日本クレアス税理士法人| コーポレート・アドバイザーズ(20年・2000件以上のM&A支援実績)の実務経験者による監修「よくわかるM&A」

介護事業所の売却メリット・手続き・価格相場・M&A事例52選|2023年最新
監修者:伏江 亜矢(株式会社コーポレート・アドバイザーズM&A 企業提携第三部 部長)
介護・福祉・医療業界など担当

介護業界では、介護事業者大手・中堅による事業所拡大や異業種による新規参入が続いています。一方、後継者難のみならず、介護報酬の引き下げ、人材確保のコスト上昇やコロナ禍の影響による経営環境の悪化等を理由に事業撤退の方法として、事業売却が増えています。本記事では、M&A・売却メリット・手続き・価格相場・事例などを解説します。

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介護事業所のM&A売却・承継案件一覧

東京都内)地域密着型介護施設2か所|事業譲渡

強み・特徴

【財務】譲渡対象施設の直近売上は約8500万円、直近利益は約2000万円。
【拠点】中古住宅を活用(賃貸)した地域密着型の介護施設(2か所)
【スキーム】行政との関係性も良好であり、事業譲渡スキームに伴う各種申請について、内諾を得ている状態。
【目的】選択と集中により、介護事業のみを譲渡するもの。

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中部)住宅型有料老人ホーム|事業譲渡

強み・特徴

【施設】約50室(2人部屋有)
【サービス】入居一時金は1000万円以上
【希望額】介護施設の不動産価額相当(土地・建物合計5億円弱)での譲渡を希望

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東海・北陸)デイサービス・有料老人ホームなど|株式譲渡

強み・特徴

【財務】コロナ感染症の影響により売上利益ともに減少し前期は赤字となったが、足元利用者数回復し今期は黒字見込んでいます
【目的】後継者不在による事業承継

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介護事業所の分類と業界動向

厚生労働省の発表によると、介護給付金に自己負担分を加えた2020年度の介護費用の総額は、10兆783億円(前年比2688億円の増加)で過去最多を更新しました。高齢化が進み、介護サービスの利用が増えており、総額は年々増加を続けています。介護保険制度による介護サービスは、「居宅介護サービス」「施設サービス(介護保険施設)」「地域密着型サービス」に区分されます。それぞれの区分におけるサービス内容は次の通りです。介護保険制度上の介護サービスでは、介護付き有料老人ホームは、「居宅介護サービス」として提供されており、ややわかりづらい分類となっています。

居宅介護サービス

○訪問サービス(訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリテーション)

○通所サービス(通所介護/デイサービス、通所リハビリサービス/デイケア)

○短期入所サービス(介護、機能訓練のための短期入所/ショートステイ)

○福祉用具のレンタル・販売

○居宅介護支援(ケアプランの作成)

○特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム、ケアハウス等での介護)

施設サービス(介護保険施設)

○介護老人福祉施設(特別養護老人ホームでの介護)

○介護老人保健施設(病院から退院後、在宅生活への復帰を目的としたリハビリテーションを中心とした医療ケア、介護)

○介護療養型医療施設(長期間の日常的な医療ケア、慢性期のリハビリテーション)

▼以下の記事では、介護施設・老人ホームの売却について解説しています。

地域密着型サービス

市区町村内の居住者が利用するサービスとなります。

○夜間訪問介護

○認知症高齢者グループホーム

○小規模多機能型居宅介護(通所を中心とし訪問介護・宿泊も提供)

このうち、株式会社などの営利が運営できるサービスは、「居宅介護サービス」と「地域密着型サービス」に限られます。「施設系サービス」は、株式会社などの営利企業ではなく、医療法人や社会福祉法人等で運営を行います。

▼以下の記事では、医療法人の売却について解説しています。

▼以下の記事では、社会福祉法人人の売却について解説しています。

介護事業の主な業界プレーヤー

営利企業が運営できるサービス(居宅介護サービス、地域密着型サービス)の主なプレーヤーは次の通りです。

訪問型(訪問介護、訪問看護など)
○ニチイ学館(ニチイホールディングス)
○セントケア・ホールディング
○ケア21
○アースサポート
○ロングライフホールディング
通所型(デイサービスなど)
○ツクイホールディングス
○SOYOKAZE(旧ユニマット リタイアメント・コミュニティ)
○ソラスト
○パナソニックエイジフリー(パナソニック)
施設型(有料老人ホーム、グループホームなど)
○SOMPOケア(SOMPOホールディングス)
○ベネッセスタイルケア(ベネッセホールディングス)
○学研ココファン(学研ホールディングス)
○ベストライフ、ハーフ・センチュリー・モア
○木下の介護(木下グループ)
○メディカル・ケア・サービス(学研ホールディングス)

▼以下の記事では、医療法人の売却について解説しています。

介護事業所のM&A・売却動向

コロナ禍で相次ぐ介護業界大手の非上場化

介護業界の大手事業者は、コロナ禍での非上場化が相次いでいます。2020年にはニチイ学館がBain Capital(ベイン・キャピタル)と組んでMBOを行い上場廃止となりました。

また、2021年には投資ファンドMBKパートナーズがTOBでツクイホールディングスを取得しました。

同年、精神疾患患者に特化した訪問看護のN・フィールドは、投資ファンドユニゾン・キャピタルにTOBにより子会社化されました。

さらに、高齢者複合介護施設を「そよ風」のブランドで全国展開する介護事業者SOYOKAZE(旧ユニマット リタイアメント・コミュニティ)は、筆頭株主のユニマットライフによりTOBが実施されています。その後、2023年4月には投資ファンドMBKパートナーズがSOYOKAZE(旧ユニマット リタイアメント・コミュニティ)の株式を取得しました。

その背景には、介護報酬の引き下げや人材確保のコスト上昇などで経営環境が厳しくなっている中、コロナ禍で不透明感が増したことなどが影響しているとみられます。

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介護業界は市場拡大が続き、人手不足が大きな経営課題

国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」によると、日本の65歳以上の高齢者人口は2040年代まで増加することが予測されており、それまでは介護市場は拡大していくことが見込まれます。そのため、異業種の参入が続いています。

一方で、介護業界においては、人手不足が大きな経営課題となっています。介護業界における人材確保に向けた取り組みとして、介護スタッフの処遇改善、アクティブシニアなどが介護助手業務を担うことによる介護業務の分業化、外国人介護人材の受け入れや環境整備の強化などが挙げられます。

なお、2020年には介護従事者に対し、感染による重症化リスクが高い高齢者への接触をしている分野で働く方へ慰労金が支給されました。

介護業界のM&Aは活発化している

介護業界のM&Aは、リーマンショック後に落ち込みを見せたが、2012年ごろから再び増加傾向にあります。

業界のM&Aの件数には、有料老人ホーム運営、訪問介護や通所介護などの介護サービスのほか、介護支援ロボット開発や介護用品製造、介護施設向け食品などの周辺事業も含まれています。

【介護業界のM&A件数の推移】

(出典:大和総研『M&A 動向に見る介護ビジネスの将来性』

介護事業所のM&Aが活発化している理由

売り手側のメリット・譲渡理由

経営者の高齢化に伴う事業承継ニーズを解決し、創業者利益を確保できる

多くの中小企業では、いま経営者の高齢化、後継者不在による事業承継ニーズが増えてきています。それは、介護業界でも例外ではありません。会社自体の経営が順調であっても、後継者不在の場合には、経営継続が困難になります。

介護業界では、2000年の介護保険法施行時に介護事業を開始したケースが多くみられますが、当時40-50代だった方は、現在は60-70代となり、事業承継期にあります。この年代の方々の事業承継ニーズが増えています。

また、M&Aを活用することで、創業者利益を確保することができます。M&Aでの売却価格では、通常、のれん(営業権)が加算されるため、社内承継や親族内承継で使用する相続税評価額での評価よりも高くなります。

赤字事業(施設など)の切り離し

介護業界では、さまざまな介護サービスへ展開している企業が多数あります。すべての事業が黒字になるとは限りません。赤字事業をその分野を得意とする企業に譲渡するケースも多いです。

厚生労働省の「令和2年度介護事業経営実態調査結果」によると、同規模の施設でも収支差の分布に大きな差異があり、赤字経営の事業所も一定の割合で存在します。同調査では訪問介護、通所介護、特定施設入居者生活介護における3~4割の施設で、収支差がマイナスとなっています。

