監修者:伏江 亜矢(株式会社コーポレート・アドバイザーズM&A 企業提携第三部 部長) 介護(介護施設、訪問看護、訪問介護、デイサービス)・福祉・医療業界など担当 |
介護施設(有料老人ホーム・サービス付き高齢者向き住宅)の売却を検討中のオーナー経営者様に、手続き流れ、価格相場、最新の売却事例を解説します。
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介護施設・老人ホームのM&A売却・承継案件一覧
東京都内)地域密着型介護施設2か所|事業譲渡
強み・特徴
【財務】譲渡対象施設の直近売上は約8500万円、直近利益は約2000万円。
【拠点】中古住宅を活用(賃貸)した地域密着型の介護施設(2か所)
【スキーム】行政との関係性も良好であり、事業譲渡スキームに伴う各種申請について、内諾を得ている状態。
【目的】選択と集中により、介護事業のみを譲渡するもの。
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中部)住宅型有料老人ホーム|事業譲渡
強み・特徴
【施設】約50室(2人部屋有)
【サービス】入居一時金は1000万円以上
【希望額】介護施設の不動産価額相当(土地・建物合計5億円弱)での譲渡を希望
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東海・北陸)デイサービス・有料老人ホームなど|株式譲渡
強み・特徴
【財務】コロナ感染症の影響により売上利益ともに減少し前期は赤字となったが、足元利用者数回復し今期は黒字見込んでいます
【目的】後継者不在による事業承継
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介護施設(有料老人ホーム・サ高住)の売却手続きの流れ
会社・事業の現状把握、条件検討
事業所別の決算情報や自社の強み・弱みや業界動向、市場の分析などを踏まえ、売却の目的、希望条件などを検討します。
M&A専門会社との契約
売り手自らが買い手を探し、直接交渉を行って売却することも可能ではありますが、買い手を探す範囲が非常に限定されてしまいますし、多方面の知識が要求されるM&A取引を単独で進めるのは容易ではありません。
通例は、M&A専門会社(仲介会社など)と契約を結び、企業価値評価や事前検討事項のブラッシュアップ、買い手とのマッチング、条件交渉、手続き実行などに関する支援を受けながら売却を進めていきます。
交渉相手の選定
事前検討の内容をもとに、相性のよい交渉相手(売却の目的や条件に合致し、大きなシナジーを見込める相手)を探します。
有望な候補が見つかったら、事業内容や売却の条件などをまとめた概要書を相手方に提示して交渉を打診します。
売却を検討していることが外部に漏れると、運営中の事業に支障が生じたり、売却が難しくなったりする恐れがあります。そのため、この段階では院名などは伏せて、どの企業であるか特定できないような情報だけを概要書にまとめ、限られた候補企業にだけ提示します。
初期交渉・トップ面談
相手企業が交渉に興味を示したら、秘密保持契約を取り交わした上で、互いに社名を含むより詳細な情報を交換します。
これをもとに相手企業に対する分析や今後の交渉に関する検討を行ったのちに、経営者同士の面談(トップ面談)を行い、互いの意思を確認します。
基本合意締結
初期交渉・トップ面談で話がまとまれば、基本合意を締結します。
基本合意には、現時点での暫定的な売却条件や、今後の交渉に関する義務(一定期間の独占交渉権など)を定めます。
デューデリジェンス・関係者との交渉
買い手側は売り手企業の実情に関する詳細な調査(デューデリジェンス、買収監査)を行い、M&Aの支障となるような問題点・リスク(不適切な療養費請求、雇用・サービスを巡るトラブル、帳簿に載らない債務など)を抽出し、対応を検討します。
売り手側は調査に必要な範囲で内部資料などを提供し、デューデリジェンスに協力します。
賃貸店舗で営業している事業を譲渡する場合、賃借権を買い手に移転することになりますが、それには地主の承諾が必要になるのが通例です。できるだけ早い時期に地主と交渉し、承諾を得ておく必要があります。
リース契約など、その他の契約でも同様の交渉が必要になることがあります。また、従業員の雇用を買い手企業が引き継ぐためには、従業員当人の同意が必要です。
最終条件交渉~譲渡契約締結
デューデリジェンスの結果をもとに最終的な条件交渉を行い、交渉がまとまれば最終契約締結となります。
売却実行(クロージング)
株式譲渡の場合、対価の受け渡しと株券交付または株主名簿書換えにより売却が成立します。ただし、場合によっては事前手続きに手間がかかることがあります(譲渡制限株式の譲渡承認のための株主総会、少数株主からの譲渡委任状取り付け、未発行株券の発行など)。
事業譲渡の場合、事業に関わる資産や契約などを1つ1つ買い手に移転する手続きが必要です。移転に際して登記や契約相手方の合意が必要なものもあり、売却が完了するまでには相応の時間がかかります。
