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Web制作会社の売却相場・事例27選・高く売る交渉術 | 2023年最新
監修者:伏江 亜矢(株式会社コーポレート・アドバイザーズM&A 企業提携第三部 部長)
IT・ソフトウエア(システム開発、Webサービス)、人材サービス(派遣、警備)担当

Web制作会社の売却相場は、「時価純資産+営業利益×2〜5倍」で算出できます。会社の売却により、売却益の獲得や事業承継の実現などのメリットを得られます。Web制作会社の売却相場や事例、メリット、高く売るための交渉術をわかりやすく解説します。

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Web制作会社の売却価格の相場

Web制作会社の売却において、売却金額の相場を知っておくことは重要です。
相場を知っておくことで、実態とかけ離れた高値を買い手候補に提示し、交渉が決裂する事態を防げます。また、安く買い叩かれる事態も回避できます。

この章では、Web制作会社の売却価格に関する相場や、売却価格を算出する方法をお伝えします。

売却価格の相場

中小規模のWeb制作会社に関しては、年買法(年倍法)を用いることで売却価格の目安(相場)を算出できます。

年買法(年倍法)では、以下の計算式で売却価格の相場を算出します。

売却価格の相場 = 時価純資産 + 営業利益 × 2〜5年分

時価純資産が1億2,000万円、各年の営業利益が4,000万円であるWeb制作会社に関して、3年分の営業利益をのれん代として加味する場合、売却価格の相場は以下の通り算出できます。

売却価格の相場 = 1億2,000万円 + 4,000万円 × 3 = 2億4,000万円

売却価格の算出方法

売却価格の決定プロセス

一般的にWeb制作会社の売却価格は、以下のプロセスによって最終的に決定されます。

1.企業価値評価(バリュエーション)の実施

2.バリュエーションの結果をもとに、売り手企業と買い手企業の間で価格交渉

3.デューデリジェンスの実施、価格の修正

4.修正結果をもとに最終的な価格交渉・正式な価格決定

以上のとおり、最終的には売り手企業と買い手企業の交渉などのプロセスを経て売却価格は決定されます。したがって、年買法(年倍法)の算出結果は目安に過ぎず、相場と大きく異なる金額での売却となる可能性もあります。

バリュエーションの方法

バリュエーションの方法には、将来的な収益性を基準とする「インカムアプローチ」、過去の蓄積(貸借対照表の純資産)を基準とする「コストアプローチ」、市場取引の視点を基準とする「マーケットアプローチ」の3種類があります。

各手法のメリット・デメリット、主な手法は以下のとおりです。メリットとデメリットを踏まえて、状況に応じて使い分ける、手法を併用することが重要です。

 インカムアプローチコストアプローチマーケットアプローチ
メリット○事業の将来的な収益力を反映できる
○売り手企業が有する個別の価値を反映できる
○評価結果の客観性が高い
○他の手法と比べて計算が容易
○市場の短期的な変動に影響される
○売り手企業が有する個別の価値を反映できない
デメリット○主観や恣意がバリュエーションの結果に入り込むリスクがある
○清算する予定の企業の評価には適さない
○市場の取引状況を評価結果に加味できない
○将来的な収益力を反映できな
○評価結果の客観性が高い
○評価結果に市場の状況を反映できる
主な手法○DCF法
○配当還元法
○時価純資産法
○簿価純資産法
○市場株価法
○類似会社比較法(マルチプル法)
○類似取引比較法

Web制作業界の概要

この章では、Web制作会社の概要と市場動向を解説します。

Web制作会社とは

一般的にWeb制作会社とは、Webサイト(ホームページやブログ、ECサイトなど)の制作を事業とする会社です。

具体的なビジネスモデルとしては、サイトの構成・デザインの作成やコーディングなどを行います。また、制作したWebサイトの運用やコンテンツ作成、データ分析、SEO対策なども広義の意味ではWeb制作に含まれます。

なお近年は、動画コンテンツ市場の拡大[1]を受けて、動画制作の事業を手がけるWeb制作会社も見受けられます。

WEB制作業界の市場動向

市場規模

経済産業省の特定サービス産業実態調査[2]、および経済構造実態調査[3]では、インターネット・ホームページの制作、SEO対策等を行う事務所を「ソフトウェア業」と定義しています。したがって、Web制作業はソフトウェア業の一部と考えることができます。

2020年経済構造実態調査によると、ソフトウェア業の市場規模(主業年間売上高)は15兆9,791億円でした。[4]2017年〜2020年における市場規模は以下のとおり推移しています。[4][5]

出典:経済構造実態調査(経済産業省)特定サービス産業実態調査(経済産業省)をもとに作成

ソフトウェア業の一部に含まれることから、Web制作業の市場規模も拡大傾向であると考えられます。

市場の現状

Web制作業界の現状としては、競争の激化が挙げられます。

一昔前までは、Webサイトの制作にはプログラミング言語やデザインに関する専門知識が必要でした。しかし近年は、WordPressのテーマやプラグインなどを用いて、専門知識があまりない人でも容易にサイトを制作できるようになり、業界の参入障壁は低くなりました。

また、副業の本格的な解禁などにともない、個人事業主がWeb制作のサービスを提供するケースも増加傾向です。

市場規模は拡大傾向とはいえ、参入障壁の低下や新規参入の増加に伴い、事業者間の競争は今後さらに激化する可能性があると考えられます。

[1] 動画コンテンツビジネスに関する調査を実施(2022年)(矢野経済研究所)

