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​M&Aとは? M&Aのスキーム、メリット、成功のポイントをわかりやすく解説
更新日:2022年4月27日

M&Aとは

M&Aの意味

M&Aとは、英語のMergers(合併)and Acquisitions(買収)を省略した言葉です。企業の合併や買収を行うこと、つまり、2つ以上の会社を1つにしたり (合併)、ある会社が他の会社を買ったり(買収)することを意味します(狭義のM&A)。 また、必ずしも、ある会社を丸ごと買収・合併する場合だけでなく、ある会社の株式の一部を買う場合 (資本参加や資本提携など) や、特定の事業だけを買う場合(事業買収など)も、広義ではM&Aの1つとされます。

なぜ今、M&Aが注目されているのか?

近年では、ベンチャー企業、中堅・中小企業、大企業、いずれの企業にとってM&Aは、欠かせない経営の選択肢となっています。では、なぜ今、M&Aが注目されているのでしょうか。売り手、買い手それぞれにとってもM&Aのメリット(M&Aを選択する理由)をみていきましょう。 

売り手にとってのM&Aのメリット

後継者問題を解決できる

中小企業経営者の年齢の分布をみると、この23年間で経営者年齢の山は47歳から69歳へ移動しており、年々経営者の高齢化が進んでいます。さらに、経営者の高齢化や後継者難などにより、休廃業・解散を選択せざるを得ない企業は高水準で推移しており、日本経済全体の問題としても、いわゆる事業承継問題は待ったなしの状況です。この状況を打開策として、近年、中小企業の事業承継問題の解決策としてM&Aの活用が進んでいます。承継先の企業をみつけることができれば、株式や事業を譲渡し、対価を得ることができ、借入金の連帯保証も解消され、そしてこれまで培ってきた大切な会社、従業員を承継先企業に委ねることができるのです。さらに、相乗効果があり、資本力のある承継先企業に経営を任せることができれば、さらなる発展も期待できます。

シナジー(相乗効果)のある相手先とのM&Aで事業成長を加速できる

多くのベンチャー・中小企業では、市場に受け入れられるサービス・製品を持っているものの「営業・マーケティング」の機能が弱い、安定した取引基盤を持っているものの「採用・育成」の仕組みが整っていないため事業拡大ができない、実施したい施策はあるものの「事業資金」が足りない、大手に比べると「仕入時の購買力」が弱く原価率が高くなってしまう、などといった経営課題を抱えています。これらの経営課題をクリアし、加速度的な事業の成長を実現するために、シナジー(相乗効果)のある相手先とのM&Aは有効です。

創業者利益が得られる 

M&Aによって会社や事業を売却すると、経営者は現金が得られることもメリットです。非上場企業の場合、経営者が株式の過半数あるいは全部を保有して、実質的に単独のオーナーとなっていることがほとんどであり、M&Aにより、多額の現金が得られやすいといえます。

廃業コストがかからない 

M&Aではなく廃業を選択すると、廃業コスト(会社の設備や在庫の処分費、財務処理を依頼する際のコストなど)がかかりますが、M&Aを選択することで、これらの廃業コストの発生を避けることができます。また、廃業は従業員や取引先のデメリットが大きいことにも注意が必要です。M&Aであれば、従業員や取引先との関係を維持できる選択肢です。

新しい事業開始のための時間と資金を確保できる(100年時代の人生戦略) 

「人生100年時代」といわれるようになり、経営者の中には、40代や50代といった早い段階でM&Aを実施し、「第2の人生」あるいは「2度目、3度目の創業」を模索する経営者が増加しています。例えば、自身で事業・サービスを起こし、ある程度の規模の事業になった段階で、大企業に売却・譲渡する、といったケースなどがこれにあたります。

戦略的に事業再編を図りたい(ノンコア事業の資金化)

生き残りのための経営戦略として、ノンコアな事業や将来的に成長性が乏しい事業を合理的に整理し、逆に既存事業とシナジーのある事業などに投資を集中させていく必要があります。M&Aを活用することにより、このような経営課題を解決することができます。

