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セミナーレポート(2018年10月3日開催)
事業承継 成功確率向上セミナー2018 「最新事例から学ぶ、いまオーナー経営者が知っておくべきポイント」
第1部「事業承継の進め方と各選択肢(親族内承継・社内承継・外部招聘・M&A)における検討ポイント」では、事業承継を進めるうえで押さえておくべき検討ポイントについてわかりやすく解説しました。
人口減少や団塊の世代のリタイヤなどが引き金となり、廃業率が増加傾向になるなど、中小企業の高齢化が顕著になってきています。事業承継を検討するか、廃業をするか。オーナー経営者としては、わが子のように育てってきた会社への「決断」をいかにするか、残された時間はあとわずかとなっています。
中小企業庁によると、日本企業の3社に1社にあたる、約127万社が後継者未定であり、廃業の危機にあるとの見通しを発表しました。平成37(2025)年までに70歳を超える中小企業・小規模事業者の経営者は245万人にのぼるなど、日本の中小企業をめぐる環境が激変しています。廃業する企業の「約半数は黒字」という現実もみえてきました。跡を継ぐ者がいないため、仕方なく廃業を選ぶ経営者が増えているという状況が浮かび上がります。
国としては、こうした状況を重く認識し、「事業承継税制」の改正に踏み切りました。中小企業の廃業の増加を食い止め、地域経済への影響を緩和したい狙いがあります。平成30(2018)年1月1日~平成39(2027)年12月31日を事業承継の集中期間として取組みを強化し、事業承継を強力に後押しする税制となっています。こうした環境整備を追い風にして、経営者は事業承継の「出口戦略」を検討すべきではないでしょうか。
会社を廃業すべきか、家族や親族、または従業員や第三者へ継承すべきか、検討を進めていただければと思います。
◇三大経営資源:ヒト・モノ・カネ
事業承継とは、現経営者が後継者に会社の経営を引き継ぐことをいいます。今回、事業承継で引き継がれるものについて、会社の「ヒト」「モノ」「カネ」の3つに分けて考えていきたいと思います。
1)ヒト(経営の承継)
・会社をさらに伸ばしてくれるのは誰か?
・連帯保証、物上保証の問題をどうクリアしていくか?
後継者をだれにするか、つまり、「経営の承継」をどうするか、について考えてみます。一般的に、お子様などの親族、幹部社員などの社内人材、ヘッドハンティング等の外部招聘、第三者(M&A)の4つに大別できるでしょう。
中小企業の場合、経営者の連帯保証(金融機関からの借入)や物上保証(抵当権)がついているケースがほとんどです。現経営者が退任し、後継者が引き継ぐ場合には、この経営者の連帯保証(金融機関からの借入)や物上保証(抵当権)の対応が問題になるケースが非常に多いのが実情です。つまり、後継者候補にとって、この連帯保証を引き受けることは、非常に大きな決断を求められ、場合によっては難色を示し、社長への就任を拒むケースがあります。
たとえ、能力的に経営者としての資質がある後継者候補がいたとしても、この「カネ」の問題(連帯保証)で、円滑な事業承継が進まないケースがあります。
連帯保証、物上保証の問題をどうクリアしていくかは、経営を引き継ぐなかでも、ハードルの高い課題となります。ただし、「経営者保証ガイドライン」が策定されて以降、連帯保証を外すことのできた企業も増加しているようですが、実施件数としては、まだまだ多くはありません。
現経営者は、こうした「カネ」の問題を考慮しながら、鑑みながら、親族、社内人材、外部招聘、M&Aと4つの候補の中から、後継者をだれにするか、つまり、「経営の承継」をどうするか、について考えることになります。ここで大事な視点としては、「会社を更に伸ばしてくれるのは誰か?/どの会社か?」です。会社や事業の発展を念頭に置いて検討を進めていただきたいと思います。
2)モノ (株式の承継)
・経営者が保有している株式を誰に、いくらで承継するのか?
・誰を株主にすることが会社の経営にとって最適か?
中小企業では、経営者が株式の大半を所有しており、「経営者=株主」となっている会社、つまりオーナー会社が多いです。そのため、事業承継にあたっては、「経営者が保有する株式を、誰にいくらで渡すか?」が重要なポイントになるでしょう。
まず、社内承継(株式を社内人材に譲渡する)場合を想定してみます。この社内人材については、サラリーマンとして会社に勤め、幹部社員となった方を想定します。そのため、○千万円、○億円という多額の資金(株式の譲渡対価となる金額)を自身で準備可能かどうか、という問題が浮上します。また、外部招聘人材についても同様に、譲渡対価となる資金を準備可能かどうか、という問題に直面する可能性があります。
一方、お子様などの親族を後継者に指名する場合は、「贈与」により株式を承継するケースが多いです。換金性が極めて低い自社株式をお子様などの親族に贈与する場合、多額の贈与税が課される可能性があります。そのような事態を回避するためには、「事業承継税制による特例」の適用をご検討されるのがよいでしょう。
また、M&Aで事業会社やファンドに株式を譲渡するのも事業承継のひとつのかたちだと思います。株式の承継においても、「誰を株主にするのが会社の経営にとって最適か」という視点も必要です。この視点からすると、M&Aで事業会社やファンドに株式を譲渡するということが、有力な選択肢になるケースがあります。
どのような経営の承継、株式の承継が、自社に適しているか、あらゆる選択肢を検討していただければと思います。
3)カネ(いくらで株式を譲渡するか?)~ヒト・モノの承継に付随して発生するカネの問題をどう解決するか?~
・事業承継税制が適用できると、事業承継の「カネ」の問題がクリアできる見込みが高い。
・ただし、創業者利益をいかに確保するかが課題となる。
平成30年度税制改正により示された「事業承継税制」は、“特定の状況の方”にとっては、願ってもないほどの税効果が見込める内容です。従来であれば、納税すべきであった相続税や贈与税が、ほぼ発生しないような改正内容になったからです。
社内人材や外部招聘人材に株式を譲渡する場合、後継者が株式の対価となる資金を自分で準備可能かどうか、という問題も、この「事業承継税制」が適用できればクリアになるでしょう。当然、一定の要件もあり、期限もありますので、早めに顧問税理士などに相談することをお勧めします。
ただし、注意しなければならないのが、「事業承継税制」を適用する前提としては、「タダ」で株式を譲渡(贈与)する、ということです。そのため、現経営者が事業承継により退任するにあたって、「どのように創業者利益を確保するのか」といった検討が必要になります。
役員退職金を支給することにより、創業者利益を確保するというのも一つの方法ですし、タダではなくある程度の金額で株式を譲渡する、ということも検討されるべきでしょう。創業者利益の確保という視点からみると、M&Aで事業会社やファンドに株式を譲渡するということが、有力な選択肢になるケースがあります。
自身はどうしたいか、どういうかたちが最適かという視点を持ち、じっくりと事業承継のあらゆる選択肢について検討をして頂きたいと思います。また、その際には、おひとりで悩まず、事業承継/相続/M&Aなどの専門家に相談をしていただくことをお勧めいたします。
事業承継 成功確率向上セミナー2018 「最新事例から学ぶ、いまオーナー経営者が知っておくべきポイント」
第1部 事業承継の進め方と各選択肢(親族内承継・社内承継・外部招聘・M&A)における検討ポイント
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