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介護施設の売却価格の相場
介護施設の売却を検討する際に、「どのくらいの価格で売却できるのか?」は気になる部分かと思います。売却価格の目安を知るためには、相場の理解が役に立ちます。この章では、介護施設の売却価格に関する相場の簡易的な算出方法、売却価格の決め方をわかりやすく解説します。
簡易的な売却相場の算出方法
年倍法(年買法)による算出方法
経営者のための事業承継マニュアル(中小企業庁)によると、中小企業のM&Aでは、時価純資産にのれん代(年間利益の数年分)を足し合わせた金額を売却価格の相場として考えることが一般的です。なお、この算出方法は「年倍法(年買法)」と呼ばれており、介護施設の運営会社の売却価格相場を簡易的に求める際にも役立ちます。足し合わせるのれん代は、2〜5年分とすることが一般的です。
◆売却価格の相場 = 時価純資産 + 営業利益 × 2〜5年分
たとえば時価純資産が7,000万円、各年の営業利益が3,000万円の介護施設の運営会社について、3年分の営業利益をのれん代とした場合の売却価格相場は以下のとおり算出できます。
◆売却価格の相場 = 7,000万円+ 3,000万円 × 3 = 1億6,000万円
最終的な売却価格の決め方
最終的な売却価格は、市場の状況や事業の成長性などを基準に企業価値や株主価値を算出し、その結果をもとに買い手企業との交渉によって決定します。
企業価値・株主価値とは
企業価値とは、投資家に対する企業全体の価値を表し、「株主価値+負債価値(債権者価値)」で計算できます。一方で株主価値は、企業価値のうち株主に帰属する価値であり、株主に帰属するキャッシュフローの現在価値を合計したものとなります。
企業価値・株主価値の評価方法
企業価値や株主価値を評価するM&Aのプロセスは「バリュエーション」と呼ばれます。バリュエーションの方法は、「インカムアプローチ」、「コストアプローチ」、「マーケットアプローチ」の3種類に大別され、それぞれの特徴やメリット・デメリットは以下のとおり異なります。
インカムアプローチ | コストアプローチ | マーケットアプローチ | |
特徴 | 将来の収益性を基準とする | 過去の蓄積である貸借対照表の純資産を基準とする | 市場取引の視点である過去のM&A事例や類似業種などを基準とする |
主な手法 | ○DCF法 ○配当還元法 ○残余利益法 | ○時価純資産法 ○簿価純資産法 | ○類似会社比較法(マルチプル法) ○類似取引比較法 ○市場株価法 |
メリット | ○将来的な収益性を反映できる ○各社に固有の性質を反映できる | ○客観性の高い評価を行える ○評価を比較的容易に行える | ○客観性の高い評価を行える ○市場の状況を反映できる |
デメリット | ○主観や恣意によって評価が影響される | ○将来的な収益性を反映できない ○市場の取引状況を反映できない | ○短期的な市場の変動に左右される ○各社に固有の性質を反映しにくい |
上記3種類の評価方法を把握し、自社や買い手企業、市場の状況などを踏まえた上で使い分けることが重要となります。また、複数の手法を併用し、より合理性のある評価を行うのも効果的です。
株価評価結果にはこだわりすぎないことが大事!
前述したとおり、最終的な売却価格は買い手企業との交渉によって決定されます。実際のM&Aでは、複数の買い手から提示を受けた結果が現時点における自社の評価となります。そのため、バリュエーションの結果にこだわりすぎないことが大事になります。
買い手企業が自社の有する経営資源(資格を保有するスタッフの存在や技術力など)を高く評価してくれれば、バリュエーションの結果よりも高い金額で売却できる可能性があります。一方で、自社の希望金額よりも買い手企業によるバリュエーションの評価額が低かったり、バリュエーションの結果よりも買い手企業の希望買収額が低かったりする場合もあります。
たとえば、「自社の希望金額と買い手企業による評価額の間にギャップがあるものの、できるだけ早く会社を売却したい」という場合には、別のM&Aスキームを検討したり、希望金額に近い提案を行う買い手候補を探したりする、などの選択肢が考えられます。
また、会社の売却までに時間的な余裕がある場合は、数年かけて企業価値を高める選択肢もとれます。企業価値を高める場合には、プレデューデリジェンス(プレDD)を実施するのがおすすめです。
プレDDとは、M&Aや買い手企業による本格的なデューデリジェンスに先立って、売り手企業の財務状況や収益性、成長性などを分析するプロセスです。プレDDの実施により、M&Aに関係するリスク項目や企業価値を高める上で必要となる要素などを洗い出すことが可能です。
介護施設(有料老人ホーム・サ高住)を高く売却するための交渉術
介護施設を高い金額で売却するにはコツがあります。コツとなる交渉術を知っているかどうかで、高値で売却できる可能性は変わってきます。この章では、事前準備と交渉時に分けて、高い金額で売却するための交渉術をお伝えいたします。
事前準備として行うべきこと
介護施設の売却前にあらかじめ準備した方が良いこととして、以下の4点があります。