[2] 調査対象(経済産業省)

[3] 経済構造実態調査 乙調査票の記入のしかた(総務省)

[4] 経済構造実態調査(経済産業省)

[5] 特定サービス産業実態調査(経済産業省)

Web制作会社のM&A最新動向

近年におけるWeb制作会社のM&Aは、主に以下の目的・背景によって行われています。

○後継者不在の企業による事業承継

○事業規模の拡大、隣接業種への参入

○競争の激化や経営の先行き不安

○人材確保、育成環境の充実化

○主力事業や新規事業への注力

Web制作会社のM&A事例【2022年】

Web制作会社の売却・買収事例を25の事例例を紹介します。

事例ごとに、M&Aを行った目的や売却のスキーム(手法)、売却金額(非公表含む)を解説します。

特に、前半の13事例は2022年に実施された最新の売却事例となりますので、Web制作業界における最新のM&A動向を把握したい方はぜひ参考にしていただけますと幸いです。

デジタルアイデンティティとLIFULL Marketing PartnersのM&A【デジタルマーケティング×Web制作】

売り手企業の事業内容

LIFULL Marketing Partners:Web制作、インターネット広告等

買い手企業の事業内容

デジタルアイデンティティ:デジタルマーケティング

M&Aの実施目的

売り手企業:親会社による成長事業に対する経営資源の集中

買い手企業:付加価値の高いサービスの提供

M&Aの成約に関する詳細

 詳細[6]
スキーム株式譲渡
実施時期2022年9月
結果LIFULL Marketing Partners株主がデジタルアイデンティティに全株式を売却
売却金額6億7,000万円

ニーズウェルとビー・オー・スタジオのM&A【システム開発×Web制作】

売り手企業の事業内容

ビー・オー・スタジオ:Web制作、デジタルマーケティング

買い手企業の事業内容

ニーズウェル:システム開発

M&Aの実施目的

買い手企業:Web制作における全行程を一気通貫で顧客に提供できる体制の実現

M&Aの成約に関する詳細

 詳細[7]
スキーム株式譲渡
実施時期2022年10月
結果ビー・オー・スタジオ株主がニーズウェルに全株式を売却
売却金額7億5,000万円

CEホールディングスとサンカクカンパニーのM&A【システム開発×Web制作】

売り手企業の事業内容

サンカクカンパニー:Web制作、Webサイトの再構築

買い手企業の事業内容

CEホールディングス:医療分野のシステム開発

M&Aの実施目的

買い手企業:事業ポートフォリオの拡充、グループ内シナジーの創出

M&Aの成約に関する詳細

 詳細[8]
スキーム株式譲渡
実施時期2022年2月
結果サンカクカンパニー株主がCEホールディングスに全株式を売却
売却金額4億5,000万円

プロジェクトカンパニーとcuatro pistasのM&A【DX支援×Web制作】

売り手企業の事業内容

cuatro pistas:Web制作(譲渡対象となった子会社はSES事業を運営)

買い手企業の事業内容

プロジェクトカンパニー:DX戦略立案、新規事業開発の支援など

M&Aの実施目的

買い手企業:エンジニアの確保、DX支援の拡充

M&Aの成約に関する詳細

 詳細[9]
スキーム株式譲渡、事業譲渡
実施時期2022年10月
結果cuatro pistasがプロジェクトカンパニーに子会社の全株式および労働者派遣事業を売却
売却金額株式譲渡:3億8,500万円 事業譲渡:1億円

MRTとメディアルトのM&A【Webサービス×Web制作】

売り手企業の事業内容

メディアルト:Web制作、医薬品プロモーション

買い手企業の事業内容

MRT:医療情報のプラットフォーム運営

M&Aの実施目的

買い手企業:医療従事者会員に向けた情報提供の充実、新たな取引先の確保、収益力の強化

M&Aの成約に関する詳細

 詳細[10]
スキーム株式譲渡
実施時期2022年12月
結果メディアルト株主がMRTに全株式を売却
売却金額4億3,000万円

パイプドHDとネモフィラのM&A【システム開発×Web制作】

売り手企業の事業内容

ネモフィラ:Web制作

買い手企業の事業内容

パイプドHD:ローコード開発、クラウドサービスの開発

M&Aの実施目的

買い手企業:売り手企業との事業提携強化

M&Aの成約に関する詳細

 詳細[11]
スキーム第三者割当増資、株式譲渡
実施時期2022年4月[12]
結果ネモフィラ株主がパイプドHDに50.1%の株式を売却(第三者割当増資分を含む)
売却金額2億5,100万円