(出典:厚生労働省『令和2年度介護事業経営実態調査結果』

買い手側の理由

既存のサービス利用者や職員、ノウハウを引き継げる

近年は市場のさらなる拡大を期待して介護業界に新規参入したり、既存の介護事業を一層強化したりする事業者が増えています。

そのような事業者にとっては、売り手の持つ介護サービス利用者や職員、サービスのノウハウをそのまま引き継ぐことができれば、早期に収益基盤化することができます。

赤字事業を安価で引き継ぎ、経営改善していく

前述のとおり、厚生労働省の「令和2年度介護事業経営実態調査結果」によると、訪問介護、通所介護、特定施設入居者生活介護における3~4割の施設で、収支差がマイナスとなっています。

赤字事業を安価で引き継ぎ、経営改善することで、初期投資を抑えて、急速に事業拡大をしている事業者もみられます。

会社・事業売却のメリット【廃業との比較】

はじめに、会社を売ることで得られる7つのメリットを廃業の場合と比較しながら解説します。

資金の獲得

会社を売ると、株式や事業の売却益を得られます。詳しくは後述しますが、利益の数年分かそれ以上の現金を得られるため、獲得した資金を新規事業やリタイア後の生活、負債の返済などに充てることが可能です。

また、廃業した場合には設備の処分などに費用がかかります。会社を売ると廃業費用をかけずに済むため、より多くの現金を手元に残せます。

事業承継の実現

帝国データバンクの調査によると、2022年における後継者不在率は57.2%[1]であり、5年連続で不在率は低下しているものの、約半数の企業では後継者がいない状況に直面しています。

後継者が不在の状況だと、黒字の企業でも事業承継を行うことができません。事業承継を行えずに廃業すると、従業員の雇用や取引先との契約を維持できなくなる上に、技術や伝統のブランドなども残せません。

一方で会社を売ると、会社の支配権(≒経営権)を買い手企業に移すことができます。そのため、後継者がいない状況下にあっても、事業承継の問題を解決可能です、

個人保証からの解放

一般的な中小企業の場合、銀行等の金融機関から資金調達する際に、経営者が個人保証を負うことが多いと言われています。個人保証が設定されている場合、倒産などによって返済が困難となった場合に、経営者個人が自らの財産によって返済を負う義務が発生します。

したがって、個人保証は経営者の行動や生活を大きく制限する要因となり得るため、重いプレッシャーとなり得ます。

一方で株式譲渡によって会社を売ると、買い手企業に負債が移動するため、売り手経営者側の個人保証は解除されることが一般的です。
つまり、会社を売ることで負債を返済するプレッシャーから解放されるのです。

日々の業務からの解放

会社を経営していると、営業や書類作成といった日々の業務をこなす必要があります。業務が忙しく、新規事業の立ち上げやプライベートに費やす時間を創出できなくなる事態が考えられます。

会社や事業を売ると、会社経営や事業を手放すことになるため、上述した日々の業務から解放されます。そのため、新規事業の立ち上げや主力事業、プライベートなどに時間を使えるようになります。

事業の存続

前述した後継者不足に加えて、債務超過や赤字などが原因となって、事業の継続が困難となるケースは多々あります。

会社を売ると、事業に関する権利や契約などを買い手企業に移すことができます。そのため、債務超過や赤字などの問題を抱えている企業でも、事業を存続させて、従業員の雇用や取引先との契約などを維持できます。

シナジー効果の創出

M&Aで期待できるシナジー効果とは、複数の会社・事業が1つに統合されることで、各々が別々に存在していた時の合計よりも大きな成果を生み出す効果です。たとえばX社の売上が1億円、Y社の売上が1億円の場合、両社の統合後に2億円を超える売上を得られるようになることがシナジー効果です。

会社売却によって買い手企業の傘下に入ると、人材交流やクロスセルなどにより、売上やコスト、技術開発などの面でシナジー効果を得られる可能性があります。自社のみで事業を行なっている時よりも大きな成果を生み出せる点は、売り手企業と買い手企業の双方にとって大きなメリットです。

会社・事業の業績改善

会社を売ることで買い手企業の傘下に入ると、買い手企業が有しているブランドや知名度、資金力などを売り手企業側でも活用できるようになります。

こうした経営資源を有効活用することで、会社・事業の業績を改善できる可能性があります。たとえば買い手企業の知名度を使うことで、自社の採用力強化や売上の増加を期待できます。

赤字でも売却できる?

営業利益や当期純利益がマイナスの企業である場合、会社を売ることができるかどうか気になるかと思います。売却は不可能というイメージを持たれる傾向があるものの、売却できる可能性は十分にあります。

具体的には、以下の条件に当てはまる企業であれば、赤字でも売却できる可能性はあります。

○優秀な人材や優れたノウハウなど、利益を生み出す経営資源を有している

○将来を見据えて事業への投資を行っていることが原因で一時的に赤字となっている

○買い手企業によるテコ入れやシナジー効果の創出により、業績の改善を期待できる

また、事業譲渡や会社分割の手法を用いることで、利益が出ている事業や買い手企業が欲しい事業のみを売却できるため、上記に当てはまらない企業でもM&Aの相手が見つかる可能性はあると言えます。

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参考URL:

[1] 全国企業「後継者不在率」動向調査(2022)(帝国データバンク)

介護事業所の売却手続きの流れ

事前検討

事業所別の決算情報や自社の強み・弱みや業界動向、市場の分析などを踏まえ、売却の目的、希望条件などを事前に検討します。

M&A専門会社との契約

売り手自らが買い手を探し、直接交渉を行って売却することも可能ではありますが、買い手を探す範囲が非常に限定されてしまいますし、多方面の知識が要求されるM&A取引を単独で進めるのは容易ではありません。

通例は、M&A専門会社(仲介会社など)と契約を結び、企業価値評価や事前検討事項のブラッシュアップ、買い手とのマッチング、条件交渉、手続き実行などに関する支援を受けながら売却を進めていきます。

交渉相手の選定

事前検討の内容をもとに、相性のよい交渉相手(売却の目的や条件に合致し、大きなシナジーを見込める相手)を探します。

有望な候補が見つかったら、事業内容や売却の条件などをまとめた概要書を相手方に提示して交渉を打診します。

売却を検討していることが外部に漏れると、運営中の事業に支障が生じたり、売却が難しくなったりする恐れがあります。そのため、この段階では院名などは伏せて、どの企業であるか特定できないような情報だけを概要書にまとめ、限られた候補企業にだけ提示します。

初期交渉・トップ面談

相手企業が交渉に興味を示したら、秘密保持契約を取り交わした上で、互いに社名を含むより詳細な情報を交換します。

これをもとに相手企業に対する分析や今後の交渉に関する検討を行ったのちに、経営者同士の面談(トップ面談)を行い、互いの意思を確認します。

基本合意締結

初期交渉・トップ面談で話がまとまれば、基本合意を締結します。

基本合意には、現時点での暫定的な売却条件や、今後の交渉に関する義務(一定期間の独占交渉権など)を定めます。

デューデリジェンス・関係者との交渉

買い手側は売り手企業の実情に関する詳細な調査(デューデリジェンス、買収監査)を行い、M&Aの支障となるような問題点・リスク(不適切な療養費請求、雇用・サービスを巡るトラブル、帳簿に載らない債務など)を抽出し、対応を検討します。

売り手側は調査に必要な範囲で内部資料などを提供し、デューデリジェンスに協力します。

賃貸店舗で営業している事業を譲渡する場合、賃借権を買い手に移転することになりますが、それには地主の承諾が必要になるのが通例です。できるだけ早い時期に地主と交渉し、承諾を得ておく必要があります。

リース契約など、その他の契約でも同様の交渉が必要になることがあります。また、従業員の雇用を買い手企業が引き継ぐためには、従業員当人の同意が必要です。

最終条件交渉~譲渡契約締結

デューデリジェンスの結果をもとに最終的な条件交渉を行い、交渉がまとまれば最終契約締結となります。

売却実行(クロージング)

株式譲渡の場合、対価の受け渡しと株券交付または株主名簿書換えにより売却が成立します。ただし、場合によっては事前手続きに手間がかかることがあります(譲渡制限株式の譲渡承認のための株主総会、少数株主からの譲渡委任状取り付け、未発行株券の発行など)。

事業譲渡の場合、事業に関わる資産や契約などを1つ1つ買い手に移転する手続きが必要です。移転に際して登記や契約相手方の合意が必要なものもあり、売却が完了するまでには相応の時間がかかります。