経営状況をよく把握する
会社・事業の売却金額は、営業利益や市場シェアなどの経営状況によって変わってきます。したがって、まずは経営状況を入念に把握することが重要となります。経営状況に問題点があれば、事前にできる限り解決しておくことが最善策となります。
たとえば営業利益が赤字の場合は、有利子負債の削減や不要な固定費の削減などにより、黒字化を図ることが効果的です。赤字を黒字に変えるだけでも、高値で売却できる可能性は大きく高まります。
買い手が魅力に感じる強みを把握する
買い手がどのような強みに魅力を感じるかを把握しておくことも重要です。たとえば介護会社・介護事業が買い手企業の場合、人材不足の課題を解決する目的でM&Aを行うケースが多いです。したがって、安定した入居率や優秀なスタッフなどを高く評価する可能性が高いと考えられます。
買い手が魅力に感じる強み(経営資源)を持っている会社・事業は、そうではない会社と比べて高値で売却できる可能性が高まります。そのため、買い手が魅力に感じる強みを把握し、それを自社が持っているかどうかを確認することが重要です。
保有していない場合は、強みを確保・強化するのが最善策となります。具体的に買い手企業が強みと感じる要素はケースバイケースですが、一般的には以下の要素が強みとなります。
〇希少性(立地)
〇優良な財務状況
〇スタッフの状況(保有資格・定着率など)
○汎用的な技術・ノウハウ
スタッフの教育体制を整えておく
介護施設のM&Aにおいて、買い手企業は、前述のとおりスタッフなどの人材確保を目的としてM&Aを行うケースが多いと言われています。そのため、現時点におけるスタッフの量・質だけでなく、「優秀なスタッフを定着・育成できる環境があるかどうか」という中長期的な要素も評価対象となります。
したがって、スタッフの教育体制を整備することも、会社を高く売却できる可能性を高める手段として効果を発揮します。たとえば、社員が最新技術を学ぶ際にかかる費用の一部を補填したり、定期的に勉強会を社内外で実施したりする施策が考えられます。
また、資格や経験豊富なスタッフを育成するだけではなく、育成したスタッフが社外に流出する事態を防ぐ施策も求められます。具体的には、待遇の改善や福利厚生の充実、成果が評価されるような制度の整備などが考えられます。
社会保険の加入状況をチェックしておく
すべての法人および5人以上の常時従業員を雇用している一部業種を除く個人事業所は、社会保険(健康保険、厚生年金)への加入が法律で義務付けられています。[適用事業所と被保険者(日本年金機構)][適用事業所とは(全国健康保険協会)]正当な理由がなく未加入の場合、懲役刑や罰金刑、追徴金などが科されるおそれがあります。
ペナルティがあることはもちろんですが、買い手企業から見ても社会保険の未加入は印象が悪くなるおそれがあります。なぜなら、買い手企業から見て社会保険の未加入は「簿外債務(帳簿に載っていない債務)」となるためです。
したがって、会社を高く売却したいならば、社会保険の加入状況を確認し、未加入などの問題があれば迅速に解決しておく必要があります。
交渉時のポイント
買い手企業との交渉時には、以下3つの交渉術が役に立ちます。
複数の買い手候補と交渉する
売り手企業がまったく同じでも、買い手候補によってバリュエーションの結果は異なることが一般的です。
たとえば資格や経験豊富なスタッフを多く有する会社が売り手の場合、人材獲得を目的とする買い手候補である方が、そうでない買い手候補と比べて高く評価する可能性が高いです。また、会社の買収に対する緊急度が高い買い手候補であるほど、ある程度は高い金額でも売却できる可能性があります。
したがって、複数の買い手候補と交渉することが、高く会社を売却するコツとなります。できる限りたくさんの買い手候補と交渉するほど、より高い評価額を提示してくれる相手と出会える可能性が高まるからです。
また、複数の買い手候補と交渉することで、オークションのように買い手候補間で条件面の競争を促せる場合もあります。
買い手企業が魅力に思う自社の強みを積極的にアピールする
会社を高く売却するには、買い手企業との交渉で自社の価値を認めてもらう必要があります。買い手企業から魅力がある自社の強みを積極的にアピールし、価値を認識してもらうことが重要です。
自社の強みをアピールするには、前述のとおり買い手企業から見て魅力的な強みを整理することが重要です。また、整理した強みを買い手企業に伝わるようにアピールする必要があります。以下4つのポイントを押さえることで、自社の強みを最大限買い手企業に訴求できます。
○買い手企業のニーズを満たすことを明示する
○売上などの客観的なデータを使う
○他社よりも客観的に優れていること、差別化できていることを訴求する
○図やイラストなどの視覚的な訴求手段を用いる
経営課題をしっかり伝える
強みだけでなく、現時点の経営課題をしっかり伝えることも重要です。経営課題を正直に伝えることで、買い手企業から良い印象を持ってもらえる可能性があるためです。また、買収後に何をすべきかが明確となるため、PMI(経営統合)も計画的に行えます。
事前準備段階から、介護業界の現状に詳しい専門家のサポートを受けることも重要