買い手にとってのM&Aのメリット

M&Aの実施目的には、「売上・市場シェア拡大」「事業エリアの拡大」「人材・取引先の拡大」など、様々な理由が挙げられます。上位に挙げられた理由をみていきましょう。

(図)M&Aの実施時期別に見た、M&Aの実施目的(2018年版中小企業白書より)

売上・市場シェアの拡大

同業者をM&Aによりグループに取り込むことで、売上・市場シェアの拡大が可能になります。市場シェアは、業界内の支配力と密接に関係しています。 シェアが高まると企業の支配力も強まり、自社の方針に沿った経営を実現させやすくなります。また、規模の拡大は既存事業の成長のみでは間に合いません。業界で1~3位となる規模の会社でないと生き残ることが難しい業種もでてきています。積極的なM&Aによる市場シェア獲得により、スピーディーな生き残り戦略が可能になります。

事業エリア(商圏)の拡大

自社とは異なるエリアで事業展開している企業を買収することで、商圏の拡大が可能です。自社で新しく拠点を立ち上げるとなると、拠点設置にかかる費用だけでなく、営業体制の見直しや管理部門の調整など様々なコストがかかりますが、M&Aを活用することにより、諸々のコストと時間を削減することができます。また、そのエリアで長年事業を継続してきた企業を買収すれば、独自かつ強固な販路や顧客基盤のほか、エリア特有の事業ノウハウを引き継ぐこともできます。

人材・取引先の獲得

買収対象となる企業が保有する不動産や設備といった有形の資産はもちろんのこと、人材(技術、ノウハウ)、取引先、顧客基盤、流通網などといった無形の資産を取り込むことで買い手は事業規模の拡大を図ことができます。

新事業展開・異業種への参入

業種や事業内容の異なる企業や事業を買収することで、これまで自社にはなかった分野への参入や川上から川下へのバリューチェーンの拡大が図れます。また、新規事業を立ち上げるには、マーケティングや技術開発、従業員の教育まで多くの時間やコストがかかります。M&Aを活用し、既に出来上がっている状態の事業や企業を買収すれば、こうした時間やコストを削減できます。

M&Aのスキーム

M&Aの手法・スキームとしては、2018年中小企業白書によると、「事業譲渡」が41.0%と最も多く、次いで「株式譲渡」が40.8%となっています。事業承継を目的とした中小企業のM&Aにおいてはその手続の手軽さゆえ、「株式譲渡」によるM&Aが一般的ですが、「事業譲渡」で実施した理由について見てみると、「取得したい資産や従業員、取引先との契約を選別できた」や「簿外債務の引継ぎや想定外のリスクを回避できた」と回答する者が多く、M&Aのリスクをコントロールする手法として、活用されていることがうかがえます。

(図)M&Aを事業譲渡で実施した理由(2018年版中小企業白書より)

それでは、株式譲渡、事業譲渡、合併、会社分割について順に説明をしていきます。

図:全部譲渡と一部譲渡におけるスキームの選択

株式譲渡

株式譲渡とは、対象会社の発行済株式を全部または一部を他者に譲渡することをいいます。株式譲渡は、法人全体の売買であり、株主が変更になるだけで、すべての資産・負債・取引上の契約などは、売り手から買い手にそのまま継承されることになります。株式譲渡では、すべての資産と負債を承継するため、買い手にとっては、株式譲受(買収)後に予期せぬ簿外の債務などがでてくるリスクがあります。一方、従業員や許認可の承継手続きなどが必要ないため、比較的手間と時間はかかりません。

事業譲渡

事業譲渡とは、財産の全部または一部を他者に譲渡することをいいます。株式譲渡では会社ごと引き継ぐことになるため、簿外の債務などを引き継ぐ可能性がありますが、事業譲渡の場合、引き継ぐ資産や負債を個別に判断して引き継ぐため、簿外の債務を引き継ぐことがありません。一方で、資産や負債、契約関係など個別に引き継ぐものを決めていくため、手続きは煩雑になります。また、特許や許認可なども再度申請が必要になります。