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介護事業所の売却価格の相場

介護事業所の売却を検討する際に、「どのくらいの価格で売却できるのか?」は気になる部分かと思います。売却価格の目安を知るためには、相場の理解が役に立ちます。この章では、介護事業所の売却価格に関する相場の簡易的な算出方法、売却価格の決め方をわかりやすく解説します。

簡易的な売却相場の算出方法

年倍法(年買法)による算出方法

経営者のための事業承継マニュアル(中小企業庁)によると、中小企業のM&Aでは、時価純資産にのれん代(年間利益の数年分)を足し合わせた金額を売却価格の相場として考えることが一般的です。なお、この算出方法は「年倍法(年買法)」と呼ばれており、介護事業所の運営会社の売却価格相場を簡易的に求める際にも役立ちます。足し合わせるのれん代は、2〜5年分とすることが一般的です。

 ◆売却価格の相場 = 時価純資産 + 営業利益 × 2〜5年分

たとえば時価純資産が7,000万円、各年の営業利益が3,000万円の介護事業所の運営会社について、3年分の営業利益をのれん代とした場合の売却価格相場は以下のとおり算出できます。

 ◆売却価格の相場 = 7,000万円+ 3,000万円 × 3 = 1億6,000万円

最終的な売却価格の決め方

最終的な売却価格は、市場の状況や事業の成長性などを基準に企業価値や株主価値を算出し、その結果をもとに買い手企業との交渉によって決定します。

企業価値・株主価値とは

企業価値とは、投資家に対する企業全体の価値を表し、「株主価値+負債価値(債権者価値)」で計算できます。一方で株主価値は、企業価値のうち株主に帰属する価値であり、株主に帰属するキャッシュフローの現在価値を合計したものとなります。

企業価値・株主価値の評価方法

企業価値や株主価値を評価するM&Aのプロセスは「バリュエーション」と呼ばれます。バリュエーションの方法は、「インカムアプローチ」、「コストアプローチ」、「マーケットアプローチ」の3種類に大別され、それぞれの特徴やメリット・デメリットは以下のとおり異なります。

 インカムアプローチコストアプローチマーケットアプローチ
特徴将来の収益性を基準とする過去の蓄積である貸借対照表の純資産を基準とする市場取引の視点である過去のM&A事例や類似業種などを基準とする
代表的な手法○DCF法○時価純資産法○類似会社比較法(マルチプル法)
メリット○将来的な収益性を反映できる
○各社に固有の性質を反映できる
○客観性の高い評価を行える
○評価を比較的容易に行える
○客観性の高い評価を行える
○市場の状況を反映できる
デメリット○主観や恣意によって評価が影響される○将来的な収益性を反映できない
○市場の取引状況を反映できない
○短期的な市場の変動に左右される
○各社に固有の性質を反映しにくい

上記3種類の評価方法を把握し、自社や買い手企業、市場の状況などを踏まえた上で使い分けることが重要となります。また、複数の手法を併用し、より合理性のある評価を行うのも効果的です。

株価評価結果にはこだわりすぎないことが大事!

前述したとおり、最終的な売却価格は買い手企業との交渉によって決定されます。実際のM&Aでは、複数の買い手から提示を受けた結果が現時点における自社の評価となります。そのため、バリュエーションの結果にこだわりすぎないことが大事になります。

買い手企業が自社の有する経営資源(資格を保有するスタッフの存在や技術力など)を高く評価してくれれば、バリュエーションの結果よりも高い金額で売却できる可能性があります。一方で、自社の希望金額よりも買い手企業によるバリュエーションの評価額が低かったり、バリュエーションの結果よりも買い手企業の希望買収額が低かったりする場合もあります。

たとえば、「自社の希望金額と買い手企業による評価額の間にギャップがあるものの、できるだけ早く会社を売却したい」という場合には、別のM&Aスキームを検討したり、希望金額に近い提案を行う買い手候補を探したりする、などの選択肢が考えられます。

また、会社の売却までに時間的な余裕がある場合は、数年かけて企業価値を高める選択肢もとれます。企業価値を高める場合には、プレデューデリジェンス(プレDD)を実施するのがおすすめです。

プレDDとは、M&Aや買い手企業による本格的なデューデリジェンスに先立って、売り手企業の財務状況や収益性、成長性などを分析するプロセスです。プレDDの実施により、M&Aに関係するリスク項目や企業価値を高める上で必要となる要素などを洗い出すことが可能です。

介護業界のM&Aで押さえておきたいポイント

譲渡対象となる会社・事業の経営状態をしっかり把握する

介護業界において、譲渡・譲受けを成功させるためには、譲渡対象となる会社・事業の経営状態をしっかり把握することが重要です。単純に利益率や稼働率の数値をみるだけではなく、その原因までしっかり分析することが重要です。

特に、介護施設の場合には、入居者の属性(介護度)も重要になってきます。例えば、有料老人ホームの場合、収益は家賃収入と介護保険収入で構成されますが、介護保険サービスを必要としない入居者が多いと、介護保険収入が少なくなり、収益性が悪くなります。

つまり、入居者の介護度の低い方が多いと、いくら稼働率が高くても収益が出にくい構造になるケースがあるのです。

また、介護サービス事業では、従業員の状況も重要です。業務量に対し人手が過剰なのか不足しているのか、給与水準は同地域の同業と比較して高いのか低いのか、定着率は高いのか低いのか、といった点を一つ一つ分析していく必要があります。

スキームの選択(株式譲渡・事業譲渡)

介護サービス事業の大半は許認可事業です。売り手側は、不採算事業の切り離し等、事業の一部を譲渡したい場合には、事業譲渡(または会社分割)を選択することになりますが、その場合には、買い手は許認可を取得しなおさなければなりません。

一方、株式譲渡の場合には、運営会社自体は変更しないため、許認可の再取得は不要になります。

従業員との雇用契約、入居契約やサービス利用契約、建物の賃貸借契約については、株式譲渡の場合は、そのまま引き継がれるのに対し、事業譲渡の場合には、すべての契約においてまき直しが必要になります。

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介護業界のM&A・売却事例【2023年最新版】

■ PEファンドによる大手介護事業者のTOB・M&A 2事例

MBKパートナーズ、SOYOKAZE(旧ユニマット リタイアメント・コミュニティ)を買収【ファンド×介護事業全般】

譲渡企業の概要

【譲渡側】SOYOKAZE(旧ユニマット リタイアメント・コミュニティ):介護事業においては、全国で高齢者介護事業を「そよ風」のブランドで展開しています。在宅系から施設系まで展開しており、ショートステイにおいて業界首位の拠点数を持ちます。

譲受企業の概要

【譲受側】MBKパートナーズ:デイサービス大手のツクイのほか、PEファンドチョコレートのゴディバジャパン、ゴルフ場運営のアコーディア・ゴルフなどへ投資実績があります。

M&Aの目的

【譲受側】MBKパートナーズ:傘下のデイサービス大手のツクイと連携し、介護事業の強化を目指す。

M&Aの手法

実行時期:2023年4月を目途(予定)

手法:株式譲渡

MBK パートナーズ、株式会社ユニマット リタイアメント・コミュニティの全株式取得にかかる株式譲渡契約を締結

▼以下の記事では、デイサービスの売却について解説しています。

MBKパートナーズ、ツクイへのTOB【ファンド×デイサービス等】

譲渡企業の概要

【譲渡側】ツクイ:上場会社デイサービスの拠点数は全国560か所で業界トップを誇ります。有料老人ホームやグループホーム、サービス付き高齢者向け住宅などは約80拠点を運営しています。

譲受企業の概要

【譲受側】MBKパートナーズ:PEファンドチョコレートのゴディバジャパン、ゴルフ場運営のアコーディア・ゴルフなどへ投資実績があります。

M&Aの目的

【譲受側】MBKパートナーズ:介護関連の周辺事業の強化を目指す。

M&Aの手法

手法:TOB

買付価格:924円/株

買付期間:2021年2月9日〜2021年3月24日

ツクイ、MBKパートナーズがTOB実施

■介護事業者による介護施設のM&A 13事例

介護業界では、大手各社はM&Aにより規模や事業領域の拡大を図っています。買収以外でも事業を拡大していますが、新規で人材を確保する難しさなどから、既に介護事業に取り組む企業の取得が効率的な手段と考えられています。