会社を高い価格で売却するには、事前準備の段階から介護サービス業界の現状に詳しいM&A専門家によるサポートを受けることも重要です。
会社を高く売却するには、バリュエーションの際にスタッフや技術、取引先などの価値を正しく評価する必要があります。技術をはじめとした経営資源の価値を見極めるには、介護サービスに関して詳細な知見を有していることが求められます。また、シナジーを最大限生み出せる買い手企業を見つけることも、取引価額を高く売却する上では重要な要素であり、そのためにも介護サービスの知見が重要となります。
つまり、介護サービスに詳しいM&A専門家のサポートを受けることで、自社の強みを実態に即して高く評価してもらえたり、シナジー効果を見込める買い手候補とマッチングしてもらえたりするため、結果的に高い価格で売却できる可能性が高まるのです。
また、M&Aのプロセスでは、契約書の作成やバリュエーション、デューデリジェンスなど、ファイナンスや法務などの専門知識を要する実務がたくさんあるため、専門家の協力を得ずに進めることは困難です。
そのため、会社を高い価格で売る目的だけでなく、M&Aを円滑に進める目的でも、専門家によるサポートは非常に重要になると考えられます。
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介護施設(有料老人ホーム・サ高住)業界とは
介護施設(有料老人ホーム・サ高住)業界の定義
介護施設業界とは、高齢者向けに住まい(施設)を提供し、その施設を運営・管理をする事業者の一群を指します。 この中に、有料老人ホーム・サービス付き高齢者向き住宅が含まれます。
有料老人ホームは、老人福祉法第29条に規定され、「老人を入居させ、入浴、排せつ若しくは食事の介護、食事の提供又はその他の日常生活上必要な便宜であって厚生労働省令で定めるものの供与をする事業を行う施設」です。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、2011年10月に施行された高齢者住まい法第5条に規定されています。状況把握や生活相談といったサービス、高齢者が日常生活を営むために必要な福祉サービスを提供する住宅を指します。
介護施設(有料老人ホーム・サ高住)業界の現状・市場規模
高齢者住宅研究所が2018年3月に公表した「有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅の実態調査報告書」によりますと、介護施設の住宅種別割合では、介護付きが17.19%、住宅型が44.92%、サ高住が34.37%となっています。
また、同報告書で各住宅の職員の離職率を集計したところ、常勤の離職率は 24.29%、非常勤の離職率は 33.99%でした。住宅種別で見ると、常勤の離職率は低い順で住宅型、サ高住、介護付きとなりました。
非常勤の離職率は低い順で、介護付、サ高住、住宅型でした。訪問介護業界においては、離職率の高さが問題となっており、2025年には38万人の人材が不足するとの予測もあります。
厚生労働省「平成29年介護サービス施設・事業所調査の概況」を見てみますと、介護保険施設種類ごとの定員は、介護老人福祉施設が542,498人、介護老人保健施設が372,679人、介護療養型医療施設が53,352 人でした。介護保険施設の種類ごとに1施設当たり定員をみると、介護老人福祉施設が68.7人、介護老人保健施設が86.2人、介護療養型医療施設が44.6人となっていました。
また、同省の「介護給付費等実態調査」によりますと、2020年度は介護費用全体のうち介護福祉施設サービスが1兆9,651億円、介護保険施設サービスが1兆3,460億円となっています。
介護施設(有料老人ホーム・サ高住)業界の主なプレーヤー
介護施設業界では、損害保険や教育サービス、不動産・住宅といった異業種から参入が相次ぎ、主要なプレーヤーとなっています。その中でもサ高住では、異業種からの参入が目立っています。代表的な企業としては、SOMPOケア(SOMPOホールディングス)、ベネッセスタイルケア(ベネッセホールディングス)、学研ココファン(学研ホールディングス)などがあります。
異業種参入の代表格であるSOMPOケアは、2014年にワタミから介護事業を買収し、介護サービスに乗り出しました。その後もメッセージや東京建物の子会社などを次々と買収し、積極的なM&A戦略により事業を拡大してきました。
SOMPOケアは全国で、介護付きホーム・住宅型有料老人ホームなどを約300施設、サ高住を約150施設、グループホームを約20施設と、全体で約470施設を運営しています。睡眠センサーや記録システムなどデジタル技術の導入にも力を入れています。
また、ベネッセスタイルケアは1990年代に高齢者向けホームの運営に参入し、2000年代に入ってからは、介護市場の拡大とともに事業を伸ばしてきました。2010年に有料老人ホームを運営するボンセジュールをするなど、M&Aも活用しながら成長を続けてきました。
介護施設業界の主なプレーヤーとしては、次の通りです。