合併

合併とは、複数の会社の契約により1つの会社に合体し、当事会社の全部が消滅することをいいます。形態として、吸収合併と新設合併があります。
吸収合併は、合併当事会社のうち1社が他の会社を吸収して存続し、他の会社は解散して、会社の財産、従業員等一切の権利義務を包括的に存続会社に承継することになります。
新設合併は、すべての合併当事会社が解散すると同時に、新しい会社(新設会社)を設立し、解散する会社の従業員、財産等一切の権利義務を包括的に新設会社に承継することになります。

中小企業のM&Aにおいては、最初から合併を行うと従業員や取引先へのインパクトが大きいため、従業員や取引先の離反を避けるために、まずは株式譲渡にて承継し、数年かけて、グループ会社としての統合作業を行ったのちに、合併するというケースをよく見かけます。

会社分割(吸収分割)

会社分割とは、ある会社(分割会社)の当事事業を分離し、別の会社に当事事業を承継させる手法・スキームをさし、吸収分割と新設分割があります。
吸収分割は、複数の会社の契約により、ある会社の当事事業を分離し、別の会社がその当事事業の財産、従業員等の権利義務を承継します。
新設分割は、複数の会社の契約により、ある会社の当事事業を分離し、その当事事業の受け皿として新しい会社(新設会社)を設立し、分離する事業の従業員、財産等の権利義務を承継します。

M&A成功のポイント

売り手からみたM&A成功のポイント

M&Aの取引価格の考え方

M&Aの取引価格は、買い手と売り手が計算した売却対象の会社や事業の価値評価を基に、買い手と売り手が交渉し決定される価格です。M&Aを成功させるポイントとして、希望する価格については、会社・事業の規模やフェーズにあった評価手法に基づき、「理論的に説明できること」が買い手との交渉をスムーズに行うためには重要です。また、売り手としては、できるだけ高く売却したいと考えますが、希望する価格としては、相場よりもあまりに高すぎると買い手は、買収意欲が削がれますし、投資回収期間が長くなりことを懸念するため、相場を考慮し、客観的な価値評価に基づいた希望価格を提示することがポイントになります。

M&Aの取引価格については、以下記事で詳しく説明をしています。

M&Aの相手先の決め方

M&Aの相手先については、売り手が希望する価格条件をある程度受け入れてもらえる先のなかで検討していくことになりますが、価格条件以外に検討すべきポイントは次の3つです。

  • 買い手の譲受ニーズ(なぜM&Aをしたいのか。なぜ対象会社の事業に関心があるのか)が明確であること。
  • 買い手の譲受ニーズを対象会社が満たすことができるか。
  • 経営方針や社風が合うか。

※トップ面談で経営者同士の相性が合わず、明らかに違和感がある場合には、売り手の希望条件を受け入れてくれる先であっても、結果的に成約しないケースが多い

M&Aはいつ実施すべきか(タイミング)

M&Aの実施タイミングは、取引価格に影響をあたえます。経営者の経営意欲が減退し、M&Aを検討し始めた場合、経営状態が上向きで、まだ業績が伸びる可能性もあるからと言って売却しないで様子を見ていると、売り時のチャンスを逃してしまう可能性もあります。また、経営状態が悪いときには、売却したくても売り手の希望条件と相場感が合わず、買い手が見つからないこともあります。それらの事情を考慮すると、業績が上向きで、売り上げがピークに達する少し前か、経営者が「売るには惜しい」と感じるぐらいの時期に、M&Aの交渉を開始するのがおすすめです。こうした時期には、買い手に売り手の希望条件を受け入れてもらいやすくなり、交渉がスムーズに進む可能性が高くなります。

売り手がM&Aの準備をするために、まずは、自社を正確かつ客観的に理解しておくことが大事です。いい相手先から声が掛かったときに、きちんと評価してもらえる状態を保ち、また、魅力ある会社として準備しておくことが重要でしょう。

買い手からみたM&A成功のポイント

どのように買うか?(紹介型・どういう会社を買うべきかから入る「仕掛け型」)