在宅サービスが中心の介護大手のソラストは2018年以降、通所介護や居住系サービスの6社をM&Aにより取得しています。居住系サービスが中心の介護大手の学研ホールディングスは2018年にグループホームのメディカル・ケア・サービスを子会社化しています。

デイサービス大手のツクイホールディングスは2020年、2022年に2件の訪問介護事業のM&Aを実施、セントケア・ホールディングも2017年以降訪問介護、訪問看護企業2社の株式取得を行っています。それでは、各社の近年のM&A事例についてみていきます。

SOMPOケア、ネクサスケアを子会社化【介護施設×介護施設・訪問介護】

譲渡企業の概要

【譲渡側】ネクサスケア:有料老人ホーム・シニア住宅の企画・建設・運営、訪問介護事業等を展開する。北海道札幌市、宮城県仙台市、東京都および神奈川県主要都市にて、介護付有料老人ホーム 9 か所と住宅型有料老人ホーム 7 か所を運営。

譲受企業の概要

【譲受側】SOMPOケア:SOMPOホールディングスの子会社。東京都品川区に本社を置き、有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅・グループホームの運営、居宅サービス事業を行います。

M&Aの目的

【譲受側】SOMPOケア:サービスエリアの拡大による介護オペレーターとしてのさらなる成長、地域における介護、看護、医療の連携強化による持続可能なサービス提供体制の確保を図る。

M&Aの手法 [1]

実行時期:2022 年 4 月 1 日

手法: 株式譲渡

譲渡金額:不明

▼以下の記事では、訪問介護の売却について解説しています。

学研ココファン、シスケアグループの株式譲受け【介護全般×介護施設の企画・設計】

譲渡企業の概要

【譲渡側】シスケアグループ:高齢者福祉施設・住宅の企画/設計/コンサルティングを累計128棟、サービス付き高齢者向け住宅の建築・運営ブランド「和楽久(わらく)」を全国36棟コンサルティング。木造2階建て、延床面積1,000平方メートル以下で事業費を抑え、入居者負担も軽くするビジネスモデルを特徴としています。

譲受企業の概要

【譲受側】学研ココファンホールディングス:首都圏を中心に高齢者住宅を約 80 拠点、保育施設を約 20 拠点展開しています。

M&Aの目的

【譲受側】学研ココファンホールディングス:拠点開設スピードの飛躍的加速、並びに両社の融合による更に良質なソリューション提供を目指しています。

M&Aの手法 [2]

実行時期:2014年10月1日

手法:株式譲渡

譲渡金額:不明

ソラスト、介護事業のプラスを買収【介護全般×グループホーム】

ソラストは2021年11月に、愛知県でグループホームと小規模多機能型居宅介護を運営する株式会社プラスのすべての株式を取得し、子会社化しました。ソラストの公表資料に寄りますと、取得価額は28億2000万円です。同社は、本M&Aが愛知県を中心とした地域内のサービス拡充と「地域トータルケア」の実現に貢献すると判断したとしています。

譲渡企業の概要

【譲渡側】プラス:愛知県を中心にグループホーム及び小規模多機能型居宅介護を16事業所で運営しています。

譲受企業の概要

【譲受側】ソラスト:「自立支援と地域トータルケア」を理念に2030年には売上高1,500億円、介護サービスを提供するエリアを現在の約3倍にあたる300エリアに拡大し、全てのエリアで訪問介護、通所介護、居宅介護支援、グループホーム、有料老人ホーム他の施設を各1事業所以上運営することを長期経営ビジョンに掲げる。

M&Aの目的

【譲受側】ソラスト:M&A(合併・買収)を通じて、愛知県を中心としたエリア内で提供できるサービス拡充をし、国が進める「地域トータルケア」の実現への貢献をし、事業規模を拡大させたい

M&Aの手法 [3]

実行時期:2021年11月12日

手法:株式譲渡

譲渡金額:2,280百万円

ソラスト、オールライフメイトの株式を譲受け【介護全般×有料老人ホーム】

譲渡企業の概要

【譲渡側】オールライフメイト:東京都や千葉県で有料老人ホーム7か所を展開しています。

譲受企業の概要

【譲受側】ソラスト:「自立支援と地域トータルケア」を理念に2030年には売上高1,500億円、介護サービスを提供するエリアを現在の約3倍にあたる300エリアに拡大し、全てのエリアで訪問介護、通所介護、居宅介護支援、グループホーム、有料老人ホーム他の施設を各1事業所以上運営することを長期経営ビジョンに掲げる。

M&Aの目的

【譲受側】ソラスト:M&Aによって、東京都や千葉県のエリア内で提供できるサービスの種類を増やし、国が進める「地域包括ケアシステム」に対応し、事業規模拡大を目指しています。

M&Aの手法 [4]

実行時期:2018年4月1日

手法:株式譲渡

譲渡金額:10億円

リビングプラットフォームケア、アートアシストから介護施設を譲受け【介護全般×グループホーム】

リビングプラットフォームは2022年2月1日を取得予定日として、連結子会社の株式会社リビングプラットフォームケアを通じ、アートアシストが運営する介護事業の一部を取得することを決めました。リビングプラットフォームは、重点主点地域であるものの未進出であった千葉県内第2位の人口を持つ船橋市で、本M&Aが千葉県内におけるドミナント戦略の強化につながるとしています。

譲渡企業の概要

【譲渡側】アートアシスト:千葉県や東京都など、合計2都道府県にグループホームを展開しています。本件譲渡対象は、船橋市内の高齢者グループホーム1施設。

譲受企業の概要

【譲受側】リビングプラットフォームケア:リビングプラットフォームの子会社。介護関連の事業・保育関連の事業障がい者サービス関連の事業を運営しています。グループ全体で介護施設(主に入居系施設)や障がい者支援事業所、保育園を約100事業所運営し、事業規模拡大の方策として自社開発と事業承継を両輪としています。

M&Aの目的

【譲受側】リビングプラットフォーム:千葉県内におけるドミナント戦略の強化。

M&Aの手法 [5]

実行時期:2022年2月1日

手法:事業譲渡

譲渡金額:不明

日本ホスピスホールディングス、ノーザリーライフケアを買収【ホスピス住宅×有料老人ホーム】

譲渡企業の概要

【譲渡側】ノーザリーライフケア:北海道札幌市内において、住宅型有料老人ホームの運営を中心に、重度訪問介護、看護小規模多機能、訪問介護、訪問看護、それらに付随する障害福祉関連サービス事業を展開しています。道内では数少ないALS等の難病・気管切開・人工呼吸器使用の方々に対応できる施設として、地域医療に貢献しています。

譲受企業の概要

【譲受側】日本ホスピスホールディングス:主に東京都・神奈川県・愛知県において、末期がん患者とALS等の難病患者のためのホスピス住宅を運営。2021年12月期より、京都市、神戸市及び大阪市といった、新たな地域への展開も進め、ホスピス住宅25施設運営しています。

M&Aの目的

【譲受側】日本ホスピスホールディングス:北海道内におけるホスピス住宅の展開。

M&Aの手法 [6]

実行時期:2022年4月1日

手法:株式譲渡

譲渡金額:不明

全研本社、ヒノキヤレスコから事業譲受【広告・SEO・教育等×有料老人ホーム】

譲渡企業の概要

【譲渡側】ヒノキヤレスコ:ヒノキヤグループ<1413>の子会社。住宅事業・リフォーム事業・不動産賃貸管理事業・コンクリート製品の製造販売等を行います。今回の譲受対象は、埼玉県久喜市で3施設を展開する有料老人ホーム「桧家リビング久喜」事業となります。

譲受企業の概要

【譲受側】全研本社:東京都新宿区に本社を置き、広告・マーケティング、SEO、受託開発ソフトウェア業、婚活支援、教育文化事業、ITコンサルティング等の事業を行います。

M&Aの目的

【譲受側】全研本社:譲受対象の3施設を、介護分野における海外人材活用のフラグシップ施設とすることを目指し、海外人材の日本語能力育成や日本への定着支援に加え、利用者様や従業員の方々への異文化理解研修等を実施することで、安定的、円滑な施設運営を行っていく。新たな顧客の開拓を図ることで、今後の海外人材の紹介事業、日本語教育事業の更なる事業拡大を狙う。

M&Aの手法 [7]