・SOMPOケア(SOMPOホールディングス) ・ベネッセスタイルケア(ベネッセホールディングス) ・学研ココファン(学研ホールディングス) ・ベストライフ ・ハーフ・センチュリー・モア ・木下の介護(木下グループ) ・メディカル・ケア・サービス(学研ホールディングス) など |
介護施設(有料老人ホーム・サ高住)の現状とM&A・売却動向
介護施設業界のM&Aを検討する際は業界の現状を把握しておくことが大切です。M&Aに影響を及ぼすポイントは次の4点です。
【介護施設業界の現状】
・介護需要の増加
・施設数の増加による競争激化
・慢性的な人材不足
・介護報酬の改定の影響
介護需要の増加
超高齢社会化により、介護需要が増加しています。老人ホーム・介護サービスの受給者数は年々増加しており、施設・人材不足が叫ばれているほどです。国内においては、少子高齢化による人口減少の影響により、あらゆる業種の市場規模の縮小傾向が強まっていますが、介護施設業界は今後の成長が期待される数少ない成長産業となっています。
施設数の増加による競争激化
介護需要の増加を受けて介護施設数が増加しています。異業種からの参入が多い業界であり、競争はさらに激化していくことが予測されます。効率的な経営が難しい中小規模の事業者にとっては、今まで以上に利益創出のための施策が必要になります。
慢性的な人材不足
国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」によると、日本の65歳以上の高齢者人口は2040年代まで増加することが予測されており、それまでは介護市場は拡大していくことが見込まれます。そのため、異業種の参入が続いています。
一方で、介護業界においては、人手不足が大きな経営課題となっています。「介護労働者の確保・定着等に関する研究会 中間取りまとめ」について|厚生労働省によると、国全体で見ると、2025年度までは毎年5万人規模で介護職人材が不足します。ここがピークとなり、2040年度には毎年3万人の不足へと転じます。その後は、高齢者の人数自体が減り始め、介護需要そのものがピークアウトします。人材不足が顕著になるのは、これからの数年であるということがわかります。
介護職の人手不足の主な原因として、賃金など処遇面での改善が進まないといった問題が指摘されており、介護職員処遇改善交付金や、介護職員処遇改善加算などの施策が行われてきました。それでも未だ十分な水準とはいえず、人材不足の改善には至っていない状況です。
介護報酬の改定の影響
介護サービスを提供する老人ホームは、介護報酬改定の影響を大きく受けます。近年の介護費用の高騰から全体的に値上げ傾向が強いですが、サービス種類や規模次第では引き下げられる場合もあります。
ご存じの通り、介護報酬の改定は3年ごとに行われており、老人ホームや介護事業者は個別の対応が求められます。介護報酬改定に経営が左右されないよう、日頃から積極的に経費削減に努める必要があります。
介護施設におけるM&A・売却動向
介護施設の業界は競争が激化しているため、M&Aが活性化しています。独自のサービスまたはエリア特化等により高い収益を維持できるなどの特色がないと、競争を勝ち抜くことが難しい状況となっています。
介護施設におけるM&Aの場合、買い手の目的は事業規模の拡大であり、積極的に中小の介護施設の譲受けを進めています。事業エリアの拡大や人材の獲得などを通して、業界市場のシェア拡大や規模拡大による事業効率化を目指しています。
介護施設の売り手側は、大手グループ傘下に入ることで経営の安定化を図るという事例もみられます。介護業界大手の信用力やブランドについては、入居者を募集するうえで有利になりますので、短期間での成長を目指す場合にも適しています。
介護施設の業界でM&Aが活発化している理由
売り手側のメリット・譲渡理由
経営者の高齢化に伴う事業承継ニーズを解決し、創業者利益を確保できる
多くの中小企業では、いま経営者の高齢化、後継者不在による事業承継ニーズが増えてきています。それは、介護業界でも例外ではありません。会社自体の経営が順調であっても、後継者不在の場合には、経営継続が困難になります。
介護業界では、2000年の介護保険法施行時に介護事業を開始したケースが多くみられますが、当時40-50代だった方は、現在は60-70代となり、事業承継期にあります。この年代の方々の事業承継ニーズが増えています。
また、M&Aを活用することで、創業者利益を確保することができます。M&Aでの売却価格では、通常、のれん(営業権)が加算されるため、社内承継や親族内承継で使用する相続税評価額での評価よりも高くなります。
赤字事業(施設など)の切り離し
介護業界では、さまざまな介護サービスへ展開している企業が多数あります。すべての事業が黒字になるとは限りません。赤字事業をその分野を得意とする企業に譲渡するケースも多いです。
厚生労働省の「令和2年度介護事業経営実態調査結果」によると、同規模の施設でも収支差の分布に大きな差異があり、赤字経営の事業所も一定の割合で存在します。同調査では訪問介護、特定施設入居者生活介護における3~4割の施設で、収支差がマイナスとなっています。
買い手側の理由
