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M&A体験談インタビュー

M&Aを活用した“警備事業におけるDX領域への本格進出”
M&A体験談インタビュー

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M&Aを活用した“警備事業におけるDX領域への本格進出”

~「伝統的な警備会社」と「デジタルテクノロジー会社」の融合~

タイトル
M&Aを活用した“警備事業におけるDX領域への本格進出”~「伝統的な警備会社」と「デジタルテクノロジー会社」の融合~
インタビュー
株式会社エルテス 代表取締役 菅原貴弘 氏
株式会社アサヒ安全業務社 代表取締役 鈴木一法 氏

写真左:株式会社エルテス 代表取締役 菅原貴弘 氏
写真右:株式会社アサヒ安全業務社 代表取締役 鈴木一法 氏

2020年12月、「1973年設立の伝統的な警備会社」と「リスク検知のデジタルテクノロジー会社」という業界の異なる両社間による戦略的なM&Aが行なわれました。このたびのM&Aの実現は、警備事業におけるDX領域への本格進出が可能となるものであり、今後の警備業界におけるDX化の起爆剤になり得るものと注目が集まっています。株式会社アサヒ安全業務社(以下、「アサヒ安全業務社」)は1973年に設立。鉄道関連工事での列車監視業務を中心に雑踏、交通誘導、常駐保安警備などを提供しています。鈴木社長は2009年に4代目として社長に就任し、社内改革、業容拡大を推進してきました。警備業界のなかでもデジタル化が進んでいないといわれる2号警備の領域にデジタルテクノロジーを融合させたい、という株式会社エルテス(以下、「エルテス」)の構想に共感し、ともに挑戦をすることを決断したM&A。本インタビューでは、いかにしてその決断にいたったのか。幹部メンバーの反応はどうだったのか。M&Aを通じて何を実現させたいのか。アサヒ安全業務社の鈴木社長とエルテスの菅原社長にご登場いただきお話を伺いました。

事業内容

Q.
アサヒ安全業務社の事業内容について教えてください。
A.

鈴木社長:当社では、鉄道施設内や線路近接での工事において警備員を派遣し、作業員の安全、列車の安全運行を確保する「列車見張業務」、地域のイベントなど大勢の観客が集まる場所において事故や犯罪を防止し、参加者の方々が安心・安全に楽しめるよう適切な交通誘導・警備を行う「雑踏、交通誘導警備業務」、施設内に警備員が常駐し、施設の規模や用途に合わせた警備計画を立て、出入管理や防犯、防災管理を行う「施設警備・常駐保安警備業務」などを行っています。1973年の会社設立以来、大手電鉄会社が手がける地域再開発事業ならびに鉄道施設改良工事を施工する各建設会社への警備員派遣をはじめ、信頼の高い警備業務の遂行、安全管理において取引先から多大な信頼を頂いています。特に、鉄道関連工事における列車監視業務に関しては幾多の表彰を受け、特異な存在として活躍し、安全確保のプロとして恥じない業務を遂行してきました。

事業譲受けのご経験について

Q.
鈴木社長は、事業譲受けと株式譲渡の両方を経験されています。まず、事業譲受けのご経験についてお聞かせください。
A.

鈴木社長:2017年5月に株式会社マジェスティー(以下、「マジェスティ」)の施設警備事業部・清掃事業部を譲り受けました。当社は、創業以来、2号警備を中心とした事業を行ってきましたが、2号業務では、警備員の高齢化・人手不足が顕著であり、今後、生き残っていくためには、2号業務に比べ若い人材が集まりやすい1号業務への進出が必要不可欠だと考えていました。ちょうどその頃、コーポレート・アドバイザーズM&A(以下、CAMA)から、M&Aの体験談が聞けるセミナーの案内が来たため参加し、その後の個別相談会に参加しました。待っていてもなかなか良い案件には巡り合えません、譲渡企業開拓のサポートをしますよ、という提案を受け、CAMAに1号業務の譲渡企業開拓の依頼をしました。その1か月後、マジェスティの施設警備事業部・清掃事業部を紹介していただき、条件交渉の末、従業員と取引先を引き継ぐこととなりました。このM&Aは、当初の目論見通り、若手人材の獲得もできましたし、組織の活性化、ブランド価値の向上にもつながったと思います。