テモナとAISのM&A【システム開発×Web制作】

売り手企業の事業内容

AIS:Web制作

買い手企業の事業内容

テモナ:BtoC事業者向けにクラウド型システムの提供

M&Aの実施目的

買い手企業:Web制作などの新たなサービスの開始、クライアントとの取引拡大

M&Aの成約に関する詳細

 詳細[13]
スキーム株式譲渡
実施時期2022年3月
結果AIS株主がテモナに全株式を売却
売却金額非公表

アクロスソリューションズとブロックのM&A【システム開発×Web制作】

売り手企業の事業内容

ブロック:Web制作

買い手企業の事業内容

アクロスソリューションズ:Web受発注システムの開発・販売

M&Aの実施目的

買い手企業:売り手企業が有するWebマーケティングのノウハウ活用による自社サービスの認知度向上

M&Aの成約に関する詳細

 詳細[14]
スキーム株式譲渡
実施時期2022年4月
結果ブロック株主がアクロスソリューションズに全株式を売却
売却金額非公表

ジーニーとマルジュのM&A【広告×Web制作】

売り手企業の事業内容

マルジュ:Web制作、Webアプリの受託開発

買い手企業の事業内容

ジーニー:広告プラットフォーム事業

M&Aの実施目的

買い手企業:顧客に対するサービスの品質向上

M&Aの成約に関する詳細

 詳細[15]
スキーム株式譲渡
実施時期2022年2月
結果マルジュ株主がジーニーに全株式を売却
売却金額非公表

エルテスとアクターのM&A【Webサービス×Web制作】

売り手企業の事業内容

アクター:Web制作、Web広告

買い手企業の事業内容

エルテス:デジタルリスクを軽減するサービスの提供

M&Aの実施目的

買い手企業:デジタルマーケティング領域への進出の加速、売り手企業が有する金融機関向けサービスのノウハウ獲得

M&Aの成約に関する詳細

 詳細[16]
スキーム株式譲渡
実施時期2022年4月
結果エルテス株主がアクターに全株式を売却
売却金額非公表(マルチプル法やDCF法をもとに決定)

ADDIXとピークスのM&A【DX支援×Web制作】

売り手企業の事業内容

ピークス:Web制作、趣味に関するメディアIP事業

買い手企業の事業内容

ADDIX:DX実行支援事業

M&Aの実施目的

売り手企業:親会社による事業の選択と集中、DXの加速化

M&Aの成約に関する詳細

 詳細[17]
スキーム株式譲渡
実施時期2022年4月
結果ピークス株主がADDIXに全株式を売却
売却金額非公表

プライムクロスと武蔵のM&A【デジタルマーケティング×Web制作】

売り手企業の事業内容

武蔵:不動産向けのWeb制作、物件情報の配信サービス提供など

買い手企業の事業内容

プライムクロス:不動産分野に特化したデジタルマーケティング、Web制作

M&Aの実施目的

買い手企業:不動産仲介事業者に対するソリューション提供の強化、データ活用支援

M&Aの成約に関する詳細

 詳細[18]
スキーム株式譲渡
実施時期2022年1月
結果武蔵株主がプライムクロスに全株式を売却
売却金額非公表

ジェイフロンティアとイーエックス・パートナーズのM&A【Webサービス×Web制作】

売り手企業の事業内容

イーエックス・パートナーズ:Web制作、病院検索サイトなどの運営

買い手企業の事業内容

ジェイフロンティア:医療プラットフォームの運営

M&Aの実施目的

買い手企業:顧客基盤の相互活用による収益力強化、事業規模の拡大

M&Aの成約に関する詳細

 詳細[19]
スキーム株式譲渡
実施時期2022年3月
結果イーエックス・パートナーズ株主がジェイフロンティアに90%の株式を売却
売却金額非公表

NTTデータとネットイヤーグループのM&A【システム開発×Web制作】

売り手企業の事業内容

ネットイヤーグループ:Web制作、デジタルマーケティング、システム開発等

買い手企業の事業内容

NTTデータ:システム開発

M&Aの実施目的

買い手企業:広範なサービス提供の実現、人的資源やノウハウの相互活用[20]

M&Aの成約に関する詳細

 詳細[21]
スキーム公開買付け(TOB)
実施時期2019年3月(決済)
結果ネットイヤーグループ株主がNTTデータに48.52%の株式を売却
売却金額約28億8,634万円(TOBの買付け額) ※1株あたり価格×買付数で算出

デジタルアイデンティティとぱむのM&A【デジタルマーケティング×Web制作】

売り手企業の事業内容

ぱむ:金融業界を主な対象としたWeb制作

買い手企業の事業内容

デジタルアイデンティティ:デジタルマーケティング

M&Aの実施目的

買い手企業:広範なデジタルマーケティング支援の実現、金融業界における新規顧客獲得、優秀な人材確保

M&Aの成約に関する詳細

 詳細[22]
スキーム株式譲渡
実施時期2021年10月
結果ぱむ株主がデジタルアイデンティティに全株式を売却
売却金額5億7,000万円[23]