既存のサービス利用者や職員、ノウハウを引き継げる
近年は市場のさらなる拡大を期待して介護業界に新規参入したり、既存の介護事業を一層強化したりする事業者が増えています。
そのような事業者にとっては、売り手の持つ介護サービス利用者や職員、サービスのノウハウをそのまま引き継ぐことができれば、早期に収益基盤化することができます。
赤字事業を安価で引き継ぎ、経営改善していく
前述のとおり、厚生労働省の「令和2年度介護事業経営実態調査結果」によると、訪問介護、特定施設入居者生活介護における3~4割の施設で、収支差がマイナスとなっています。
赤字事業を安価で引き継ぎ、経営改善することで、初期投資を抑えて、急速に事業拡大をしている事業者もみられます。
介護施設(有料老人ホーム・サ高住)業界のM&A・売却事例12選
介護施設業界では、介護業界大手によるM&Aが多くおこなわれています。
SOMPOケア、ネクサスケアを子会社化【介護施設×介護施設・訪問介護】
譲渡企業の概要
【譲渡側】ネクサスケア:有料老人ホーム・シニア住宅の企画・建設・運営、訪問介護事業等を展開する。北海道札幌市、宮城県仙台市、東京都および神奈川県主要都市にて、介護付有料老人ホーム 9 か所と住宅型有料老人ホーム 7 か所を運営。
譲受企業の概要
【譲受側】SOMPOケア:SOMPOホールディングスの子会社。東京都品川区に本社を置き、有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅・グループホームの運営、居宅サービス事業を行います。
M&Aの目的
【譲受側】SOMPOケア:サービスエリアの拡大による介護オペレーターとしてのさらなる成長、地域における介護、看護、医療の連携強化による持続可能なサービス提供体制の確保を図る。
M&Aの手法 [1]
実行時期:2022 年 4 月 1 日
手法: 株式譲渡
譲渡金額:不明
学研ココファン、シスケアグループの株式譲受け【介護全般×介護施設の企画・設計】
譲渡企業の概要
【譲渡側】シスケアグループ:高齢者福祉施設・住宅の企画/設計/コンサルティングを累計128棟、サービス付き高齢者向け住宅の建築・運営ブランド「和楽久(わらく)」を全国36棟コンサルティング。木造2階建て、延床面積1,000平方メートル以下で事業費を抑え、入居者負担も軽くするビジネスモデルを特徴としています。
譲受企業の概要
【譲受側】学研ココファンホールディングス:首都圏を中心に高齢者住宅を約 80 拠点、保育施設を約 20 拠点展開しています。
M&Aの目的
【譲受側】学研ココファンホールディングス:拠点開設スピードの飛躍的加速、並びに両社の融合による更に良質なソリューション提供を目指しています。
M&Aの手法 [2]
実行時期:2014年10月1日
手法:株式譲渡
譲渡金額:不明
ソラスト、介護事業のプラスを買収【介護全般×グループホーム】
ソラストは2021年11月に、愛知県でグループホームと小規模多機能型居宅介護を運営する株式会社プラスのすべての株式を取得し、子会社化しました。ソラストの公表資料に寄りますと、取得価額は28億2000万円です。同社は、本M&Aが愛知県を中心とした地域内のサービス拡充と「地域トータルケア」の実現に貢献すると判断したとしています。
譲渡企業の概要
【譲渡側】プラス:愛知県を中心にグループホーム及び小規模多機能型居宅介護を16事業所で運営しています。
譲受企業の概要
【譲受側】ソラスト:「自立支援と地域トータルケア」を理念に2030年には売上高1,500億円、介護サービスを提供するエリアを現在の約3倍にあたる300エリアに拡大し、全てのエリアで訪問介護、通所介護、居宅介護支援、グループホーム、有料老人ホーム他の施設を各1事業所以上運営することを長期経営ビジョンに掲げる。
M&Aの目的
【譲受側】ソラスト:M&A(合併・買収)を通じて、愛知県を中心としたエリア内で提供できるサービス拡充をし、国が進める「地域トータルケア」の実現への貢献をし、事業規模を拡大させたい
M&Aの手法 [3]
実行時期:2021年11月12日
手法:株式譲渡
譲渡金額:2,280百万円
ソラスト、オールライフメイトの株式を譲受け【介護全般×有料老人ホーム】
譲渡企業の概要
【譲渡側】オールライフメイト:東京都や千葉県で有料老人ホーム7か所を展開しています。
譲受企業の概要
【譲受側】ソラスト:「自立支援と地域トータルケア」を理念に2030年には売上高1,500億円、介護サービスを提供するエリアを現在の約3倍にあたる300エリアに拡大し、全てのエリアで訪問介護、通所介護、居宅介護支援、グループホーム、有料老人ホーム他の施設を各1事業所以上運営することを長期経営ビジョンに掲げる。
M&Aの目的
【譲受側】ソラスト:M&Aによって、東京都や千葉県のエリア内で提供できるサービスの種類を増やし、国が進める「地域包括ケアシステム」に対応し、事業規模拡大を目指しています。
M&Aの手法 [4]
実行時期:2018年4月1日
手法:株式譲渡
譲渡金額:10億円
リビングプラットフォームケア、アートアシストから介護施設を譲受け【介護全般×グループホーム】