M&A成功のポイントとして、売り手を待つ「紹介型」と、積極的に売り手を発掘するファインディングする「仕掛け型」があります。どちらもメリットとデメリットがあるので、売り手企業にメリットや安心感を訴求することが大事になります。

どんな会社を買うか?(開発・浸透・多角化・開拓のマトリックス)

どのような戦略で買収を成功させるかは、買い手も戦略に起因することもあります。多角化を狙うのか、市場を開拓していくかなどの戦略によって、PMI(買収後の統合作業)におけるシナジーの違いがあります。

シナジー効果を出すためには?(PMIの重要性)

M&Aのシナジーには、売上シナジーとコスト削減シナジーがあり、いずれにしても買収後のコストと時間がかかる。その理由は、教育研究・ビジネス習慣の融合などに時間やコストがかかるためであります。また、多くの買い手は、買収価格に注目しがちであり、PMIの際の事業運営や設備投資などにかかるコストについての検討がアバウトになりがちです。そういったPMIにかかるコストについては、M&Aの検討段階から考慮しておくことが、高値掴みを防ぐポイントになります。

どう経営するのか?(PMIの留意点)

M&A後にその買収企業の経営を担う人は、そのM&Aのデューデリジェンス以前からに参加している人が適任です。対象企業の文化や人材も理解している場合も多く、課題やその改善点なども充分に理解していることが多いです。

最初から大きな案件は選ばない

最初から社運のかかった大きな案件は避け、仮に失敗しても経営に多大な影響を与えないようなサイズの案件から選ぶようにすることが重要です。M&Aを経験するにつれ、買い方もうまくなっていきます。また、買収する経営者の意向を忖度することなく、正確な情報を伝えて買収の判断をするようにします。

M&Aの相場と自社の価値がわかる「企業価値シミュレーション」とは

M&Aにおける価値評価は、様々な要素を踏まえて総合的に判断されるため、自社がどの程度の価値で評価されるのか、というのは大変分かりづらいものです。よって、自社がどの程度の価格で売れそうか、という点を推測するためには、M&A専門会社に相談して相場感を確認することが一番の近道です。

コーポレート・アドバイザーズM&Aでは、会社売却・M&Aを検討中の企業経営者向けに「企業価値算定シミュレーション(無料)」をご用意しております。

ステップとしては、まず、直近3期分の決算書(申告書、勘定科目明細を含みます)等をお預かりし、ヒアリングをおこないます。2週間後を目安に、算定結果を報告させていただきます。「買い手から高く評価される要素」を考慮した相場感についてもご報告いたします。

会社売却・M&Aは検討を開始し、情報収集を始めてから、実際に相手探しを行うまで、数年かかることも多くあります。まずは、コーポレート・アドバイザーズM&Aの「企業価値算定シミュレーション(無料)」を利用して、自社が客観的にみて、いくらぐらいで評価されそうなのか、買い手はどの程度あるのかなどについて、ご報告できればと考えております。そのうえで、会社売却・M&Aの実施スケジュール・目標価格などを設定し、その目標に向けて、会社の価値を高めていくことが重要かと思います。

実際には、会社売却・M&Aは、お相手ありきものですので、良い相手が現れたときに自身の希望に合ったかたちで交渉ができるように、早めに準備を開始することが会社売却・M&A成功のポイントとなるでしょう。

無料で企業価値シミュレーションができます

納得感のある価格・条件で事業承継・M&Aを実施するためには、客観的な企業価値の把握が第一歩です。決算書等をご提出いただければ、20年で2000件以上のM&A支援実績を持つコーポレート・アドバイザーズが無料で企業価値シミュレーションを実施いたします。

伏江亜矢
監修者:伏江亜矢
株式会社コーポレート・アドバイザーズM&A 企業提携第三部 部長
金融機関で法人営業を担当後、2012年に当社入社。M&Aの事前準備から、候補先のソーシング、企業価値評価、条件交渉、クロージングまで一気通貫した支援を行っている。
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