Kaizen PlatformとディーゼロのM&A【デジタルマーケティング×Web制作】

売り手企業の事業内容

ディーゼロ:Web制作

買い手企業の事業内容

Kaizen Platform:顧客接点を改善する動画などのソリューション提供、コンサルティング等

M&Aの実施目的

買い手企業:UXソリューションの提供価値向上、Webサイトの開発から運用まで一気通貫で支援する体制の構築

M&Aの成約に関する詳細

 詳細[24]
スキーム株式譲渡
実施時期2021年8月
結果ディーゼロ株主がKaizen Platformに70.2%の株式を売却
売却金額4億2,100万円

TOKAIコミュニケーションズとクエリのM&A【システム開発×Web制作】

売り手企業の事業内容

クエリ:Web制作、システムの受託開発

買い手企業の事業内容

TOKAIコミュニケーションズ:システム開発、データセンター事業など

M&Aの実施目的

買い手企業:サービス提供領域の拡大、取引の拡大

M&Aの成約に関する詳細

 詳細[25]
スキーム株式譲渡
実施時期2021年5月[26]
結果クエリ株主がTOKAIコミュニケーションズに全株式を売却
売却金額非公表

ソネット・メディア・ネットワークスとASAのM&A【プラットフォーム運営×Web制作】

売り手企業の事業内容

ASA:Web制作

買い手企業の事業内容

ソネット・メディア・ネットワークス:マーケティングAIプラットフォームの運営

M&Aの実施目的

買い手企業:売り手企業が有するサービスおよび顧客接点の獲得、事業規模の拡大

M&Aの成約に関する詳細

 詳細[27]
スキーム株式譲渡
実施時期2019年8月
結果ASA株主がソネット・メディア・ネットワークスに68.6%の株式を売却
売却金額非公表

SHIFTとさうなしのM&A【ソフトウェアテスト×Web制作】

売り手企業の事業内容

さうなし:Web制作、印刷物の制作など

買い手企業の事業内容

SHIFT:ソフトウェアの品質保証・テスト

M&Aの実施目的

買い手企業:ソフトウェア製品の活用性や使いやすさの追求

M&Aの成約に関する詳細

 詳細[28]
スキーム株式譲渡
実施時期2019年1月
結果さうなし株主がSHIFTに全株式を売却
売却金額非公表

アイレップとタービン・インタラクティブのM&A【広告×Web制作】

売り手企業の事業内容

タービン・インタラクティブ:Web制作、MAツールの実装

買い手企業の事業内容

アイレップ:広告代理、SEOサービスなど

M&Aの実施目的

買い手企業:顧客獲得からCRMに至るまでにおけるデジタルマーケティングの一貫した体制の強化

M&Aの成約に関する詳細

 詳細[29]
スキーム株式譲渡
実施時期2018年10月
結果タービン・インタラクティブ株主がアイレップに株式を売却(具体的な売却割合は不明)
売却金額非公表

UTグループとレイハウオリのM&A【人材派遣×Web制作】

売り手企業の事業内容

レイハウオリ:Web制作、印刷物のデザイン・制作

買い手企業の事業内容

UTグループ:製造業向け人材派遣、エンジニア派遣

M&Aの実施目的

買い手企業:IT・Web領域への進出

M&Aの成約に関する詳細

 詳細[30]
スキーム株式譲渡
実施時期2017年4月
結果レイハウオリ株主がUTグループに全株式を売却
売却金額非公表

デザインワン・ジャパンとイー・ネットワークスのM&A【Webサービス×Web制作】

売り手企業の事業内容

イー・ネットワークス:Web制作、システム受託開発、ホスティング関連サービス

買い手企業の事業内容

デザインワン・ジャパン:口コミサイト『エキテン』の運営などインターネットメディア事業を展開

M&Aの実施目的

買い手企業:低コストでの中長期的な開発リソースの確保、DXソリューション事業の拡大

M&Aの成約に関する詳細

 詳細[31]
スキーム株式譲渡
実施時期2021年10月
結果イー・ネットワークス株主がデザインワン・ジャパンに全株式を売却
売却金額非公表

クロス・コミュニケーションとサポタントのM&A【アプリ・システム開発×Web制作】

売り手企業の事業内容

サポタント:Web制作、人材派遣

買い手企業の事業内容

クロス・コミュニケーション:アプリ開発・Webシステム開発

M&Aの実施目的

売り手企業:経営資源の選択と集中

M&Aの成約に関する詳細

 詳細[32]
スキーム株式譲渡
実施時期2018年10月
結果サポタント株主がクロス・コミュニケーションに全株式を売却
売却金額2億円

日本創発グループとソニックジャムのM&A【印刷×Web制作】

売り手企業の事業内容

ソニックジャム:Web制作

買い手企業の事業内容

日本創発グループ:印刷、IT、グッズ制作[33]

M&Aの実施目的

買い手企業:サービスの付加価値向上

M&Aの成約に関する詳細

 詳細[34]
スキーム株式譲渡
実施時期2016年7月
結果ソニックジャム株主が日本創発グループに65%の株式を売却
売却金額非公表

エイジアとFUCAのM&A【Webサービス×Web制作

売り手企業の事業内容

FUCA:Web制作、コンサルティング

買い手企業の事業内容

エイジア:メール配信システムの提供、コンサルティング

M&Aの実施目的

買い手企業:メールマーケティングコンサルティング事業の加速

M&Aの成約に関する詳細

 詳細[35]
スキーム株式譲渡
実施時期2013年10月
結果FUCA株主がエイジアに全株式を売却
売却金額約2,244万円

DX化を推進する建設会社、受託システム開発会社を譲受け【建設×受託システム開発】

社員の未来のために決断した 異業種企業とのM&A

テクニカルブレイン株式会社 創業者 根本 憲夫 様

譲渡企業の概要

テクニカルブレイン株式会社は1986年5月に設立。主に、自治体向け防災システム、消防向けシステムを長年にわたり開発してきました。IT基盤の強化を目指す「土木・建設工事会社」に株式譲渡を行いました。

以下記事では、テクニカルブレインの創業者の根本憲夫様に、M&A決断の背景や事業承継・M&Aの成功のポイントなどについてお話を伺っています。

>>「社員の未来のために決断した 異業種企業とのM&A」の続きをみる

パッケージシステム開発販売会社、Web系ソフト開発会社を譲受け【システム開発販売×Web制作】

売り手企業の事業内容

所在地東北
事業内容ソフトウェア受託開発業(Web系)
譲渡理由事業の成長と発展のため

買い手企業の事業内容

所在地関西
事業内容自動車関連パッケージシステム開発・販売業
買収理由サービス全体のIT化推進のため

M&Aの実施目的

譲渡企業は創業以来、地域に根付いた経営を行うWEB系の開発実績・技術者を強みとする企業です。
大手企業からの信任も厚く、その技術力の高さからも多くの顧客にも恵まれていましたが、事業承継問題も抱えていました。
社長は従業員と共にこの問題に向き合い、検討を重ねた結果、事業拡大を視野に譲受企業のグループ傘下入りを決断することとなりました。