株式譲渡の検討のきっかけ

Q.
次に、今回の株式譲渡の検討のきっかけについて教えてください。
A.

鈴木社長:施設警備の事業譲受以降も、当社としては、業容拡大のためM&Aの買い手として、CAMAをはじめとする仲介会社と接していました。ところが、2019年12月にCAMAから「いつもとは逆の提案がある。御社を買収したいという企業があるので詳細説明させてほしい。」といった主旨の連絡が入りました。一体どこの企業なのか、本気度はどの程度なのか、疑心暗鬼で話を聞いてみたところ、「IT企業が警備業界でデジタル化を進めるにあたって、警備会社を立ち上げたが、人材もノウハウも不足しているため、業歴のある優良な警備会社をグループに迎え入れたい。」という内容でした。1号警備ならともかく、2号警備では、スマホが使いこなせない警備員も多いため、デジタル化なんて難しいのでは、現場のことをわかって言っているのか?本気なのか?と思いましたね。一方、実現すれば面白いかもしれないと、少し興味は湧いていました。

Q.
CAMAから初期的な条件・スキームのご説明させていただいた後、2020年2月、菅原社長をはじめとするエルテスの幹部メンバーの皆様から鈴木社長に対する “セキュリティDX構想”のプレゼンテーションを実施しました。
A.

鈴木社長:エルテスの幹部メンバーから、具体的な事例を交えた説明をしていただき、また、疑問点にも答えていただいて、少しずつイメージが湧いてきました。ただ、2号警備のデジタル化は決して簡単ではない、時間がかかるもの、という印象でした。それを率直に伝えたところ、菅原社長から、「簡単でないからこそ、今まで誰もやってこなかった。そこにイノベーションのチャンスがある。」という言葉をいただきました。それを聞いて、心を動かされました。条件次第ですが、進めることにしました。

譲受け企業について

Q.
ここからは譲受け企業であるエルテスの菅原社長にもご参加いただきます。当社から提案させていただいた複数の警備会社のなかで、早い段階でアサヒ安全業務社に絞って交渉を進められました。その理由を教えてください。
A.

菅原社長:アサヒ安全業務社の決算書や初期的なヒアリングの内容を見れば、いかに強固な取引基盤をもち、堅実な経営をされてきたのかがわかりました。警備業界では珍しいと思います。また、2017年5月に事業譲受した施設警備事業やグループ会社のS&T OUTCOMESの特殊な警備業務も魅力的に感じました。さらに、実際に鈴木社長とお会いして、当社のセキュリティDX構想を推進するパートナーとしてふさわしい会社だ、と確信しました。

Q.

その後、コロナ禍のため一時交渉中断しましたが、2020年7月に交渉再開しました。デューデリジェンス前にアサヒ安全業務社の幹部メンバーに対し、本件についてご説明されましたが、その際の反応はいかがでしたか。

A.

鈴木社長:メンバーによって反応は様々でしたが、2号警備の幹部は、「その話、本気ですか?」といった反応でした。やはり、私がはじめに受けた印象と同じく、2号警備とデジタル化があまりに遠いものに思えたのでしょう。一方、1号警備の幹部は、元々デジタル化に関心があったようでして、「非常に興味深い。ぜひ協力させていただきたい。」という反応でした。その後、エルテスの幹部メンバーと何度も意見交換の場を設けて、最終的には、皆、本件に対してポジティブに考えるようになったと思います。

M&A実行後について

Q.

2020年12月にアサヒ安全業務社の株式譲渡が成立しました。鈴木社長とは、契約・実行の直前はほぼ毎日のようにやり取りをさせていただき、様々な手続きや調整についてご対応いただきました。今後も鈴木社長は代表取締役社長を継続されます。実行後の率直なお気持ちをお聞かせください。

A.

