中小企業の事業承継では、次のような問題がよく見受けられます。

 

１．オーナー経営者の相続発生時における自社株式や事業用資産の分散

オーナー経営者の相続発生時、相続人の間で相続争いが発生してしまうと、遺留分減殺請求によって自社株式や事業の継続に必要な資産が複数の相続人の間で分散してしまう恐れがあります。

所有と経営が一致している中小企業は多く、株式や事業用資産が分散してしまうと事業継続に大きな支障を来してしまう可能性があります。

 

２．オーナー経営者の交代に起因する信用不安

オーナー経営者の死亡などによる交代の際、得意先や金融機関等との取引によって分散してしまった株式や事業用資産を買い取る必要がある場合があります。その場合、資金繰りが圧迫される恐れがあります。

 

３．過大な相続税の負担

未公開企業における自社株式は、保有する資産に多額の含み益が生じている場合や業績が好調な場合、評価額が高くなってしまう可能性があります。
その結果、多額の相続税の納付が必要となります。

多くの中小企業では、個人と法人の資産が一体化してしまっており、その場合、多額の相続税負担は結果として個人の相続税納税資金を会社が負担せざるを得なくなることから、企業の財務が脆弱な場合、資金繰りの悪化により経営危機を招く要因となることもあります。