併用26件)→採択10件(採択率35.7%)

「経営革新事業」については、採択者一覧が公開されています。

「専門家活用事業」や「廃業・再チャレンジ事業」については、補助事業の特性に鑑み、採択者は非公表とされています。

審査ポイント|加点事由の例(専門家活用事業)※旧補助金の場合

専門家活用事業の公募要領では、以下のような加点事由がある場合には、その内容が確認できる資料の提出を求めています。採択率が半数程度ということを加味すると、加点事由に該当する場合には、こまめに資料を準備して提出することが採択の可能性を上げるためのポイントとなります。

【買い手支援型(Ⅰ型)・売り手支援型(Ⅱ型)共通】

(1) 「中小企業の会計に関する基本要領」又は「中小企業の会計に関する指針」の適用を受けていること。

(2) 交付申請時に有効な期間における「経営力向上計画」の認定、「経営革新計画」の承認又は「先端設備等導入計画」の認定書を受けていること。

(3) 交付申請時点で「地域未来牽引企業」であること。

(4) 交付申請時点で中小企業基本法等の小規模企業者であること。

(5) 交付申請時点で「(連携)事業継続力強化計画」の認定を受けていること。

【買い手支援型(Ⅰ型)のみ】

(6) 交付申請時点で「健康経営優良法人」であること。

(7) 交付申請時点で「サイバーセキュリティお助け隊サービス」を利用する中小企業等であること。

(8) 以下①②のいずれかを達成する賃上げを実施すること。

① 補助事業期間終了時に、事業場内最低賃金が地域別最低賃金+30円以上の賃上げ

② ①を既に達成している事業者は、補助事業期間終了時に、事業場内最低賃金+30円以上の賃上げ

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伏江亜矢
監修者:伏江亜矢
株式会社コーポレート・アドバイザーズM&A 企業提携第三部 部長
総合リース会社で法人営業を担当後、2012年にコーポレート・アドバイザーズ入社。M&Aの事前準備から、候補先のソーシング、企業価値評価、条件交渉、クロージングまで一気通貫した支援を行っている。 ヘルスケア・ライフサイエンス(医療・介護・メーカー・卸商社)、IT・ソフトウエア(Webサービス、システム開発)、人材サービス(派遣、警備、ビルメンテナンス)などのM&A支援経験が豊富。 M&A成功のために必要な情報をわかりやすく解説するコラムサイト「よくわかるM&A」の運営責任者。UMass MBA(経営学修士)取得。北海道大学農学部卒。
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