日本クレアス税理士法人| コーポレート・アドバイザーズ(20年・2000件以上のM&A支援実績)の実務経験者による監修「よくわかるM&A」

人材派遣会社のM&A・売却事例11選と価格相場を解説|2023年最新
監修者:伏江 亜矢(株式会社コーポレート・アドバイザーズM&A 企業提携第三部 部長)
人材サービス(派遣、警備)、IT・ソフトウエア(システム開発、Webサービス)担当

人材派遣会社の売却を検討中の企業経営者様向けに、M&A・売却事例11選と背景・スキームのほか、価格相場やよく使われる手法、売り手と買い手のメリット・戦略についても解説いたします。

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人材派遣業界とは

人材派遣業の定義

人材派遣業とは、労働者派遣法により定められており、派遣元事業主が自己の雇用する労働者を、派遣先の指揮命令を受けて、派遣先のために労働に従事させることを業として行うことをいいます(同法第2条)。

日本人材派遣協会によりますと、派遣会社は労働者の給与支払いや福利厚生、仕事の紹介、派遣先企業との交渉、スキルアップ研修などを通じて、派遣社員をサポート。派遣先企業は派遣社員に対して仕事の指示を行います。

人材派遣の現状・市場規模 

厚生労働省「令和3年6月1日現在の状況概要」によりますと、2021年6月1日時点で、派遣労働者数は約169万人(前年比8.0%増)となりました。このうち、無期雇用派遣労働者は67万6,861人(同10.8%増)、有期雇用派遣労働者は100万9,836人(同6.1%増)でした。また、製造業務に従事した派遣労働者数は約36万人(同15.9%増)となっています。

また、人材派遣業界全体の2020年度の売上高は約8.6兆円でした(厚生労働省の調査より)。人材派遣業が1986年に法律で認められて以降、同業界は国による規制緩和を背景に市場が拡大し、直近のピークとしては、2008年度に売上高約7.8兆円、労働者数198万人に達しました。2008年9月のリーマン・ショックにより、人材派遣市場は縮小しましたが、2014年度以降は世界的な景気回復を受けて、派遣業界の売り上げは回復しました。

人材派遣業界は、新型コロナウイルス感染症が流行し始めた2020年度にあっても、売上高は約8.6兆円と過去最高を記録しました。製造派遣は、工場の操業停止など一時的に影響を受けたものの、IT分野を中心とした技術派遣は、需要が増えています。

出所:厚生労働省「労働者派遣事業報告書の集計結果

人材派遣会社のM&A・売却の動向

人材派遣業界では、大手企業から中小企業まで、M&Aが活発に行われています。人材派遣業界におけるM&A・売却の特徴は以下のとおりです。

買い手の戦略(買収の目的)

・大手・中堅人材派遣会社が規模拡大を目指して同業者を譲り受ける

・大手人材派遣会社が多角化のため、異業種の会社・事業を譲り受ける

・異業種の会社が人材派遣会社・事業を買収して人材派遣業界に新規参入する

売り手の戦略(売却の目的)

・事業承継を目的とした会社売却

・生き残りのため、さらなる成長のための会社売却

買い手の戦略①大手・中堅人材派遣会社が規模拡大を目指して同業者を譲り受ける

大手人材派遣会社の規模拡大を目的としたM&Aが増加しています。人材派遣会社業界の主要プレーヤー各社は、積極的なM&Aを実施して、規模拡大(取引先・派遣スタッフ人材の確保)を図っている状況です。

買い手の戦略② 大手人材派遣会社が多角化のため、異業種の会社・事業を譲り受ける

近年の大手人材派遣会社のM&A事例を見てみると、大半は人材関連サービスですが、人材派遣会社以外にも警備業や工事業などの譲り受け事例が見られます。人材派遣業でのノウハウを生かしつつ、周辺事業への多角化を進めていくことで、景気変動の影響を受けづらく、より経営を安定化させることができます。また、人材サービス関連のニーズは日々多様化しており、人材派遣会社はさまざまなニーズに応えるため新たなサービスを提案しています。