実行時期:2022年7月1日

手法:事業譲渡

譲渡金額:不明

テノ.ホールディングス、フォルテを買収【介護全般×サ高住】

テノ.ホールディングスは2022年1月31日付で、フォルテの株式を取得し、会社化しました。テノ.ホールディングスは、介護事業や高齢者向け住宅の運営事業を手がけるフォルテの買収が、介護事業のサービスラインアップの拡充やグループの介護事業の成長に貢献するとしています。

譲渡企業の概要

【譲渡側】フォルテ:大阪府内に介護事業や介護施設を4施設運営しています。関わる全ての人の、人生の「豊」に寄与するという企業理念としています。

譲受企業の概要

【譲受側】テノ.ホールディングス:経営理念の一つに「私たちは、女性のライフステージを応援します。」を掲げ、女性のライフステージを取り巻く多様な社会ニーズに対応するために、事業ドメイン(育児・家事・介護)に沿った新規事業開発を重要な成長戦略の一つとしています。

M&Aの目的

【譲渡側】フォルテ:介護事業のサービスラインアップの拡充を図ります。

【譲受側】テノ.ホールディングス:介護事業(高齢者向け住宅の運営事業)における更なる事業拡大

M&Aの手法 [8]

実行時期:2022年1月21日

手法:株式譲渡

譲渡金額:605百万円

揚工舎、まんまるを買収【介護全般×有料老人ホーム・デイサービス】

譲渡企業の概要

【譲渡側】まんまる:東京都三鷹市で、介護付き有料老人ホーム「みんなの家6丁目」およびデイサービス「みんなの家6丁目」を運営しています。

譲受企業の概要

【譲受側】揚工舎:有料老人ホーム、デイサービス、訪問介護等の在宅介護サービス事業や介護資格取得のための教育事業、ならびに介護人材の紹介・派遣事業を行う。

M&Aの目的

【譲受側】揚工舎:今回の買収先は立地面で東京都三鷹市に位置し、東京近郊に事業拠点を増やしたいという当社の戦略に合致しています。

M&Aの手法 [9]

実行時期:2021年6月30日

手法:株式譲渡

譲渡金額:不明

揚工舎、ケアクリエイトを買収【介護全般×有料老人ホーム】

譲渡企業の概要

【譲渡側】ケアクリエイト:有料老人ホーム「ケアレジデンス河辺」を運営しています。

譲受企業の概要

【譲受側】揚工舎:有料老人ホーム、デイサービス、訪問介護等の在宅介護サービス事業や介護資格取得のための教育事業、ならびに介護人材の紹介・派遣事業を行う。

M&Aの目的

【譲受側】揚工舎:今回の買収先は立地面では東京都青梅市に位置していて、今後東京近郊に事業拠点を増やしていきたいという当社の戦略に合致しています。

M&Aの手法 [10]

実行時期:2020年8月19日

手法:株式譲渡

譲渡金額:不明

リコーリース、介護施設・老人ホーム運営のWelfareすずらんなどを譲受け【金融×有料老人ホーム】

譲渡企業の概要

【譲渡側】Welfareすずらんは2011年に設立され、名古屋市を中心とした中京圏で、住宅型有料老人ホーム(8施設)、障がい者グループホーム(3施設)、認知症対応型グループホーム(1施設)をドミナント展開しています。

譲受企業の概要

【譲受側】リースや集金代行、介護ファクタリングなど、医療・介護業界のお客様へサービスを提供しています。

M&Aの目的

【譲受側】介護施設運営事業への参入

M&Aの手法 [11]

実行時期:2022年12月23日

手法:株式譲渡

譲渡金額:不明

関東エリアの介護付き有料老人ホーム運営会社の株式譲渡【介護全般×有料老人ホーム】

譲渡企業の概要

所在地関東
事業内容介護付き有料老人ホームの運営
譲渡理由事業の選択と集中

譲渡企業は、介護付き有料老人ホームを運営している会社で、関西地域及び関東地域に事業所を複数運営しています。

関西地区が地域ドミナントの中心であり、関東地域の事業所が飛び地となっていることから、入居者の募集、介護人材の募集・配置の面で事業所間の効率化を図ることが難しい状況にありました。

譲受企業の概要

所在地関東
事業内容介護事業の運営
買収理由事業の拡大

>>「介護付き有料老人ホーム運営会社の譲渡【事業譲渡】」の続きをみる 

介護付有料老人ホーム、グループホーム等運営会社の株式譲渡【介護全般×有料老人ホーム・グループホーム】

譲渡企業の概要

所在地中部
事業内容介護施設の運営
譲渡理由後継者問題の解決

譲渡企業は、中部エリアにおいて、複数の介護付有料老人ホーム、グループホーム、通所介護および訪問介護の運営をおこなっている地場密着型の介護事業会社。多くのご利用者に恵まれ、かつ各事業所の管理責任者も優秀な人材が揃っていることから、安定した運営状態を維持し、経営状態も順調に推移していました。

しかしながら、創業者である社長の年齢は70才を超えており、「自社の事業承継」という、介護ビジネスとは異なる経営課題に対して向き合わなくてはならない状態になっていました。

以下の記事では、本件のM&A・売却過程について解説しています。

>>「介護事業会社の譲渡【事業譲渡】」の続きをみる


[1] テノHD<7037>、大阪府内で介護施設を運営するフォルテを買収

[2] ソラスト、介護事業のプラスを買収

[3] ソラスト、オールライフメイト(有料老人ホーム)の株式を譲受け

[4] リビングプラットフォーム<7091>子会社のリビングプラットフォームケア、アートアシストから船橋市内の高齢者グループホーム1施設を譲り受け

[5] SOMPOケア、介護サービス事業のネクサスケアを子会社化。同社株主の日本企業成長投資1号投資事業有限責任組合等と株式取得で合意

[6] 学研ココファンホールティングスによるシスケアグループ(高齢者福祉施設・住宅の企画・設計・コンサルティング)の株式譲受け

[7] 日本ホスピスHD<7061>、北海道札幌市内で住宅型有料老人ホーム等運営のノーザリーライフケアを買収

[8] 全研本社<7371>、ヒノキヤグループ<1413>子会社のヒノキヤレスコから有料老人ホーム運営事業等を譲り受け 新たな事業を開始

[9] 揚工舎<6576>、東京都三鷹市で介護付き有料老人ホーム「みんなの家6丁目」等運営のまんまるを買収

[10] 揚工舎<6576>、有料老人ホーム「ケアレジデンス河辺」運営のケアクリエイトを買収

[11] リコーリース<8566>、日本産業推進機構グループ投資先で介護施設・老人ホーム運営のWelfareすずらんなどを買収

■介護事業者によるデイサービスのM&A 10事例

ソラストと住センターのM&A【介護全般×デイサービス】

オーナー経営者の体験談から学ぶ『M&Aを決断した理由』

元 株式会社住センター 代表取締役社長 草野 博文 氏

譲渡企業の概要

株式会社住センターは、横浜を中心にデイサービスを行っています。上場企業からの友好的なアプローチを受け、最終的にM&Aをご決断されました。

以下の記事では、元 株式会社住センター 代表取締役社長 草野 博文様に体験談をお話しいただきました。

介護大手と中小デイサービス事業者の事業譲渡【介護全般×デイサービス等】

譲渡企業の概要

所在地中部
事業内容介護施設の運営
譲渡理由後継者問題の解決

譲渡企業は、中部エリアにおいて、複数の介護付有料老人ホーム、グループホーム、デイサービス(通所介護)および訪問介護の運営をおこなっている地場密着型の介護事業会社です。多くのご利用者に恵まれ、かつ各事業所の管理責任者も優秀な人材が揃っていることから、安定した運営状態を維持し、経営状態も順調に推移しています。

しかしながら、創業者である社長の年齢は70才を超えており、「自社の事業承継」という、介護ビジネスとは異なる経営課題に対して向き合わなくてはならない状態になっていました。

譲受企業の概要

所在地関東
事業内容介護施設の運営
買収理由スケールメリットの拡大

以下の記事では、本件事業承継についての成約過程について、本件M&A担当者が解説しています。

>>「介護事業会社の譲渡【事業譲渡】」の続きをみる

ユニマット リタイアメント・コミュニティ、パナソニックエイジフリーから事業譲受【介護全般×介護施設】

譲渡企業の概要

【譲渡側】パナソニックエイジフリー:介護サービス事業、サービス付高齢者住宅事業、介護ショップ事業(用品レンタル、販売、リフォーム)、介護用品・設備の開発および販売事業を運営します。本件の事業譲渡対象は、介護サービス施設の6施設です。

