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Q.
A.
一般的には、「M&Aの株式評価額」が「相続税評価額」を上回ると考えられています。これは「M&Aの株式評価」と「相続税評価」とでは、算定方式や考え方が違うことによります。
ポイントは3つあります。
1) 評価のベクトルの違い(高く評価したいか、低く評価したいか)
株式の保有者(企業オーナー)からすると、「M&Aの株式評価」では、譲渡価格が高ければ高いほど、手取り金額は増えるので、できるだけ高く評価してもらいたい、と考えます。
一方、「相続税評価額」では、親族に課せられる「相続税」や「贈与税」をできるだけ低く抑えるために、低く評価してもらいたい、と考えます。実際、相続税、贈与税対策として、様々な節税対策(不動産や保険商品を活用したもの)があります。
このように、M&Aは価額上昇を、相続は価額下落をといったように、ベクトルがそもそも違うのです。
2) のれんの上乗せ
“のれん”とは、企業の買収・合併時の「買収された企業の時価純資産」と「譲渡価額」との差額のことをいいます。平たくいえば、企業の信頼力やブランドといった目にはみえない付加価値を指します。
M&Aにおいては、この“のれん”が時価純資産に上乗せされますので、価額上昇の一因となります。
なお、“のれん”は一律ではありません。様々な要因(成長業種か否か、技術ノウハウ等)により上下します。
3) 需給バランスによる評価の変動
買い手候補が1社の場合と複数候補がいる場合では、後者の方が価額は高値になり易くなります。
これは、候補者同士での競り合いとなった場合、他候補よりも好条件を提示しようとする動きがあるからです。
また、譲渡を希望する企業の数と買収を希望する企業の数バランスによっても変動します。買収を希望する企業の数の割合が多ければ多いほど、価額は高くなるでしょう。