買い手の戦略③ 異業種の会社が人材派遣会社・事業を買収して人材派遣業界に新規参入する

人材サービス関連の企業(システム開発や警備業など)が新たに人材派遣会社を買収するケースは多く見られます。

こうした周辺業界からの人材派遣業界への参入は、人材派遣業の市場の激化をさらに加速させているといえます。

売り手の戦略① 事業承継を目的とした会社売却

他業種同様、人材派遣会社においても後継者不足の企業が多数あり、その選択肢の一つとしてM&Aが活用されています。

売り手の戦略② 生き残りのため、さらなる成長のための会社売却

中小企業は、経営者の高齢化が進んでいる人材派遣会社が多く、人材不足も影響して事業承継ができずに廃業を余儀なくされるケースも見受けられます。

そこで、大手・中堅人材派遣会社や異業種企業への会社売却・事業譲渡による事業承継問題の解決が行われています。

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人材派遣会社のM&A・売却のメリット

人材派遣会社におけるM&A・売却のメリットを売り手、買い手別に解説します。買い手側と売り手側でメリットが異なりますので、それぞれ解説します。

売り手のメリット

人材派遣会社を売却する主なメリットは以下の5つです。

・従業員の雇用維持

・後継者問題の解決

・大手グループ入りによる経営基盤の強化

・売却による資金の獲得

・借入金の個人保証の解除

従業員の雇用維持

人材派遣会社のM&A・売却によるメリットに、従業員の雇用維持が挙げられます。中小企業の人材派遣会社においては、人手の確保、価格競争の激化による利益の圧迫、大手企業に比べIT化・DX化の遅れなど、非常に厳しい経営環境を強いられているケースが多いです。一方で経営状況が良好でも、経営者が高齢化しているものの後継者がいない人材派遣会社もあります。

そういった企業が倒産や廃業をしてしまうことにより、人材派遣会社で働く従業員は、雇用を失ってしまいます。M&A・会社売却を行うことで従業員の雇用は守られます。従業員の雇用維持は、中小企業にとって大きなメリットとなります。

後継者問題の解決

近年は、人材派遣会社における経営者の高齢化や人材不足による後継者問題が影響して、事業承継がうまくいかず廃業してしまう人材派遣会社が増えており、M&A・会社売却によって、同業種または異業種の大手・中堅企業に引き継いでもらうことにより、後継問題の解決ができる点も大きなメリットとなります。

大手グループ入りによる経営基盤の強化

例えば、M&A・会社売却によって大手人材派遣会社や異業種企業の子会社となることで、大手企業が保有する経営資源を有効活用した売上向上が可能です。

例えば、大手企業のグループ傘下に入ることにより、ブランド力が上がり、その企業が持つ営業力、資金力、採用力が自社に取り入れられます。異業種の大手企業の傘下に入ると、同業企業が実現できなかった新たな付加価値をつける取り組みが可能になります。

いずれの場合も売上を増加させる売上シナジーや業務効率化等によりコストを削減するコストシナジー(相乗効果)の発揮が期待できます。

売却による資金の獲得

中小人材派遣会社の経営者は、多額の資金を獲得できるメリットもあります。

売却により得た資金は、新事業の立ち上げや引退後の生活費などいろいろな使途があります。

借入金の個人保証の解除

借入金の個人保証の解除も中小の人材派遣会社の経営者にとって大きなメリットとなります。

M&A後、買い手となる企業が自社の借入金を一括返済するケースもあれば、借入自体は継続して、連帯保証を解除する手続きを行うケースもあります。いずれの場合でも中小の人材派遣会社の経営者の精神的負担となっていた、借入金の個人保証は解除される取り決めを行うことが通常です。

買い手のメリット

人材派遣会社を買収する主なメリットは以下の2つです。

・派遣スタッフや取引先の獲得による事業規模拡大

・人材派遣業界への新規参入

派遣スタッフや取引先の獲得による事業規模拡大

人材派遣業界においては、慢性的な人材不足です。M&Aによって同業他社を買収できれば、派遣スタッフの大量増員が実現します。さらに、大手・中堅の人材派遣会社にとって、自社と重複しない領域の安定的な取引基盤を有する中小の人材派遣会社をグループに取り込むことで、販路獲得というメリットもあります。