譲受企業の概要

【譲受側】ユニマット リタイアメント・コミュニティ:介護事業においては、全国で高齢者介護事業を「そよ風」のブランドで展開しています。

M&Aの目的

【譲受側】ユニマット リタイアメント・コミュニティ:譲渡対象の6施設中5施設が、ショートステイを含んだ2サービス以上の複合施設(リタイアメント・コミュニティの最も得意な運営形態)である。本件譲受により、サービスの拡充を図ります。

M&Aの手法

実行時期:2021年4月1日

手法:事業譲渡

譲渡金額:不明[3]

ソラスト、介護事業のプラスを買収【介護全般×グループホーム】

譲渡企業の概要

【譲渡側】プラス:愛知県を中心にグループホーム及び小規模多機能型居宅介護を16事業所で運営しています。

譲受企業の概要

【譲受側】ソラスト:「自立支援と地域トータルケア」を理念に2030年には売上高1,500億円、介護サービスを提供するエリアを現在の約3倍にあたる300エリアに拡大し、全てのエリアで訪問介護、通所介護、居宅介護支援、グループホーム、有料老人ホーム他の施設を各1事業所以上運営することを長期経営ビジョンに掲げる。

M&Aの目的

【譲受側】ソラスト:ソラストはデイケアを含む介護サービスについて、事業展開地域の拡大とエリア内の提供サービス拡充を図るため、M&Aを積極的に活用する方針を示しています。愛知県を中心としたエリア内のサービス拡充及び「地域トータルケア」の実現への貢献を目的としています。

M&Aの手法

実行時期:2021年11月12日

手法:株式譲渡

譲渡金額:2,280百万円[4]

ソラスト、ファイブシーズヘルスケアを買収【介護全般×グループホーム】

譲渡企業の概要

【譲渡側】ファイブシーズヘルスケア:神戸・大阪エリアにおいてグループホームを中心に 19 事業所を運営。特に神戸市のグループホームではトップクラスのシェア。

譲受企業の概要

【譲受側】ソラスト:「自立支援と地域トータルケア」を理念に掲げ、2030 年には売上高 1,500 億円の事業規模とすることを経営ビジョンとしています。

M&Aの目的

【譲受側】ソラスト:ソラスト:ソラストはデイケアを含む介護サービスについて、事業展開地域の拡大とエリア内の提供サービス拡充を図るため、M&Aを積極的に活用する方針を示しています。神戸・大阪エリアのサービスの拡充と経営理念「地域トータルケア」の実現への貢献。

M&Aの手法

実行時期:2020年10月20日

手法:株式譲渡

譲渡金額:不明[5]

ソラスト、日本エルダリーケアサービスを買収【介護全般×訪問介護・デイサービス】

譲渡企業の概要

【譲渡側】日本エルダリ―ケアサービス:首都圏を中心に、訪問介護、居宅介護支援、通所介護を 122事業所で運営。特に訪問介護サービスにおいては、78 事業所を運営する有力事業者。

譲受企業の概要

【譲受側】ソラスト:「自立支援と地域トータルケア」を理念に掲げ、2030 年には売上高 1,500 億円の事業規模とすることを経営ビジョンとしています。グループ内の事業所数は481事業所。

M&Aの目的

【譲受側】ソラスト:本件株式譲渡により、グループ全事業所数は 481 事業所から 600 事業所を超え、またサービスポートフォリオの向上も期待できます。そのため地域トータルケア、経営ビジョン実現に大きく前進するものと判断しました。

M&Aの手法

実行時期:2020年10月1日

手法:株式譲渡

譲渡金額:2,375百万円[6]

ソラスト、恵の会等2社を買収【介護全般×デイサービス・有料老人ホーム等】

譲渡企業の概要

【譲渡側】恵の会等:株式会社恵の会および有限会社恵の会。恵の会は、大分県大分市を中心にデイサービス、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅等の複数のサービスを 26 事業所で運営しています。特に有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅およびデイサービスは県内トップクラスの運営規模を誇ります。

譲受企業の概要

【譲受側】ソラスト:「自立支援と地域トータルケア」を理念に掲げ、2030 年には売上高 1,500 億円の事業規模とすることを経営ビジョンとしています。買収以前において、大分県にはソラストグループの事業所がありませんでした。

M&Aの目的

【譲受側】ソラスト:本件株式譲渡により、ソラストグループの事業所がなかった大分県において、複合的にサービスを展開することが可能となり、地域トータルケア、経営ビジョン実現の両面に貢献するものと判断しました。

M&Aの手法

実行時期:2020年3月19日

手法:株式譲渡

譲渡金額:3,350百万円[7]

アルト、サンライフケアから事業譲受【デイサービス×デイサービス】

譲渡企業の概要

【譲渡側】サンライフケア:愛知県常滑市において、通所介護(デイサービス)を行います。本件の事業譲渡対象は、「リハビリデイ えみふる」通所介護事業所です。

譲受企業の概要

【譲受側】アルト:株式会社メイホーホールディングス<7369>の100%子会社として、通所介護(デイサービス)、認知症対応型通所介護(認知症専用デイサービス)、居宅介護支援事業所(ケアマネ事業所)の運営を行います。岐阜市内に4か所、愛知県常滑市に1か所の通所施設を運営しています。

M&Aの目的

【譲受側】アルト:アルトは常滑市でデイサービス施設を1つ運営しており、今回の譲り受けにより、同市で2か所目のデイケア施設を確保したことになります。同一エリア複数店舗による地域密着型運営を行うことで、地域内での品質の高水準での均一化と運営の効率化を図るとともに、他の介護事業所との差別化を図ります。

M&Aの手法

実行時期:2022年1月1日

手法:事業譲渡

譲渡金額:5百万円 [8]


[1] MBKパートナーズの投資先であるツクイHD傘下のツクイ、日本ヒューマンサポートからデイサービス拠点6カ所を譲り受け

[3] ユニマットリタイアメント・コミュニティ、パナソニックエイジフリーから介護サービス6施設を譲り受け

[4] ソラスト、介護事業のプラスを買収

[5] ソラスト、介護サービス事業のファイブシーズヘルスケアを買収

[6] ソラスト、介護サービス事業の日本エルダリーケアサービスを買収

[7] ソラスト、大分市を中心とした介護サービス事業展開の恵の会など2社を買収

[8] メイホーHD<7369>傘下のアルト、サンライフケアから「リハビリデイ えみふる」通所介護事業所を譲り受け

■介護事業者による訪問介護のM&A 12事例

ケア21、合同会社macaronから訪問介護事業を譲り受け【介護全般×訪問介護】

譲渡・譲受企業の概要

【譲渡側】macaron:兵庫県神戸市に本社を置く訪問介護事業の会社です。本譲受対象となる事業所は、兵庫県神戸市北区に位置しています。

【譲受側】ケア21:訪問介護、居宅介護支援、グループホーム、介護付有料老人ホーム等を首都圏・近畿圏・名古屋・仙台・広島・福岡で展開しています。譲受対象となる事業が展開されている兵庫県神戸市北区は、訪問介護事業の展開エリア且つ、事業所の密度が薄く、重点強化エリアとなっていました。

M&Aの目的

【譲受側】ケア21:営業規模、人員面での基盤の強化。サービスの充実化。

M&Aの手法

実行時期:2022 年 10 月 1 日

手法:事業譲渡

譲渡金額:不明[1]

ケア21、エイ・ティから訪問介護事業を譲り受け【介護全般×訪問介護】

譲渡・譲受企業の概要

【譲渡側】エイ・ティ:埼玉県三郷市・八潮市・吉川市で訪問介護事業を展開しています。本譲受対象となる事業所は、埼玉県三郷市に位置しています。

【譲受側】ケア21:訪問介護、居宅介護支援、グループホーム、介護付有料老人ホーム等を首都圏・近畿圏・名古屋・仙台・広島・福岡で展開しています。譲受対象となる事業が展開されている埼玉県三郷市は、訪問介護事業の未展開エリア。

M&Aの目的

【譲受側】ケア21:埼玉県三郷市は、ケア21が訪問介護事業を展開する東京都葛飾区・千葉県松戸市に隣接していて、飛び地となることないため、事業展開エリアの北進が図れる。営業規模、人員面での基盤の強化。サービスの充実化。

M&Aの手法

実行時期:2022 年 10 月 1 日

手法:事業譲渡

譲渡金額:不明[2]