>>「ソフトウェア受託開発業(Web系)の株式譲渡【事業承継】」の詳細を見る。

[6] LMP社の株式譲渡(LIFULL)

[7] ビー・オー・スタジオの株式取得(ニーズウェル)

[8] サンカクカンパニーの株式取得(CEホールディングス)

[9] クアトロテクノロジーズの株式取得、cuatro pistasが行う事業の譲受(プロジェクトカンパニー)

[10] メディアルトの株式取得(MRT)

[11] ネモフィラの連結子会社化(パイプドHD)

[12] 沿革(パイプドHD)

[13] AISの株式取得(テモナ)

[14] ブロックの株式取得(システムサポート)

[15] マルジュの株式取得(ジーニー)

[16] アクターの株式取得(エルテス)

[17] ピークスの株式譲渡(ドリームインキュベータ)

[18] 武蔵の全株式取得(プライムクロス)

[19] イーエックス・パートナーズの子会社化(ジェイフロンティア)

[20] ネットイヤーグループに対する公開買付けの開始(NTTデータ)

[21] エヌ・ティ・ティ・データによる当社普通株式に対する公開買付けの結果(ネットイヤーグループ)

[22] 連結子会社によるぱむの株式取得(Orchestra Holdings)

[23] 連結子会社によるぱむの株式取得完了(Orchestra Holdings)

[24] ディーゼロの株式取得(Kaizen Platform)

[25] クエリの株式取得(TOKAIホールディングス)

[26] 沿革(TOKAIホールディングス)

[27] ASAの株式取得(ソネット・メディア・ネットワークス)

[28] さうなしの株式取得(SHIFT)

[29] タービン・インタラクティブ社と資本提携(アイレップ)

[30] レイハウオリの株式取得(UTグループ)

[31] イー・ネットワークスの株式取得(デザインワン・ジャパン)

[32] サポタントの株式譲渡(KYCOMホールディングス)

[33] グループ事業紹介(日本創発グループ)

[34] ソニックジャムの株式取得(日本創発グループ)

[35] FUCAの株式取得(エイジア)

Web制作会社を売却・買収するメリット

Web制作会社のM&Aを行うメリットについて、売却側と買収側に分けてお伝えします。

売却のメリット

Web制作会社を売却するメリットは以下の6点です。

Web制作会社の売却益を得られる

株式譲渡によってWeb制作会社を丸ごと売却した場合は、株主である経営者が株式譲渡の対価を得られます。一方で事業譲渡によってWeb制作事業を売却すると、売り手企業に事業の売却益がもたらされます。

まとまった金額の現金を得ることで、悠々自適な老後の生活を送ったり、新しい事業の立ち上げ資金に充てたりすることが可能です。

事業承継を行える

株式譲渡によってWeb制作会社を売却することで、会社の支配権(経営権)を買い手企業に移すことが可能です。そのため、後継者が不在のWeb制作会社でも事業承継を行えます。

従業員の雇用維持を図れる

M&Aによって会社を存続させることで、経営不振や後継者不足の企業でも廃業を回避できます。そのため、従業員の雇用も維持されます。

大手企業の傘下入りが可能

大手IT企業の傘下入りを果たすことで、売り手企業のWeb制作会社はさまざまなメリットを期待できます。

具体的には、受注の安定的な確保(売上の安定化)や従業員の待遇向上、採用力の強化などが考えられます。また、技術者の相互交流やノウハウの活用などにより、収益性や生産性の向上も見込めます。

事業の選択と集中を図れる

事業譲渡の手法を活用することで、支配権を失わずに不要な資産や事業のみを売却できます。そのため、不採算事業を売却して新規事業に経営資源を集中させたり、子会社を売却して主力であるWeb制作事業に集中したりできます。

個人保証や担保から解放される

Web制作会社を売却すると、金融機関から融資を受けた際に負った個人保証や担保を解除してもらえることが一般的です。個人保証や担保がなくなることで、会社が倒産した際にご自身に返済義務が発生するなどのプレッシャーから解放されます。

買収のメリット

Web制作会社を買収するメリットは以下の3点です。

優秀な人材やWeb制作のノウハウを確保できる

Web制作会社を買収することで、相手企業で働いていた優秀なエンジニアやデザイナーなどの人材を確保できます。また、サイト制作や運営、SEO対策などのノウハウも取得できます。

優秀な人材やノウハウを確保することで、Web制作事業の収益力を高めることが見込めます。また、Web制作との関連性が高い事業(システム開発など)の強化にもつながります。

事業規模の拡大によって売上増加やコスト削減を見込める

Web制作会社を買収することで、売り手企業が持っていた人材だけでなく、取引先や顧客、事務所、機械設備などのリソースも取り込めます。そのため、事業規模の拡大によって売上高の増加を期待できます。

また、事業所の統廃合やマーケティング活動の最適化などを行い、コストの削減を図ることも可能です。

短期間かつ低リスクでWeb制作事業に新規参入できる

一からWeb制作事業を始める場合、コンテンツ制作やプログラミング、SEO対策などのスキルやノウハウを身につける必要があります。また、認知度の拡大や顧客確保の活動も求められます。

