A.
5年前にCAさんと初めてお会いして、事業承継を進めることになりましたが、全て思い通りに行ったかというと、決してそうではありませんでした。自身が創業した会社をどなたかに引き継ぐのは、決断をするのも、実際に引き継ぐのも容易ではありませんでした。
うまくいったことは、ようやく2社の事業承継が完了しつつあることです。当初は、引き継ぐことができるのかどうかも不安でしたが、何とか、私が築き上げてきたものを次の世代に引き継ぐことができそうです。全てそのまま、というわけにはいきませんが、引き継いだかたの手によってさらに発展させていただけるのはうれしいことです。
苦労したことは、たくさんありましたが、一つ挙げるとすれば、自身が思っていた会社の価値と他人からみた会社の価値というのは、乖離があったことです。この乖離部分を受け止めて、前に進めるのは大変な苦悩もありました。ここでいう価値というのは、実際に取引される価格・条件だけではなく、「相手先企業は、私たちのどういった部分を魅力に感じるのか、また逆に評価していないのか」、ということも含まれます。これは、CAさんに相談し、相手先との交渉が始まり、初めて気づかされたことでもありました。
私がM&Aを検討される方々にお伝えしたいことは、M&Aを事業承継の選択肢として考えているのであれば、まずは重い腰を上げて、早めに信頼できる専門家に相談をしたほうがよい、ということです。これにより、事業承継の進め方、相手先企業のイメージ、客観的にみた自社の価値、引継ぎしやすい状態にする方法(これは自社の価値をどのように高めるかということでもあります)、それらについての適切なアドバイスをもらうことができます。これが、事業承継の第一歩となるのではないかと思います。