人材派遣業界への新規参入

これまで受託や請負の形態で事業を行っていた会社が、取引先からのニーズにより人材派遣事業へ参入するケースが多く見受けられます。その際、自社で派遣スタッフを募集をするよりも、M&Aによって人材派遣会社を買収することで、許認可や人材確保にかかる時間を短縮できたり、人材派遣ビジネスのノウハウの獲得できるなどのメリットがあります。

人材派遣会社の主な売却手法(株式譲渡・事業譲渡・会社分割)

人材派遣会社を売却する際に押さえておきたい手法は、株式譲渡、事業譲渡、会社分割後の株式譲渡の3つです。人材派遣会社では、複数事業を持っていたり、生命保険等の節税(利益の繰り延べ)商品を活用していたりするケースが多く見受けられます。

そのような会社では、株式譲渡や事業譲渡のほか、会社分割も含めた手法の検討が有効です。それぞれの想定される主なケース、メリット・デメリット、会計税務(キャッシュフロー)について、簡単にまとめましたので、ご参考にしていただければと思います。

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■株式譲渡 
想定される主なケース売り手側が単一の事業である
メリットスピーディー/手続きが容易
(株式譲渡契約)
デメリット・株主が分散していると説明や説得に時間労力がとられる
・資産負債や人材などの取捨選択がしにくい
会計税務
(キャッシュフロー)
株主に所得税がかかる
(個人にお金が入る)
■事業譲渡
想定される主なケース・売り手側が複数の事業を持っており、そのうちの一部を譲渡する
・売り手側が個人事業主である
メリット複数事業の一部譲渡が可能
デメリット時間がかかる/手続きがやや煩雑
*従業員と買い手の個別労働契約
*各種口座、各種契約の巻き直し
会計税務
(キャッシュフロー)
売り手側法人に法人税がかかる
(法人にお金が入る)
■会社分割後に株式譲渡
想定される主なケース・売り手側が複数の事業を持っており、そのうちの一部を譲渡する
・売り手側に不動産・保険積立金など余剰資産が多額にある
メリット・複数事業の一部譲渡が可能
・余剰資産の切り離しが可能
デメリット時間がかかる/手続きがやや煩雑
*会社分割の法定手続きが必要
会計税務
(キャッシュフロー)
所得税・法人税
(会社分割の選択スキームによる)

人材派遣会社のM&A・売却価格相場

人材派遣会社の売却を検討する際に、「どのくらいの価格で売却できるのか?」は気になる部分かと思います。売却価格の目安を知るためには、相場の理解が役に立ちます。ここでは、人材派遣会社の売却価格に関する相場の簡易的な算出方法、売却価格の決め方をわかりやすく解説します。

簡易的な売却相場の算出方法

年倍法(年買法)による算出方法

中小企業のM&Aでは、時価純資産にのれん代(年間利益の数年分)を足し合わせた金額を売却価格の相場として考えることが一般的です。[50]なおこの算出方法は「年倍法(年買法)」と呼ばれており、人材派遣会社の売却価格相場を簡易的に求める際にも役立ちます。足し合わせるのれん代は、2〜5年分とすることが一般的です。

 ◆売却価格の相場 = 時価純資産 + 営業利益 × 2〜5年分

たとえば時価純資産が7,000万円、各年の営業利益が3,000万円の人材派遣会社について、3年分の営業利益をのれん代とした場合の売却価格相場は以下のとおり算出できます。

 ◆売却価格の相場 = 7,000万円+ 3,000万円 × 3 = 1億6,000万円

最終的な売却価格の決め方

最終的な売却価格は、市場の状況や事業の成長性などを基準に企業価値や株主価値を算出し、その結果をもとに買い手企業との交渉によって決定します。

企業価値・株主価値とは

企業価値とは、投資家に対する企業全体の価値を表し、「株主価値+負債価値(債権者価値)」で計算できます。一方で株主価値は、企業価値のうち株主に帰属する価値であり、株主に帰属するキャッシュフローの現在価値を合計したものとなります。