そのため、事業が軌道に乗るまでには相応の時間がかかる上に、スキルや実績がない状態で事業を始めるため、成功する可能性は高くないといえます。

一方でM&Aを行えば、すでに事業が軌道に乗っているWeb制作会社を買収できます。必要な経営資源が揃った状態で事業を開始できるため、事業を軌道に乗せるまでの期間やリスクを減らすことが可能です。

Web制作会社を売却する方法

eb制作会社を売却する際に押さえておきたい手法は、株式譲渡、事業譲渡の2つです。それぞれの想定される主なケース、メリット・デメリット、会計税務(キャッシュフロー)について、簡単にまとめましたので、ご参考にしていただければと思います。

>>Web制作会社の売却について、アドバイザーに無料相談する

会社・事業の売却時に押さえておきたいM&Aの手法

株式譲渡

想定される主なケース売り手側が単一の事業である
メリットスピーディー/手続きが容易
(株式譲渡契約)
デメリット○株主が分散していると説明や説得に時間労力がとられる
○資産負債や人材などの取捨選択がしにくい
会計税務
(キャッシュフロー)
株主に所得税がかかる
(個人にお金が入る)

事業譲渡

想定される主なケース○売り手側が複数の事業を持っており、そのうちの一部を譲渡する
○売り手側が個人事業主である
メリット複数事業の一部譲渡が可能
デメリット時間がかかる/手続きがやや煩雑
*従業員と買い手の個別労働契約
*各種口座、各種契約の巻き直し
会計税務
(キャッシュフロー)
売り手側法人に法人税がかかる
(法人にお金が入る)

>>M&Aスキーム・手法について、以下の記事で詳しく解説しています。

Web制作会社を売却する流れ

Web制作会社の売却は、一般的に以下の流れで実施されます。

準備フェーズ

売却の目的・戦略の洗い出し

Web制作会社の売却では、まずM&Aを行う目的と戦略を洗い出します。目的と戦略が明確でない状態だと、希望する相手とM&Aを行えなかったり、M&Aのメリットを得られなかったりするおそれがあるためです。

たとえば、後継者不足が課題であれば「事業承継」が目的となります。事業承継が目的であれば、「従業員を大切にしてくれる売却先を選定する」、「大手IT企業に三回りし、従業員の待遇向上を図る」といった戦略が考えられます。

M&Aの専門家への相談・契約

目的と戦略が明確になったら、M&Aの専門家(仲介会社や公認会計士などのアドバイザー等)に事前相談します。この段階では、M&Aの実現可能性や売却金額の目安、必要となる手続きなどについて相談し、M&Aを行う際の不安を解消することが大切です。

信頼できる専門家が見つかったら、M&Aの専門的な実務をサポートしてもらうためにアドバイザリー契約を締結します。

なお、M&Aのプロセスでは外部の企業に自社の機密情報が漏えいする可能性があるため、M&A専門家との間で秘密保持契約を締結し、漏えいを防ぎたい情報の範囲や漏えいした場合の責任などを定めておくことが重要です。

買い手候補の選定

M&A専門家との契約が完了したら、専門家からのサポートを得ながら買い手候補を選定します。一般的には、以下の流れで買い手候補を選定します。

1.ロングリストの作成:数十社程度の買い手候補を選定する

2.ショートリストの作成:実際に交渉する買い手候補を数社程度に絞り込む

3.M&Aの打診:ショートリストをもとに、M&Aの専門家や売り手企業の担当者が買い手候補にM&Aの打診を行う

4.買い手候補によるノンネームシートの検討:特定されない範囲で売り手企業の情報が記載されたノンネームシートをもとに、買い手候補がM&Aを行うかどうか検討する

5.秘密保持契約の締結:買い手企業との間で秘密保持契約を締結し、情報の漏えいを防ぐ

6.IMの開示と検討:具体的に売り手企業の情報が記載されたIM(インフォメーションメモランダム)を開示し、それをもとに買い手候補がM&Aの実施を検討する

上記の流れを経て、買い手企業と売り手企業がお互いに興味を持ったら、これ以降より本格的に交渉を開始します。

交渉フェーズ

トップ面談・交渉

交渉に先立って、買い手企業と売り手企業の経営者同士が顔を合わせ、トップ面談を実施します。トップ面談は、双方が経営のビジョンや価値観を確認し、信頼関係を構築する目的で実施します。

トップ面談を終えたら、条件部分の交渉を実施します。従業員の待遇や売却金額などの基本的な条件に加えて、用いるM&Aの手法なども検討します。

基本合意書の締結

交渉によって双方で条件面の合意をある程度行えたら、その内容を基本合意書に記載・締結します。基本合意書は売り手・買い手双方の認識を一致させること、スケジュールを明確にすることを目的に締結します。

なお、基本合意書の内容には、一般的に独占交渉権などの一部項目をのぞいて法的拘束力を持たせません。

デューデリジェンス

基本合意書を締結したら、買い手企業およびM&A専門家によるデューデリジェンスが実施されます。

デューデリジェンスとは、売り手企業が有する法務や財務面などのリスク・問題点を洗い出し、M&Aに与える影響や対処の方針を決定することです。売り手企業の事業計画書や財務諸表などの資料が必要となるため、円滑かつ真摯に資料提出に応えることが大切です。