リビングプラットフォームは2022年2月1日を取得予定日として、連結子会社の株式会社リビングプラットフォームケアを通じ、アートアシストが運営する介護事業の一部を取得することを決めました。リビングプラットフォームは、重点主点地域であるものの未進出であった千葉県内第2位の人口を持つ船橋市で、本M&Aが千葉県内におけるドミナント戦略の強化につながるとしています。
譲渡企業の概要
【譲渡側】アートアシスト:千葉県や東京都など、合計2都道府県にグループホームを展開しています。本件譲渡対象は、船橋市内の高齢者グループホーム1施設。
譲受企業の概要
【譲受側】リビングプラットフォームケア:リビングプラットフォームの子会社。介護関連の事業・保育関連の事業障がい者サービス関連の事業を運営しています。グループ全体で介護施設(主に入居系施設)や障がい者支援事業所、保育園を約100事業所運営し、事業規模拡大の方策として自社開発と事業承継を両輪としています。
M&Aの目的
【譲受側】リビングプラットフォーム:千葉県内におけるドミナント戦略の強化。
M&Aの手法 [5]
実行時期:2022年2月1日
手法:事業譲渡
譲渡金額:不明
日本ホスピスホールディングス、ノーザリーライフケアを買収【ホスピス住宅×有料老人ホーム】
譲渡企業の概要
【譲渡側】ノーザリーライフケア:北海道札幌市内において、住宅型有料老人ホームの運営を中心に、重度訪問介護、看護小規模多機能、訪問介護、訪問看護、それらに付随する障害福祉関連サービス事業を展開しています。道内では数少ないALS等の難病・気管切開・人工呼吸器使用の方々に対応できる施設として、地域医療に貢献しています。
譲受企業の概要
【譲受側】日本ホスピスホールディングス:主に東京都・神奈川県・愛知県において、末期がん患者とALS等の難病患者のためのホスピス住宅を運営。2021年12月期より、京都市、神戸市及び大阪市といった、新たな地域への展開も進め、ホスピス住宅25施設運営しています。
M&Aの目的
【譲受側】日本ホスピスホールディングス:北海道内におけるホスピス住宅の展開。
M&Aの手法 [6]
実行時期:2022年4月1日
手法:株式譲渡
譲渡金額:不明
全研本社、ヒノキヤレスコから事業譲受【広告・SEO・教育等×有料老人ホーム】
譲渡企業の概要
【譲渡側】ヒノキヤレスコ:ヒノキヤグループ<1413>の子会社。住宅事業・リフォーム事業・不動産賃貸管理事業・コンクリート製品の製造販売等を行います。今回の譲受対象は、埼玉県久喜市で3施設を展開する有料老人ホーム「桧家リビング久喜」事業となります。
譲受企業の概要
【譲受側】全研本社:東京都新宿区に本社を置き、広告・マーケティング、SEO、受託開発ソフトウェア業、婚活支援、教育文化事業、ITコンサルティング等の事業を行います。
M&Aの目的
【譲受側】全研本社:譲受対象の3施設を、介護分野における海外人材活用のフラグシップ施設とすることを目指し、海外人材の日本語能力育成や日本への定着支援に加え、利用者様や従業員の方々への異文化理解研修等を実施することで、安定的、円滑な施設運営を行っていく。新たな顧客の開拓を図ることで、今後の海外人材の紹介事業、日本語教育事業の更なる事業拡大を狙う。
M&Aの手法 [7]
実行時期:2022年7月1日
手法:事業譲渡
譲渡金額:不明
テノ.ホールディングス、フォルテを買収【介護全般×サ高住】
テノ.ホールディングスは2022年1月31日付で、フォルテの株式を取得し、会社化しました。テノ.ホールディングスは、介護事業や高齢者向け住宅の運営事業を手がけるフォルテの買収が、介護事業のサービスラインアップの拡充やグループの介護事業の成長に貢献するとしています。
譲渡企業の概要
【譲渡側】フォルテ:大阪府内に介護事業や介護施設を4施設運営しています。関わる全ての人の、人生の「豊」に寄与するという企業理念としています。
譲受企業の概要
【譲受側】テノ.ホールディングス:経営理念の一つに「私たちは、女性のライフステージを応援します。」を掲げ、女性のライフステージを取り巻く多様な社会ニーズに対応するために、事業ドメイン(育児・家事・介護)に沿った新規事業開発を重要な成長戦略の一つとしています。
M&Aの目的
【譲渡側】フォルテ:介護事業のサービスラインアップの拡充を図ります。
【譲受側】テノ.ホールディングス:介護事業(高齢者向け住宅の運営事業)における更なる事業拡大
M&Aの手法 [8]
実行時期:2022年1月21日
手法:株式譲渡
譲渡金額:605百万円
揚工舎、まんまるを買収【介護全般×有料老人ホーム・デイサービス】
譲渡企業の概要
【譲渡側】まんまる:東京都三鷹市で、介護付き有料老人ホーム「みんなの家6丁目」およびデイサービス「みんなの家6丁目」を運営しています。
譲受企業の概要
【譲受側】揚工舎:有料老人ホーム、デイサービス、訪問介護等の在宅介護サービス事業や介護資格取得のための教育事業、ならびに介護人材の紹介・派遣事業を行う。
M&Aの目的
【譲受側】揚工舎:今回の買収先は立地面で東京都三鷹市に位置し、東京近郊に事業拠点を増やしたいという当社の戦略に合致しています。
M&Aの手法 [9]
実行時期:2021年6月30日