企業価値・株主価値の評価方法

企業価値や株主価値を評価するM&Aのプロセスは「バリュエーション」と呼ばれます。バリュエーションの方法は、「インカムアプローチ」、「コストアプローチ」、「マーケットアプローチ」の3種類に大別され、それぞれの特徴やメリット・デメリットは以下のとおり異なります。

 インカムアプローチコストアプローチマーケットアプローチ
特徴将来の収益性を基準とする過去の蓄積である貸借対照表の純資産を基準とする市場取引の視点である過去のM&A事例や類似業種などを基準とする
主な手法○DCF法
○配当還元法
○残余利益法
○時価純資産法
○簿価純資産法
○類似会社比較法(マルチプル法)
○類似取引比較法
○市場株価法
メリット○将来的な収益性を反映できる
○各人材派遣会社に固有の性質を反映できる
○客観性の高い評価を行える
○評価を比較的容易に行える
○客観性の高い評価を行える
○市場の状況を反映できる
デメリット○主観や恣意によって評価が影響される○将来的な収益性を反映できない
○市場の取引状況を反映できない
○短期的な市場の変動に左右される
○各人材派遣会社に固有の性質を反映しにくい

人材派遣業界の主なプレーヤー 

人材派遣業界の大手企業としては、リクルートホールディングス、パーソルホールディングス、パソナグループなどが大手企業です。この他にアウトソーシング、UTグループ、ワールドホールディングス、夢真ビーネックスグループ、日研トータルソーシングなどがあります。

人材派遣業界の近年の傾向としては、事務職や営業支援といった一般的な職種よりも、技術者派遣や製造派遣といったITや製造業系で派遣のニーズが高まっていることが挙げられます。先に紹介したアウトソーシングやUTグループなどは、技術者派遣や製造派遣を主力としています。

また、エンジニア派遣に特化した企業として、メイテックがあります。同社は1974年に創業し、エンジニア派遣では、上場・中堅企業の技術開発部門向けに強みを持ちます。グループのエンジニア社員数は、2022年4月1日時点で12,152人となっています。同社の2022年度を最終年度とする中期経営計画では、重点施策として、最上級のエンジニア集団や技術営業チームを創るといった目標を掲げています。

UTグループは1995年創業で、製造業向けの人材派遣やエンジニア派遣、メーカーからの人材受け入れなどを主要事業としています。同社は顧客企業に派遣する社員を正社員として雇用し、スキルアップやキャリア形成の支援に力を入れています。24年度を最終年度とする中期経営計画では、隣接領域事業への拡大を掲げています。

主な人材派遣会社
○リクルートホールディングス
○パーソルホールディングス
○パソナグループ
○アウトソーシング
○テクノプロ・ホールディングス
○ワールドホールディングス
○ウィルグループ
○UTグループ
○メイテック
○ヒューマンホールディングス

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人材派遣業界のM&A事例11選

ワールドホールディングス、ディンプルを子会社化【人材派遣×人材派遣】

売り手企業の事業内容

ディンブル:接客人材の派遣・紹介やインフォメーション業務の受託等を行う。

買い手企業の事業内容

ワールドホールディングス:人材・教育ビジネス、不動産ビジネス、情報通信ビジネスの計32社の会社で構成

M&Aの実施目的

ワールドホールディングス:ディンプルの付加価値の高いホスピタリティに、ワールドホールディングスの持つサービス系人材事業のノウハウやネットワークを融合させる。これによる更なる事業展開を推し進める。

M&Aの成約に関する詳細

 詳細 [1]
スキーム株式譲渡
実施時期2022年2月
内容ディンプル株主のJ.フロントリテイリングが
ワールドホールディングスに90%の株式を売却
売却金額非公表

iDA、リンクアンドモチベーション子会社の人材派遣事業を譲受け【人材派遣×人材派遣】

売り手企業の事業内容

リンクアンドモチベーション:経営コンサルティング事業、人材育成支援、イベント企画制作等を行う。当事例のM&A対象となる事業は、子会社のリンクスタッフィングが運営している人材派遣事業(営業・販売職に特化した人材)。