鈴木社長:やっと終わった。というのが率直な感想でした。と同時に、新たな一歩のスタートとなるので、エルテスの皆さんの想いに応えられるよう、精一杯協力させていただきたいと思います。

株式譲渡の実行から1ケ月以上たちましたが、正直なところ、取引先との関係も役職員のメンバーも業務内容も何も変わっていません。一方で、社内での共有事項に関しては、これまでは電話一本で済ませることが多かったのですが、関係者間での情報共有のため、メールやチャットでのやり取りが増えました。アナログとデジタルのギャップにまだ少し慣れない部分はあります。また、重要事項の意思決定については、自社の役員会に加え、エルテスの役員会を通す必要があり、スピード感という意味では少し時間がかかってしまっています。そういった変化に戸惑いながらも、エルテスの担当窓口のメンバーとの相性は良いため、大きなストレスや問題もなく、M&A後の統合作業(PMI)を進めています。

役職員については、上場グループ入りしたことにより、いい意味での緊張感が生まれ、やる気になっているメンバーが多くいることを大変うれしく思います。

Q.

鈴木社長は、譲渡側も譲受け側もどちらもご経験されていますが、両方のご経験をされたことによる気づきはありましたか。

A.

鈴木社長:これまでは譲受け側の会社経営者としてM&Aを経験してきましたので、M&A後の統合作業(PMI)の苦労が非常に良くわかります。売りっぱなしは、絶対ダメだと思っていますので、年齢や体調の問題がなければ、譲受け側企業にもう良いですよ、と言われるまで、代表者は継続したほうがよいと考えています。そして、本件の目的である“セキュリティDX構想の実現”のため、できる限りの協力をしていきたいと考えています。

株式譲受により実現したい構想

Q.

続いて、菅原社長にお伺いします。アサヒ安全業務社の株式譲受により実現したい構想についてお聞かせください。

A.

菅原社長:アサヒ安全業務社の警備事業における長年の知見とノウハウに加え、当社グループの保有するリスクデータとAI基盤を中心としたテクノロジーを融合させる事で、デジタルとリアルの両面に対応したデジタル新時代の新たな警備業の創出を実現できると確信しています。

アサヒ安全業務社の株式譲受と同時に、当社は、セキュリティDX領域へ本格進出します。セキュリティDXとは、当社では、従来の警備業態にデジタル活用を推進することでよりセキュアで効率的な変革を促進するコラボレーションやソリューションと定義しています。セキュリティDX領域への本格進出のファーストステップとして、エルテスの知見及び他企業とのアライアンスを活用し、セキュリティ現場のデジタルによる効率化を推進、平行して各種のセキュリティDXプロダクトをテスト開発し、現場投入を推進します。このような高い実用性とセキュアなテクノロジープロダクトを開発し、各種セキュリティ事業者への外部販売を実施していく予定です。

デジタル新時代の新たな警備業の創出は、当社の目指す「健全にテクノロジーが発展する豊かなデジタル社会を守り、デジタル社会にとってなくてはならない存在となること」を実現するための一つのステップです。お客様や社会がまだ気づいていない、次々と現れるデジタルリスクと戦い続けていくことが、当社グループの価値であり役割です。今後もデジタルリスク領域でイノベーションを起こし続けることができるよう、デジタルリスクの解決に努めてまいります。

アサヒ安全業務社、エルテスの幹部メンバーの皆様


【本件担当アドバイザーのコメント】

アサヒ安全業務社の鈴木社長と当社とは、4年ほど前から接点を持たせていただいております。まず、譲受企業として企業価値向上のお手伝いをさせていただき、その後、譲渡企業として、異業種であるIT分野の上場企業のグループ入りのお手伝いをさせていただきました。いずれも、M&A戦略に基づくファインディング(譲渡企業開拓)からご支援させていただきました。

M&Aはゴールではなくスタートである、クロージング式の際にご両社の皆さまがおっしゃっていた通り、ここがスタート地点です。セキュリティDX構想の実現と成功を心から祈念しております。

 

アサヒ安全業務社鈴木社長と当社アドバイザー木下・伏江

 

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