手法:株式譲渡
譲渡金額:不明
揚工舎、ケアクリエイトを買収【介護全般×有料老人ホーム】
譲渡企業の概要
【譲渡側】ケアクリエイト:有料老人ホーム「ケアレジデンス河辺」を運営しています。
譲受企業の概要
【譲受側】揚工舎:有料老人ホーム、デイサービス、訪問介護等の在宅介護サービス事業や介護資格取得のための教育事業、ならびに介護人材の紹介・派遣事業を行う。
M&Aの目的
【譲受側】揚工舎:今回の買収先は立地面では東京都青梅市に位置していて、今後東京近郊に事業拠点を増やしていきたいという当社の戦略に合致しています。
M&Aの手法 [10]
実行時期:2020年8月19日
手法:株式譲渡
譲渡金額:不明
リコーリース、介護施設・老人ホーム運営のWelfareすずらんなどを譲受け【金融×有料老人ホーム】
譲渡企業の概要
【譲渡側】Welfareすずらんは2011年に設立され、名古屋市を中心とした中京圏で、住宅型有料老人ホーム(8施設)、障がい者グループホーム(3施設)、認知症対応型グループホーム(1施設)をドミナント展開しています。
譲受企業の概要
【譲受側】リースや集金代行、介護ファクタリングなど、医療・介護業界のお客様へサービスを提供しています。
M&Aの目的
【譲受側】介護施設運営事業への参入
M&Aの手法 [11]
実行時期:2022年12月23日
手法:株式譲渡
譲渡金額:不明
関東エリアの介護付き有料老人ホーム運営会社の株式譲渡【介護全般×有料老人ホーム】
譲渡企業の概要
所在地 | 関東 |
---|---|
事業内容 | 介護付き有料老人ホームの運営 |
譲渡理由 | 事業の選択と集中 |
譲渡企業は、介護付き有料老人ホームを運営している会社で、関西地域及び関東地域に事業所を複数運営しています。
関西地区が地域ドミナントの中心であり、関東地域の事業所が飛び地となっていることから、入居者の募集、介護人材の募集・配置の面で事業所間の効率化を図ることが難しい状況にありました。
譲受企業の概要
所在地 | 関東 |
---|---|
事業内容 | 介護事業の運営 |
買収理由 | 事業の拡大 |
>>「介護付き有料老人ホーム運営会社の譲渡【事業譲渡】」の続きをみる
介護付有料老人ホーム、グループホーム等運営会社の株式譲渡【介護全般×有料老人ホーム・グループホーム】
譲渡企業の概要
所在地 | 中部 |
---|---|
事業内容 | 介護施設の運営 |
譲渡理由 | 後継者問題の解決 |
譲渡企業は、中部エリアにおいて、複数の介護付有料老人ホーム、グループホーム、通所介護および訪問介護の運営をおこなっている地場密着型の介護事業会社。多くのご利用者に恵まれ、かつ各事業所の管理責任者も優秀な人材が揃っていることから、安定した運営状態を維持し、経営状態も順調に推移していました。
しかしながら、創業者である社長の年齢は70才を超えており、「自社の事業承継」という、介護ビジネスとは異なる経営課題に対して向き合わなくてはならない状態になっていました。
以下の記事では、本件のM&A・売却過程について解説しています。
[1] テノHD<7037>、大阪府内で介護施設を運営するフォルテを買収
[2] ソラスト、介護事業のプラスを買収
[3] ソラスト、オールライフメイト(有料老人ホーム)の株式を譲受け
[4] リビングプラットフォーム<7091>子会社のリビングプラットフォームケア、アートアシストから船橋市内の高齢者グループホーム1施設を譲り受け
[5] SOMPOケア、介護サービス事業のネクサスケアを子会社化。同社株主の日本企業成長投資1号投資事業有限責任組合等と株式取得で合意
[6] 学研ココファンホールティングスによるシスケアグループ(高齢者福祉施設・住宅の企画・設計・コンサルティング)の株式譲受け
[7] 日本ホスピスHD<7061>、北海道札幌市内で住宅型有料老人ホーム等運営のノーザリーライフケアを買収
[8] 全研本社<7371>、ヒノキヤグループ<1413>子会社のヒノキヤレスコから有料老人ホーム運営事業等を譲り受け 新たな事業を開始
[9] 揚工舎<6576>、東京都三鷹市で介護付き有料老人ホーム「みんなの家6丁目」等運営のまんまるを買収
[10] 揚工舎<6576>、有料老人ホーム「ケアレジデンス河辺」運営のケアクリエイトを買収
[11] リコーリース<8566>、日本産業推進機構グループ投資先で介護施設・老人ホーム運営のWelfareすずらんなどを買収
まとめ
介護施設業界は、高齢化を受けた介護需要の拡大を受け、市場の成長が続いています。一方で職員の離職といった問題を抱えています。業界プレーヤーでは、異業種からの参入企業が主要な地位を占めています。今後も異業種参入組を中心に、他の介護サービス事業者からの施設運営事業の買収や、地域の中小事業者をグループに取り込み等の動きが活発化すると見られます。
>>介護施設(有料老人ホーム・サ高住)の売却について、アドバイザーに無料相談する
▼以下の記事では、訪問介護の業界動向とM&A事例について解説しています。
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