買い手企業の事業内容

iDA:ファッション業界に特化した人材派遣事業を営む。

M&Aの実施目的

リンクアンドモチベーション:人材紹介事業に経営資源を集中させるため

iDA:人材不足の解消

M&Aの成約に関する詳細

 詳細 [2]
スキーム事業譲渡
実施時期2022年1月
内容リンクスタッフィング親会社のリンクアンドモチベーションが
iDAに100%の株式を売却
売却金額非公開

アウトソーシング、セレクトスタッフを譲受け【人材派遣×人材派遣】

売り手企業の事業内容

セレクトスタッフ:九州において、物流系や食品工場など幅広い業種への人材派遣を手掛ける。

買い手企業の事業内容

アウトソーシング:国内外における製造系アウトソーシング事業を行う。

M&Aの実施目的

セレクトスタッフ:アウトソーシンググループの営業力や全国の採用力などの経営資源の活用、管理面におけるデジタル化のノウハウを取り入れられる。

アウトソーシング:九州エリアの対応力強化と、物流系等の事業拡大

M&Aの成約に関する詳細

 詳細 [3]
スキーム株式譲渡
実施時期2021年2月
内容セレクトスタッフ株主が
ワールドホールディングスに100%の株式を売却
売却金額非公表

アウトソーシング、新生産業を子会社化【人材派遣×人材派遣】

売り手企業の事業内容

新生産業:業務請負業、派遣業、有料職業紹介事業等

買い手企業の事業内容

アウトソーシング:国内外における製造系アウトソーシング事業を行う。

M&Aの実施目的

新生産業:アウトソーシンググループの営業力や採用力などの経営資源を活用することにより、既存顧客からのオーダーへの充足アップやシェア拡大を図る

アウトソーシング:新潟エリアの対応力強化と、製造派遣領域における事業拡大。

M&Aの成約に関する詳細

 詳細 [4]
スキーム株式譲渡
実施時期2021年2月
内容新生産業株主が
アウトソーシングに100%の株式を売却
売却金額非公表

アウトソーシング、ISC就職支援センターを子会社化【人材派遣×人材派遣】

売り手企業の事業内容

ISC就職支援センター:茨城県を基盤とする、製造系や物流系など幅広い業種への人材派遣業務を行う。また、コールセンター事業も行う。

買い手企業の事業内容

アウトソーシング:国内外における製造系アウトソーシング事業を行う。

M&Aの実施目的

ISC就職支援センター:アウトソーシンググループの営業力や採用力などの経営資源の活用。管理面の底上げによる成長加速。

アウトソーシング:茨城エリアの対応力強化と、グループ内連携による人材の流動化を促進し、人材派遣ニーズへのフレキシブルな対応が可能。また、物流系事業の展開も狙う。

M&Aの成約に関する詳細

 詳細 [5]
スキーム株式譲渡
実施時期2021年12月
内容ISC就職支援センター株主が
アウトソーシングに100%の株式を売却
売却金額非公表

アウトソーシング、サンキョウ・ロジ・アソシエートを子会社化【人材派遣×人材派遣】

売り手企業の事業内容

サンキョウ・ロジ・アソシエート:関東、東北、関西、中国の各エリアにて倉庫内作業向けに人材派遣や業務請負事業を展開。

買い手企業の事業内容

アウトソーシング:国内外における製造系アウトソーシング事業を行う。

M&Aの実施目的

サンキョウ・ロジ・アソシエート:アウトソーシンググループの営業力や全国の採用力などの経営資源を活用できるほか、管理面の底上げによる成長加速を目的とする。

アウトソーシング:両グループの連携による人材流動化と顧客ニーズへのフレキシブルな対応強化。物流系の事業拡大。高齢者や外国人人材の活用の推進。

M&Aの成約に関する詳細

 詳細 [6]
スキーム株式譲渡
実施時期2022年2月
結果サンキョウ・ロジ・アソシエート株主が
アウトソーシングに100%の株式を売却
売却金額約62億円

UTグループ、サポート・システムを子会社化【人材派遣×人材派遣】

売り手企業の事業内容