ケア21、特定非営利活動法人福祉カフェテリアから事業譲受【介護全般×訪問介護】

譲渡・譲受企業の概要

【譲渡側】福祉カフェテリア:東京都認定の特定非営利活動法人で、事務所の所在地は東京都日野市に位置しています。外出支援事業や給食サービス事業、ホームヘルプ事業、デイサービス事業、居宅介護支援事業を行っています。

【譲受側】ケア21:訪問介護、居宅介護支援、グループホーム、介護付有料老人ホーム等を首都圏・近畿圏・名古屋・仙台・広島・福岡で展開しています。譲受対象となる事業が展開されている日野市は、訪問介護事業、居宅介護支援事業の未展開エリア。

M&Aの目的

【譲受側】ケア21:日野市は、ケア21が八王子市、国立市、府中市の間に位置し、近隣の事業所との連携が可能なエリアとなるため、近隣事業所間の連携が図れ、培ってきた実績とノウハウを活かし、サービスをより充実させることが可能。また、営業、人財確保の面でも一体的な運用が図れるなどのシナジー効果を期待。

M&Aの手法

実行時期:2022 年 10 月 1 日

手法:事業譲渡

譲渡金額:不明[3]

ケア21、ひまわり医療介護サービスから事業譲受【介護全般×訪問介護】

譲渡・譲受企業の概要

【譲渡側】ひまわり医療介護サービス:本社は東京都荒川区にあります。本譲受対象となる事業所は、訪問介護事業所 1 拠点(東京都荒川区)居宅介護支援事業、居宅介護支援事業所 1 拠点(東京都荒川区)です。

【譲受側】ケア21:訪問介護、居宅介護支援、グループホーム、介護付有料老人ホーム等を首都圏・近畿圏・名古屋・仙台・広島・福岡で展開しています。譲受対象となる事業が展開されているエリアは、訪問介護事業、居宅介護支援事業の未展開エリア。

M&Aの目的

【譲受側】ケア21:譲受対象の事業が展開されているエリアは、近隣の事業所との連携が可能なエリアであり、事業所間の連携により、培ってきた実績とノウハウを活かし、サービスをより充実させることが可能。また、営業、人財確保の面でも一体的な運用が図れるなどのシナジー効果を期待。

M&Aの手法

実行時期:2022 年 4 月 1 日

手法:事業譲渡

譲渡金額:不明[4]

カンケイ舎、合の家から事業譲受【介護全般×訪問介護・老人ホーム】

譲渡・譲受企業の概要

【譲渡側】合の家:合の家は、住宅型有料老人ホーム「フルール・ガーデン市原」、「フルール・ガーデン相模原」およびそれに付随する訪問介護、介護予防訪問、居宅介護支援、通所介護、障碍者自立支援、等の事業を運営している。

【譲受側】カンケイ舎:「安心な未来の介護をつくる」ことを目指し、東京都、千葉県を中心に中重度介護者向け在宅サービス事業を展開しています。

M&Aの目的

【譲受側】カンケイ舎:中重度者向け施設運営ノウハウの取得・横展開、送客体制の強化、カンケイ舎の既存事業で取得したノウハウ等をフルール・ガーデンで展開するなど、相互作用による収益拡大を目指しています。

M&Aの手法

契約締結日:2022年10月14日

手法:事業譲渡

譲渡金額:282百万円[5]

フレアス、スカイハートを買収【訪問看護・訪問介護×訪問介護】

譲渡・譲受企業の概要

【譲渡側】スカイハート:千葉県千葉市を中心に居宅介護支援事業および訪問介護事業を展開しています。

【譲受側】フレアス:訪問看護及び訪問介護事業等を展開しています。事業所数は全国374拠点です。内、マッサージサービスは362拠点、訪問看護サービスは8拠点、訪問介護サービスは2拠点、看護小規模多機能型居宅介護は2拠点あります。

M&Aの目的

【譲受側】フレアス:居宅介護支援事業と訪問介護事業に参入し、在宅マッサージとの複合サービスを提供することで、社会福祉サービスを総合的に提供していきます。

M&Aの手法

実行時期:2021年4月1日

手法:株式譲渡

譲渡金額:5.5百万円[6]

ツクイ、アサヒサンクリーンより訪問介護事業を譲り受け【介護全般×訪問介護】

譲渡・譲受企業の概要

【譲渡側】アサヒサンクリーン:訪問入浴介護、訪問介護、居宅介護支援、地域包括支援センター通所介護(デイサービス)、認知症対応型通所介護短期入所生活介護(ショートステイ)、グループホーム小規模多機能型居宅介護、特定施設入居者生活介護(介護付きホーム)ケアハウス、介護予防事業、放課後等デイサービス福祉用具貸与(レンタル)、特定福祉用具販売、住宅改修を展開。

【譲受側】ツクイ:デイサービス事業、住まい事業、在宅事業、人材事業(株式会社ツクイスタッフ)、リース事業(株式会社ツクイキャピタル)を中心に全国 695 事業所を展開。

M&Aの目的

【譲受側】ツクイ:在宅事業の拡大や、地域戦略の推進への寄与な等。

M&Aの手法

実行時期:2020年4月1日

手法:事業譲渡

譲渡金額:不明[7]

ツクイ、PUPを買収【介護全般×訪問介護】

譲渡・譲受企業の概要

【譲渡側】PUP:東京都墨田区、江東区、江戸川区、台東区を中心に訪問看護・リハビリステーション・居宅介護支援・福祉用具を提供する事業所を3ヵ所展開しています。また、終末期医療や難易度の高い医療行為を 24 時間体制で提供しており、看護師・リハビリスタッフが多く在籍しています。

【譲受側】ツクイ:デイサービス事業、住まい事業、在宅事業、人材事業(株式会社ツクイスタッフ)、リース事業(株式会社ツクイキャピタル)を中心に全国 695 事業所を展開。

M&Aの目的

【譲受側】ツクイ:今回の株式取得により、PUPとツクイ双方の事業所で連携を図り、サービスの拡充や訪問看護事業の強化につなげるとしています。

M&Aの手法

実行時期:2022年8月31日

手法:株式譲渡

譲渡金額:不明[8]

ソラスト、プラスを買収【介護全般×訪問介護・グループホーム】

譲渡・譲受企業の概要

【譲渡側】プラス:愛知県を中心にグループホーム及び小規模多機能型居宅介護を16事業所で運営しています。

【譲受側】ソラスト:「自立支援と地域トータルケア」を理念に2030年には売上高1,500億円、介護サービスを提供するエリアを現在の約3倍にあたる300エリアに拡大し、全てのエリアで訪問介護、通所介護、居宅介護支援、グループホーム、有料老人ホーム他の施設を各1事業所以上運営することを長期経営ビジョンに掲げる。

M&Aの目的

【譲受側】ソラスト:愛知県を中心としたエリア内のサービス拡充及び「地域トータルケア」の実現への貢献

M&Aの手法

実行時期:2021年11月12日

手法:株式譲渡

譲渡金額:2,280百万円[9]

ソラスト、日本エルダリーケアサービスを買収【介護全般×訪問介護・デイサービス】

譲渡・譲受企業の概要

【譲渡側】日本エルダリ―ケアサービス:首都圏を中心に、訪問介護、居宅介護支援、通所介護を 122事業所で運営。特に訪問介護サービスにおいては、78 事業所を運営する有力事業者。

【譲受側】ソラスト:「自立支援と地域トータルケア」を理念に掲げ、2030 年には売上高 1,500 億円の事業規模とすることを経営ビジョンとしています。グループ内の事業所数は481事業所。

M&Aの目的

【譲受側】ソラスト:本件株式譲渡により、グループ全事業所数は 481 事業所から 600 事業所を超え、またサービスポートフォリオの向上も期待できます。そのため地域トータルケア、経営ビジョン実現に大きく前進するものと判断しました。

M&Aの手法

実行時期:2020年10月1日

手法:株式譲渡

譲渡金額:2,375百万円[10]

ニチイホールディングス、ティーアンドジーを買収【介護全般×老人ホーム・訪問介護】

譲渡・譲受企業の概要

【譲渡側】ティーアンドジー:北摂の大阪府池田市・豊中市・箕面市を拠点に、特別養護老人ホーム・介護付有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅・デイサービス・グループホーム・ショートステイ等を運営しています。

