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M&A体験談インタビュー

M&Aで半世紀にわたり築きあげた商社の商材・販路を引き継ぐ
M&A体験談インタビュー

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M&Aで半世紀にわたり築きあげた商社の商材・販路を引き継ぐ

 

テクノケミカル株式会社 元代表取締役 小川 義孝 様

およそ半世紀にわたって研究用試薬・精密化学薬品の輸入販売業を営んできたテクノケミカル株式会社(東京都文京区)は、2024年1月に医療機器等製造販売会社(承継先)へのグループ入りを果たしました。本インタビューでは、事業承継やM&Aの検討を始めた契機や、承継先を選ぶ際にこだわったポイントなどについて、テクノケミカルの元代表者である小川義孝様にお話を伺いました。

事業承継について検討を始めたのはいつ頃ですか。

10年ほど前の70歳の時に、海外企業を含む3社程度からテクノケミカルを買収したいというオファーがありました。各社の主な目的はいずれも、テクノケミカルがもつ販売網を活かしたいというものでした。
当時は他社に会社を譲渡するという考えはありませんでしたが、その時に初めて事業承継について具体的に考えるようになりました。

ただ、ちょうどその頃、テクノケミカルの主要仕入先であった海外メーカーが他の海外メーカーに買収され、テクノケミカルがもつ取引基盤の一部を他社に承継することになりました。これにより主力事業を失ってしまったため、事業承継の検討は一旦中断し、数年間かけて他商材の取扱いの開始や販売拡大等、事業全体の再構築を図ることになりました。

 

事業承継の検討を再開したきっかけは何でしたか。

今から5年ほど前に、コーポレート・アドバイザーズM&Aから書類が届き、具体的な企業からのM&Aの提案を受けました。

事業を再構築した後では、初めての具体的な話でしたし、知っている企業グループからの提案でしたので、仲介担当者に決算や事業の状況等を開示し、より具体的な条件等の提案を受けることにしました。

 

しかし、双方の事業理解が進むと、相乗効果があまり出ないことがわかり、条件面も合わず、この話は見送ることになりました。

 
 
— その後、改めて承継先探しのご依頼を頂き、本格的にお相手を探し始めました。そして、募集開始から1年後、医療機器等製造販売会社(承継先)に譲渡することになりました。

承継先を決める際には、どのような点にこだわりましたか。

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1.現事業の継続意思と試薬業界への理解

テクノケミカルでは主に研究用試薬と理化学器械を取り扱っていますが、承継後も、両方の商材を売り続けてくれる先を希望しました。

最終的に、テクノケミカルの承継先となった医療機器等製造販売会社は、過去に取引実績があり、異業種ながらも試薬業界への理解がある先で、かつ新規事業としての取り組み意欲も持っていたため、安心して引き継げると確信しました。代表者の方とも元々面識がありましたので、そういった点での安心感もありました。

 

2.企業価値評価や条件に対する納得感

希望条件については、仲介担当者に算出して頂いた価値試算結果を参考に決定しました。そして承継先には、私の希望を全面的に受け入れて頂きました。
半世紀にわたって築き上げたブランドや販路の価値を、直近の決算数値をベースに判断する、というM&Aにおける価格の考え方は、理解しきれない部分もありましたが、最終的には納得いく条件で成立したので譲受先と仲介担当者には感謝しています。

 

 
 
— 譲渡直前には、承継先の代表者とテクノケミカルの従業員が面談を行いました。

従業員への説明や承継先との面談に対しての不安はありましたか。

従業員には、面談の2~3週間前に話をしましたが、自身の年齢のこともあり、驚きつつも緩やかに受け入れてもらいました。

 

承継先と従業員との面談についても特段不安はありませんでした。面談後、承継先の代表者からのフィードバックでは「優秀な社員さんたちですね」と、従業員を高く評価してもらい、快く受け入れてもらえたことはうれしかったです。

 
 
— 今回のM&Aにより代表者と株主は変更しました。

承継後の取引先の反応はいかがでしたでしょうか。

取引先については、承継先が異業種のメーカーであり各社の競合先ではないため、特段問題はありませんでした。承継前と変わらずに、お取引を継続できています。

 

これからM&Aを検討する経営者の方にメッセージをお願いします。

1.株式が分散している場合には、集約を早めに行っておく
 
仲介担当者からは株式を譲渡するなら、早めに株式集約を進めたほうがよい、というアドバイスは受けていたものの、結局、最終条件がほぼ固まった段階で、株式集約を進めました。
思いのほか株式の集約手続きに時間がかかってしまいましたし、また、譲渡直前はその他にも対応すべき事項が数多くありましたので、もっと早いタイミングで集約手続きを開始するのが良いと思いました。

 
2.M&A仲介会社は大いに活用したほうがよいが、任せっきりにしない(自分でもよく調べて考える)
 
承継先の選定にあたっては、M&Aのマッチングサイト上に匿名情報を掲載してもらい、募集を行いました。また、仲介担当者が作成した候補先リストにも打診をしてもらいました。その結果、同業者、海外メーカー、異業種企業、個人等、様々な先から合計で数十社のオファーを頂きました。

 
しかし、そのなかで試薬業界への理解があり、かつ当社の強みである販路や商材に対して価値を感じてもらえた先というのはごくわずかでした。そのため、自分自身でも、取引先や知っている方で可能性のある先はいないか、相乗効果や相手方のメリットはどのようなものがあるか等をじっくり検討し、仲介担当者と何度も議論を尽くしました。

 
結果としては、そのやり取りにより思い浮かんだ候補企業に対して仲介担当者から熱心に譲受提案をしてもらい、テクノケミカルを承継してもらえることになりました。本当に良いと思える先に承継するためには、マッチングサイトに登録をしてオファーがあった先だけを候補先として検討するのではなく、譲渡企業のオーナー自身も能動的に候補先の抽出、相手方のメリットの検討等を行うのが良いと思います。
 


【本件担当アドバイザーのコメント】

事業承継M&Aでは、「本当に良いと思える相手先に、納得のいく条件で引き継ぐことができたか」が譲渡側の経営者様にとって重要です。相手先選びについては、本格的に相手探しを初めてから決まるまでに1年以上かかりましたが、小川様ご自身も相手先のメリットや相乗効果などをじっくりご検討頂き、何度も弊社と議論させて頂いたことで、最終的には理想の相手先とご成約頂くことができ、仲介者として大変うれしく思います。(担当:コーポレート・アドバイザーズM&A 企業提携第三部 部長 伏江 亜矢)

 

 

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