サポート・システム:関西地域を基盤とし、労働者派遣事業、有料職業紹介事業、アウトソーシング事業、コンサルティング事業を営む。

買い手企業の事業内容

UTグループ:大手企業を中心とした製造工場への人材派遣・請負等の人材サービスを提供

M&Aの実施目的

サポート・システム:UTグループの採用と人材育成基盤の活用

UTグループ:地元で働くことを優先したいニーズに応えるため。地方における職場の開拓を行う。

M&Aの成約に関する詳細

 詳細 [7]
スキーム株式譲渡
実施時期2020年3月
内容サポート・システム株主が
UTグループに51%の株式を売却
売却金額約11億円

UTグループ、プログレスグループを子会社化【人材派遣×人材派遣】

売り手企業の事業内容

プログレスグループ:グループ傘下のプログレスは、愛知県を中心に岐阜県、三重県、長野県、茨城県に事業拠点を構え、自動車及び自動車部品、電子部品、ゴム製品などの製造業を中心とした人材派遣事業等を行う。日本人及び日系外国人併せて約 1,100 名の派遣社員が在籍。

買い手企業の事業内容

UTグループ:大手企業を中心とした製造工場への人材派遣・請負等の人材サービスを提供

M&Aの実施目的

UTグループ:プログレスグループが保有する営業基盤や顧客基盤、採用基盤を活用した事業展開を行うことによる、地域内でのさらなるキャリアプラットフォームの深化、拡大を図る。

M&Aの成約に関する詳細
 詳細 [8]
スキーム株式譲渡
実施時期2021年8月
内容プログレスグループ株主であるライジング・ジャパン・エクイティが
UTグループに100%の株式を売却
売却金額約31億円

UTグループ、富士通エフサス・クリエを子会社化【人材派遣×人材派遣】

売り手企業の事業内容

富士通エフサス・クリエ:人材派遣事業、システムの運用サービス・ヘルプデスクなどの請負事業

買い手企業の事業内容

UTグループ:大手企業を中心とした製造工場への人材派遣・請負等の人材サービスを提供

M&Aの実施目的

UTグループ:両社の強みやノウハウの融合による、人材サービス事業の強化

M&Aの成約に関する詳細

 詳細 [9]
スキーム株式譲渡
実施時期2021年10月
内容富士通エフサス・クリエ株主である富士通エフサスが
UTグループに51%の株式を売却
売却金額1億9000万円(概算)

富士テクノソリューションズ、中日本技研を子会社化【機械設計・ソフトウェア開発×人材派遣】

売り手企業の事業内容

中日本技研:機械設計をベースに電気・電子設計からコンピュータソフト開発まで幅広く事業を展開。

買い手企業の事業内容

富士テクノソリューションズ:機械設計、ソフトウェア開発、ネットワーク構築・運用、電気・電子設計分野といった、中日本技研とほぼ同業の事業を広く展開。

M&Aの実施目的

中日本技研:グループ入りによるシナジー効果を得る。

M&Aの成約に関する詳細

 詳細 [10]
スキーム株式譲渡
実施時期2021年7月
内容中日本技研株主が
富士テクノソリューションズに100%の株式を売却
売却金額非公表

人材派遣会社による職業斡旋事業の株式譲受け【人材派遣×モデル事務所】

売り手企業の事業内容

所在地関東
事業内容モデルエージェンシー
譲渡理由代表者の体調不良

買い手企業の事業内容

所在地関西
事業内容人材派遣・有料職業紹介
買収理由エリア戦略・業容拡充

買収企業は50年以上の業歴を誇る優良企業であり、既存事業の1つである人材ビジネスの拡充が図れる良縁を探していました。

一方、このたびのモデルエージェンシー事業の譲受けについては、業態が異なる部分も多く含まれていることから、十分な時間を費やした協議・検討を行いました。

その結果、独立採算性が確保されているほか、既存事業との親和性が高く、且つグループ戦略として重要な、東京エリアへの進出強化が十分に見込めるとの判断に至り、このたびのM&Aが実現する運びとなりました。