【譲受側】ニチイ:在宅から居住系介護に至る豊富なラインナップを取り揃えたトータル介護を全国各地で展開しており、お客様や地域の様々な介護ニーズに合わせたサービス提供に取り組んでいます。

M&Aの目的

【譲受側】ニチイ:近畿エリアにおいてポプラグループとニチイグループが持つネットワーク及び介護ノウハウの融合を図ることで、お客様お一人おひとりに合わせた、より最適なサービスの提供に繋げることを目指します。

M&Aの手法

実行時期:2022年9月1日

手法:株式譲渡

譲渡金額:不明[11]

介護会社の創業経営者が語る!『最良のタイミングで会社を引き継ぐM&A』【介護全般×訪問介護・訪問看護】

訪問介護・訪問看護会社の創業経営者が語る!『最良のタイミングで会社を引き継ぐM&A』

株式会社さくらケア、株式会社うめケア 前代表取締役 荒井 信雄 様

譲渡企業の概要

東京都世田谷区を中心に22事業所をかまえる訪問介護・訪問看護会社。財務内容はきわめて健全であり、毎期高い利益率を維持し続けている優良企業。IPOも視野に入れていた創業オーナーであったが、55歳という年齢で全株式を売却するというアーリーリタイアを決断しました。

下記本インタビューでは、前オーナー社長である荒井様に対し、M&Aの検討から決断に至るまでの経緯についてお伺いしています。

>>訪問介護・訪問看護会社の創業経営者が語る!『最良のタイミングで会社を引き継ぐM&A』の続きをみる


[1] ケア21<2373>、兵庫県神戸市北区の合同会社macaronから訪問介護事業を譲り受け

[2] ケア21<2373>、埼玉県三郷市のエイ・ティから訪問介護事業を譲り受け

[3] ケア21<2373>、特定非営利活動法人福祉カフェテリアから訪問介護・居宅介護支援事業を譲り受け

[4] ケア21<2373>、ひまわり医療介護サービスから訪問介護事業・居宅介護支援事業を譲り受け

[5] インターネットインフィニティー<6545>傘下のカンケイ舎、合の家から「フルール・ガーデン市原」・「フルール・ガーデン相模原」に関する事業を譲り受け

[6] フレアス<7062>、居宅介護支援事業および訪問介護事業を手がけるスカイハートを買収

[7] ツクイ<2398>、介護業のアサヒサンクリーンより訪問介護事業を譲り受け

[8] ツクイHD傘下のツクイ、東京都墨田区、江東区、江戸川区、台東区を中心に訪問看護・リハビリステーション等展開のPUPを買収

[9] ソラスト、介護事業のプラスを買収

[10] ソラスト、介護サービス事業の日本エルダリーケアサービスを買収

[11] ニチイHD、介護事業のポプラコーポレーションやポプラ訪問看護ステーションを傘

■介護事業者による異業種のM&A 2事例

介護事業者は同業者の譲受けのみならず、介護人材確保のための人材業界への投資や、介護におけるDX推進のためのIT業界への投資が、積極的に行われています。

ベネッセホールディングスとプロトメディカルケアのM&A【介護全般×人材紹介・派遣】

SOMPOホールディングスとABEJAの資本提携【介護全般×IT】


[1] プロトメディカルケア(東京/介護・福祉業界の人材紹介、人材派遣)の株式譲受け

[2] ABEJA(東京/ソリューションやAI実装・運用プラットフォームの提供)の株式21.9%を既存株主からの譲渡により取得

■異業種企業による介護事業のM&A(介護事業への参入)13事例

教育事業を柱とするベネッセホールディングスや、医療事務で創業したニチイ学館は1990年代に介護事業に参入しています。その後、様々な業種の企業による新規参入が続いています。

綜合警備保障【警備】

警備業界大手の綜合警備保障は、2012年にALSOKケアを設立し、介護事業に参入しました。その後以下の企業・事業を譲受けています。[15]

・かんでんジョイライフ、かんでんライフサポート【介護全般】

・ケアプラス【訪問医療】

・ウイズネット【施設介護】

・アズビルあんしんケアサポート【介護全般】

・HCM【介護全般】

京進【学習塾】

京進はとシンセリティグループの買収により本格的に介護事業に参入しました。[16]

出光興産【石油製造販売】

QLCプロデュース【自立支援型デイサービス】の買収により、地域に根差した経営を行う系列特約販売店の強みを生かした新規事業の1つとして、介護ビジネスを展開していきます。[17]

ココカラファイン【ドラッグストア】

ドラッグストア大手のココカラファイン【施設介護】は、タカラケアの買収により介護業界に参入し、以下企業を買収しています。[18]

・愛安住【福祉用具レンタル販売】

・シニアコスモス【調剤薬局・訪問介護】

大和ハウス工業【住宅総合メーカー】

大和ハウス工業は、1989年、医療・介護施設の調査・研究と施設づくりの専門機関「シルバーエイジ研究所」を開設しています。同社のM&A事例は以下の通りです。[19]

・ライフコンプリート・ライフコンプリート東京を買収【施設介護】

・シダーとの資本提携【介護全般】

東洋商事【業務用食品卸】

業務用食品卸の東洋商事は、介護サポートサービス(サービス付き高齢者住宅)を譲受けました。[20]


綜合警備保障

[15-1] かんでんジョイライフ、かんでんライフサポートの株式譲受け(大阪/人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、グループホーム、訪問介護、訪問看護等)

[15-2] ケアプラス(東京/在宅療養者向け訪問医療マッサージ)の株式譲受け

[15-3] ウイズネット(埼玉/グループホーム、介護付き有料老人ホーム)の株式譲受け

[15-4] アズビルあんしんケアサポート(東京/緊急通報関連、訪問介護・デイサービス・グループホーム・福祉用具レンタル等)の株式譲受け

[15-5] HCM(東京/訪問介護、通所介護、有料老人ホーム)の譲受け

京進

[16] シンセリティグループ(大阪/有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅)の株式譲受け

出光興産

[17] QLCプロデュースのM&A(東京/自立支援型デイサービス)の株式譲受け

ココカラファイン

[18-1] 愛安住(三重/福祉用具のレンタル・販売)の株式譲受け

[18-2] シニアコスモス(東京/調剤薬局・訪問介護・居宅介護支援)の株式譲受け

[18-3] タカラケア(茨城/介護支援事業)の株式譲受け

大和ハウス工業

[19-1] 大和リビングケアを設立し、ライフコンプリートとライフコンプリート東京(佐賀・東京/介護付き有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅)から会社分割で介護事業を譲受け

[19-2] シダー(福岡/デイサービス、介護付有料老人ホーム、訪問看護、訪問介護、居宅介護支援、グループホーム等)の株式8%を取得

東洋商事

[20] 介護サポートサービス(サービス付き高齢者住宅)の株式譲受け

まとめ

介護事業所は、高齢化を受けた介護需要の拡大を受け、市場の成長が続いています。一方で職員の離職といった問題を抱えています。業界プレーヤーでは、もともとは異業種からの参入企業した大手介護事業者が主要な地位を占めています。

今後も異業種参入組を中心に、他の介護サービス事業者からの施設運営事業の買収や、地域の中小事業者をグループに取り込み等の動きが活発化すると見られます。

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伏江亜矢
監修者:伏江亜矢
株式会社コーポレート・アドバイザーズM&A 企業提携第三部 部長
金融機関で法人営業を担当後、2012年にコーポレート・アドバイザーズ入社。M&Aの事前準備から、候補先のソーシング、企業価値評価、条件交渉、クロージングまで一気通貫した支援を行っている。 ヘルスケア・ライフサイエンス(医療・介護・メーカー・卸商社)、IT・ソフトウエア(Webサービス、システム開発)、人材サービス(派遣、警備、ビルメンテナンス)などのM&A支援経験が豊富。 M&A成功のために必要な情報をわかりやすく解説するコラムサイト「よくわかるM&A」の運営責任者。
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海外現地法人サポート
非上場株式売却コンサルティング(非上場株式サポートセンター

■社員数
417名(グループ全体 / 2023年10月現在)
税理士(試験合格者含む)56名
公認会計士(試験合格者含む)15名
特定社会保険労務士2名
社会保険労務士(試験合格者含む)12名
弁護士 2名
相続診断士41名
中小企業診断士1名
行政書士4名

■関与先
法人 3,240社(うち上場企業85社)
社会福祉法人 133件
クリニック・医療法人・介護福祉等 593件
個人 4,015名
合計 7,981件

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