デューデリジェンスの結果を受けて、買い手企業側で買収価格や条件面の修正を行います。

契約・クロージングフェーズ

最終交渉・契約書の締結

買い手企業側で修正した買収価格や条件をもとに、最終的な交渉を行います。売り手企業側では、修正された内容をもとに、M&Aを実施するかどうかを検討することが重要となります。

条件面に合意できたら、最終契約書を買い手企業との間で締結します。最終契約書には、交渉によって決定した条件に加えて、表明保証や補償条項、クロージングの前提条件なども盛り込まれます。

クロージング

最終契約書を締結したら、記載された内容に沿って、クロージングを実施します。クロージングとはM&Aの取引自体を実施するプロセスであり、株式の譲渡や対価の支払いが当てはまります。

一般的には1ヶ月〜半年以上の期間を要しますが、小規模な株式譲渡などのケースでは、契約当日中〜数日中にクロージングを終えることも可能です。

経営統合フェーズ

クロージングによってWeb制作会社の売却は完了となります。売却が完了したら、買い手企業側でPMI(経営統合)を行います。PMI(Post Merger Integration)では、ITシステムや人事制度などの統合を行います。

>>Web制作会社の売却について、アドバイザーに無料相談する

Web制作会社を高く売却するための交渉術

前述のとおり、Web制作会社の売却価格は買い手企業との交渉によって決定します。
したがって、交渉次第では相場以上の価格でWeb制作会社を売却できる可能性があります。

この章では、Web制作会社を高い価格で売却できる可能性を高める上で役に立つ交渉術を6つ紹介します。

売却するタイミングを見極める

Web制作会社を高く売却するには、タイミングの見極めが非常に重要です。最適なタイミングは以下の3つです。

1.Web制作事業の売上や利益が成長している

2.Web制作業界の市場規模が活発である

3.Web制作事業の買収が活発(ニーズがある)

売上や利益が成長しているタイミングであれば、収益性や将来性を高く評価してもらえるため、売却金額も高くなる傾向があります。市場規模や買収が活発なタイミングであれば、買い手企業による需要が大きいため、高い価格での売却が成立しやすくなります。

なお、急な市場環境の変化などにより、売上の成長が止まったり、買収ニーズが減少したりする可能性がある点には注意が必要です。

企業価値の向上を図ってから売却する

最終的には買い手企業との交渉次第ではあるものの、基本的にはバリュエーションの結果によって売却金額を決定します。そのため、企業価値が高いWeb制作会社であるほど、売却価格は高くなる傾向があります。

したがって、会社や事業の売却までに余裕があるならば、企業価値の向上を図ることが効果的です。企業価値の向上施策としては、ノウハウの確立や安定的な受注につながる取引先の確保などが考えられます。

買い手企業に対して、自社の強みや魅力を訴求する

買い手企業が自社の強み・魅力を認識し、高く評価すれば、高い金額での売却が成立しやすくなります。したがって、交渉の際には自社の強みとなるノウハウや技術などを最大限アピールすることが重要です。

強みを訴求する際には、他社との比較や客観的なデータを用いるなどして、買い手企業に強みであることを納得してもらうことがポイントとなります。また、買い手企業がM&Aを行う目的を理解し、その目的を自社の買収によって達成できる点を訴求するのも効果的です。

従業員を円滑に引き継ぐ

Web制作会社にとって、質の高いサイトや動画等のコンテンツを制作する従業員は利益を生み出す源泉です。優秀な人材を引き継げることを考慮して、高い金額で買収する買い手企業も少なくありません。

そのため、Web制作会社を売却する際に、従業員が買い手企業への引き継ぎを拒否して離職するなどした場合、売却金額を減額されるリスクがあります。

こうした事態を防ぐためには、買い手企業に対して従業員を円滑に引き継ぐことが不可欠です。そのためには、買い手企業との交渉によって従業員の待遇を維持または向上させたり、従業員が安心できるタイミングでWeb制作会社を売却する旨を説明したりすることが大切です。

買い手企業から見てマイナスとなり得る要素を減らしておく

買い手企業から見てマイナスとなり得る要素があると、企業価値の評価やデューデリジェンスの結果が悪くなり、Web制作会社を高く売却できない可能性が高まります。そのため、マイナスとなり得る要素はできる限り減らした上でM&Aを行うことが最善策です。

マイナスとなり得る主な要素、および減らすための対策は以下のとおりです。

マイナス要素対策
不要な資産・在庫等処分や売却によって数を減らしておく
簿外債務・偶発債務プレDDを行うなどして項目を把握し、専門家の協力を得た上で改善する
親族などに対する株式の分散遺留分に関する民法の特例活用などにより、現経営者に対する株式の集中を図る
現経営者に対する依存現経営者がいなくても利益を生み出せるように、人材育成・確保やビジネスモデルの改革を行う

Web制作業に詳しいM&A専門家のサポートを得る

Web制作会社を高い金額で売却するには、売り手企業が有するWeb制作のノウハウや技術等を企業価値評価に反映させることが重要です。また、売り手企業が有するWeb制作事業の価値を理解でき、かつシナジー効果を期待できる買い手候補を選定することも大切です。

したがって、Web制作業に詳しいM&A専門家によるバリュエーションやマッチング等のサポートを得ることが効果的です。

Web制作会社を売却する際の注意点

Web制作会社を売却する際には、下記に挙げた2点に注意が必要です。

M&Aの準備から成立までには時間を要する

売却が完了するまでには相手探しや交渉、デューデリジェンスなどの手続きをこなす必要があるため、Web制作会社の売却が成立するまでには一般的に3ヶ月から1年ほどかかると言われています。買い手探しに難航した場合は、数年かかることもあり得ます。