>>『職業斡旋事業の株式譲渡』の続きをみる

参考URL:

[1] ワールドHD<2429>、 J.フロントリテイリング<3086>子会社で人材派遣事業のディンプルを買収

[2] リンクアンドモチベーション<2170>子会社のリンクスタッフィング、国内人材派遣事業をiDAに譲渡

[3] アウトソーシング<2427>、九州において人材派遣を手がけるセレクトスタッフグループを買収

[4] アウトソーシング<2427>、新潟県で人材派遣事業展開の新生産業を買収

[5] アウトソーシング<2427>、茨城県を基盤とする人材サービス企業のISC就職支援センターを買収

[6] アウトソーシング<2427>、倉庫内作業向け人材派遣や業務請負事業のサンキョウ・ロジ・アソシエートグループを買収

[7] UTグループ<2146>、関西地盤の人材派遣会社サポート・システムを買収

[8] UTグループ<2146>、人材派遣会社プログレスの親会社を買収 ライジング・ジャパン・エクイティから株式取得

[9] UTグループ<2146>、富士通エフサス子会社で人材派遣業の富士通エフサス・クリエを買収 富士通<6702>グループとの関係を強化

[10] 富士テクノソリューションズ<2336>、技術者派遣を中心とした情報処理請負事業の中日本技研を買収

まとめ

人材派遣業界は2014年以降、市場が拡大しています。職種では事務職や営業支援といった一般的な職種よりも、技術者派遣や製造派遣といったITや製造業系で派遣のニーズが高まっています。M&Aにおいては、大手グループを中心に再編や事業拡大を目的とした動きが活発化しています。

今回お伝えした人材派遣会社の売却に関する手法や価格相場などを参考に、M&Aの実施を検討していただけますと幸いです。

▼以下の記事では、警備会社の業界動向とM&A事例について解説しています。

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伏江亜矢
監修者:伏江亜矢
株式会社コーポレート・アドバイザーズM&A 企業提携第三部 部長
金融機関で法人営業を担当後、2012年にコーポレート・アドバイザーズ入社。M&Aの事前準備から、候補先のソーシング、企業価値評価、条件交渉、クロージングまで一気通貫した支援を行っている。 ヘルスケア・ライフサイエンス(医療・介護・メーカー・卸商社)、IT・ソフトウエア(Webサービス、システム開発)、人材サービス(派遣、警備、ビルメンテナンス)などのM&A支援経験が豊富。 M&A成功のために必要な情報をわかりやすく解説するコラムサイト「よくわかるM&A」の運営責任者。
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弁護士法人日本クレアス法律事務所
株式会社コーポレート・アドバイザーズ・アカウンティング
株式会社コーポレート・アドバイザーズM&A
株式会社えびすサポート
株式会社結い財産サポート
日本クレアス行政書士法人

■事業内容
会計・税務
M&A(仲介・コンサルティング)
FAS(株価算定/財務調査/企業再編)
人事労務 / 給与計算
相続・事業承継
企業法務・法律顧問
IFRS(国際財務報告基準)・決算開示(ディスクローズ)支援
内部統制(J-SOX)・内部監査
海外現地法人サポート
非上場株式売却コンサルティング(非上場株式サポートセンター

■社員数
417名(グループ全体 / 2023年10月現在)
税理士(試験合格者含む)56名
公認会計士(試験合格者含む)15名
特定社会保険労務士2名
社会保険労務士(試験合格者含む)12名
弁護士 2名
相続診断士41名
中小企業診断士1名
行政書士4名

■関与先
法人 3,240社(うち上場企業85社)
社会福祉法人 133件
クリニック・医療法人・介護福祉等 593件
個人 4,015名
合計 7,981件

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