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セミナーレポート(2018年10月3日開催)
事業承継 成功確率向上セミナー2018 「最新事例から学ぶ、いまオーナー経営者が知っておくべきポイント」
第2部「平成30年度税制改正でより使いやすくなった事業承継税制の内容と具体的な活用方法」では、平成30年度の税制改正で要件が大幅に緩和された、『事業承継税制』の内容と具体的な活用方法について事例を交えてわかりやすく解説しました。
平成30年度税制改正で、中小企業の事業承継を促す「事業承継税制」が大幅に拡充しました。今後、10年間に事業承継した場合に適用されます。
これまで中小企業の経営者が子どもに事業を承継させるとき、自社株を中心とする財産の相続税・贈与税の負担の重さがネックとなることが往々にしてありました。業績が好調な会社であっても事業承継を機に経営が悪化するという事態も珍しくなく、国にすると、税金を納め雇用を生む企業が減ってしまい大きな損失でした。そこで、非上場企業の事業承継時の税負担を減らすために、事業承継税制が平成21年に創設されました。しかし、使い勝手が悪く、利用者は多くありませんでした。
◇対象株式
事業承継税制を適用する場合、これまでは、納税猶予の対象となる株式数には「2/3」の上限がありました。改正後は、対象株式数の上限を撤廃し、「すべての株式(100%)」について相続税・贈与税を猶予してもらえるようになりました。また、納税猶予割合もこれまでの「80%」から「100%」に拡大され、承継時の税負担が大幅に軽減されるようになりました。
◇雇用確保要件
事業承継税制を使う後継者には、事業承継をした後の5年間平均で雇用の8割を維持することが求められました。改正前は、雇用を維持できなければ猶予が打ち切られ、利子をつけて全額支払う必要があるなど厳しい内容でした。しかし、改正後は、雇用が維持できなくても、理由を報告すれば、引き続き猶予が認められるようになります。ただし、経営悪化が原因である場合等には、認定支援機関による指導助言の必要もあります。
◇対象者の拡大
納税猶予が認められる対象者の範囲も広がりました。改正前は兄弟姉妹で会社を引き継ぐとしても猶予が認められるのは一人の後継者のみでした。改正後は最大3名に適用されるようになります。加えて、親族外を含む複数の株主からの贈与や相続まで対象に含まれるようになりました。中小企業経営の実情にあわせた、多様な事業承継が支援されるようになりました。
◇廃業時の課税関係
事業承継後に事業がうまくいかず、自主廃業や事業売却に至った場合は、納税猶予が取り消しになり税金を払う必要があります。今回の改正では、その場合の負担も軽くなるように配慮しています。「承継時の株価」で相続税額・贈与税額を計算していたものを、「売却・廃業時の株価」で再計算するようになりました。つまり、株価再計算により承継した株式の売却・廃業時の減免が可能となったのです。将来に対する不安が軽減できるでしょう。
ただし、業績悪化とは、3年間のうち2年以上赤字であること、有利子負債が売上高6カ月分を上回ることなどの要件があります。
事業承継税制が活用しやすくなったとはいえ、株価算定や書類のチェックなどもあり専門家への依頼が必要となります。そうした費用が必要となりますが、税負担が大幅に経験される事業承継のまたとないチャンスとなりますので、相続問題でお悩みの経営者の方は、一度専門家に相談されることをお勧めいたします。
新しくなった事業承継税制を利用するには、平成35(2023)年月末までに「特例承継計画書」を都道府県の窓口に提出する必要があり、提出すれば、平成39(2027)年12月末までに行った贈与・相続に適用されます。
事業承継 成功確率向上セミナー2018 「最新事例から学ぶ、いまオーナー経営者が知っておくべきポイント」
第1部 事業承継の進め方と各選択肢(親族内承継・社内承継・外部招聘・M&A)における検討ポイント
第2部 平成30年度税制改正でより使いやすくなった事業承継税制の内容と具体的な活用方法
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