したがって、Web制作会社の売却には十分な余裕を持って取り組むことが大切です。

顧客や取引先との契約関係にトラブルが潜んでいるおそれがある

Web制作会社に特有の問題として、サイトなどの成果物に関して、顧客や取引先との契約上のトラブルが潜んでいるおそれがある点が挙げられます。具体的なトラブルの内容としては、たとえば以下が挙げられます。

○自社が著作権者であるコンテンツに関して、顧客や取引先が勝手に商用利用している

○サーバーの契約名義が誰になっているか分からない

○中途解約の条件や料金等に関して顧客との間で認識に相違がある

こうしたトラブルを放置した状態でWeb制作会社を売却すると、デューデリジェンスで偶発債務と認識されてしまい、M&Aの交渉が白紙となったり、売却金額が減額されたりするリスクがあります。また、売却後に顧客と買い手企業の間でトラブルに発展し、その責任を追及されるおそれがあります。

こうした事態を回避するためにも、弁護士などの専門家の協力を得た上で、契約関係のトラブルを未然に洗い出しておきましょう。トラブルが見つかった場合は、できる限り解決した上でM&Aを行うことが最善策となります。

Web制作会社の売却時にM&Aアドバイザーに相談するメリット

Web制作会社の売却に際しては、M&Aアドバイザーに相談することが望ましいです。
M&Aの専門家に相談するかどうかで、会社売却や買収の成功が左右されると言っても過言ではないためです。
この章では、M&Aアドバイザーに相談すべき3つの理由を具体的にお伝えします。

妥当な金額・高い金額で売却できる可能性が高まる

M&Aの専門家は、DCF法などの手法を用いて妥当な企業価値を算出します。また、Web制作業に強い専門家であれば、経営資源の価値を企業価値に反映してくれるため、高い金額で売却できる可能性も高まります。

自社にとって最適な買い手候補を探してもらえる

M&Aの専門家は幅広いネットワークを有しているため、自力で見つける場合と比べて、より適切な買い手候補を探してもらいやすくなります。シナジー効果を見込めたり、自社の従業員を大切にしてくれたりする買い手候補を探してもらえれば、そうでない場合と比べて満足いく売却結果となりやすいです。

M&Aのスキームや戦略に関する助言を得られる

前述のとおり、M&Aには株式譲渡や事業譲渡など様々なスキームがあり、スキームごとにメリット・デメリット、最適な活用場面などは異なります。また、M&Aを行う目的によって最適な戦略は変わってきます。

こうしたスキームや戦略の選択(策定)には、M&Aに関する専門的な知識が求められます。そのため、M&Aの専門家に相談すれば、最適なスキームや戦略の助言を得られるため、Web制作会社の売却が成功する可能性を高めることができます。

資料作成などの作業を代行してもらえる

Web制作会社の売却プロセスでは、ノンネームシートや基本合意書、最終契約書など、多岐にわたる資料を作成する必要があります。また、デューデリジェンスへの協力なども求められるため、すべての手続きを自力で行うと膨大な労力を要します。

M&Aの専門家に協力してもらうと、こうした手続きの一部またはすべてを代行してもらえます。そのため、Web制作会社の売却にかかる手間を大幅に削減することが可能です。

また、法的拘束力を有する重要な契約書などの作成もサポートしてもらうことで、買い手企業とのトラブルを回避する効果も見込めます。

交渉を円滑に進めることができる

売り手企業と買い手企業は、お互いにできる限り自社にとって有利な条件でM&Aを行いたいと考えて交渉に臨みます。そのため、当事者同士のみの交渉を行うと、話が平行線となって条件面で合意できないおそれがあります。

M&Aの仲介会社に依頼すれば、公平な第三者の立場として売り手と買い手の間に入り、双方にとって納得できる条件を提示してくれます。また、売り手と買い手の双方が公認会計士などのM&Aアドバイザーに依頼した場合も、各専門家が客観的な視点で納得できる条件を探ってくれます。

そのため、当事者同士で交渉を進める場合と比べて、より円滑に交渉を進めやすくなります。

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まとめ

Web制作の市場規模は拡大しているものの、参入障壁の低下などにより今後はさらに競争が激化すると考えられます。大手企業の傘下入りによる収益性向上などを見込めるWeb制作会社の売却は、競合他社に優位性を確立する手段の1つとなり得ます。

今回お伝えした事例や交渉術を参考に、Web制作会社の売却をご検討いただけますと幸いです。

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伏江亜矢
監修者:伏江亜矢
株式会社コーポレート・アドバイザーズM&A 企業提携第三部 部長
金融機関で法人営業を担当後、2012年にコーポレート・アドバイザーズ入社。M&Aの事前準備から、候補先のソーシング、企業価値評価、条件交渉、クロージングまで一気通貫した支援を行っている。 ヘルスケア・ライフサイエンス(医療・介護・メーカー・卸商社)、IT・ソフトウエア(Webサービス、システム開発)、人材サービス(派遣、警備、ビルメンテナンス)などのM&A支援経験が豊富。 M&A成功のために必要な情報をわかりやすく解説するコラムサイト「よくわかるM&A」の運営責任者。
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会社概要

日本クレアス税理士法人|コーポレート・アドバイザーズ グループでは、20年間にわたり2000件以上の会社売却・M&A支援を行っています。

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