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出版業界のM&Aの動向
出版科学研究所(東京)の調査によると、2018年の紙の出版物(書籍と雑誌の合計)の推定販売金額は約1兆2800億円台となり、市場規模がピーク時の半分を割ることになりました。出版販売金額は、1996年をピークに減少傾向となり、減少をたどる一方です。なかでも、月刊誌や週刊誌など雑誌出版物の大幅な落ち込みが目立つ。近年では、インターネット、スマートフォンなどの普及が影響しており、書籍離れが深刻化しています。そのようななか、業界再編が加速しています。
既に再編が進んでいる業界であり、凸版印刷株式会社は、株式会社紀伊国屋書店と業務提携を行い、2007年には、図書印刷株式会社を子会社化し、大日本印刷株式会社は、丸善CHIホールディングスの丸善雄松堂株式会社(丸善)、株式会社丸善ジュンク堂書店のほか、株式会社図書館流通センターを相次いで買収し、2009年には株式会社主婦の友社、中古本最大手のブックオフコーポレーション株式会社に出資するなど、大手印刷会社が大手書店・出版へと進出しました。
また、角川グループホールディングス(現 株式会社KADOKAWA)は、2014年に「ニコニコ動画」を運営する株式会社ドワンゴと経営統合し、従来の出版事業からの脱却を図り、クロスメディアコンテンツの強化など、新たなビジネスモデル構築を模索しています。
さらに、2017年には、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(以下、CCC)が主婦の友社を買収しました。CCCはすでに「美術手帖」を手がける美術出版社やアニメに強い徳間書店、趣味系の雑誌をかかえるネコ・パブリッシングを傘下に持っています。CCCはこの買収により、コンテンツ制作から販売までを自社で一気通貫で手掛けることで、余計な中間コストをなくし、アマゾンなどの新興勢力に対抗する狙いがあるとみられます。
出版業界では、多くの中小企業が抱える後継者問題の影響による「オーナー経営者の高齢化」の流れに違わず、事業を継続し、従業員の雇用や取引先とのリレーションを維持することを目的とした第三者への事業承継(M&A)の需要が増加しています。
また、身内や社内に後継者候補が居る会社であっても、市場縮小・業界再編という問題点については、規模の大きい会社に比べると自社単独での採用力には限界のあるケースが多いことから、良いきっかけがあれば、後継者問題の有無に関わらず、M&Aにより資本の大きな会社のグループに入ることも有効的な選択肢の1つであると考えているオーナー経営者が増えています。
一方、大手企業としても、市場縮小・業界再編という問題は同じであり、コンテンツ制作から販売までを自社で一気通貫で手掛けることにより、コスト競争力の強化につながるようなM&Aへの取組みについては、以前にも増して積極姿勢となっています。
出版業界では、特に、月刊誌や週刊誌など雑誌出版物の分野においては、市場縮小が顕著になっています。その他の分野についても、厳しい市場環境が続いています。これにより、自力での立て直しが困難な企業が増えてきているのが実情です。こういった状況下にある企業については、早急に他社の傘下入りなどの検討が必要でしょう。
また、教育関連の書籍等、昨今の出版不況を大きく受けない領域に関しても、今後、教育分野でのICT化が進むことのより、市場縮小を余儀なくされるため、早い段階で戦略の練り直しが求められます。現在であれば、比較的売り手主導でよい条件での交渉が可能です。しかし、数年内に市場環境の変化と業界再編が進むことが予想されるため、売り手優位の状況は長くは続かないでしょう。業界環境の良い今の時期に、M&Aでの事業承継、戦略的子会社化を検討されることをおすすめします。譲渡を検討される場合は、すぐに譲渡しなければならない状態になる前に、M&Aの専門会社などにご相談されることをお勧めします。早めに検討し始めることで、より相乗効果を発揮することができる最良の相手とのM&Aをじっくりと検討することができます。
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